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生徒会長と書記

「健さん…。私、馬鹿なことしちゃった。でも、恵美さん騙してたなんて。」

 人気のない通りを歩きながら梨那がしょんぼりと呟いた。そのままゆっくりと歌を口ずさみながら歩いた。

 そこへ健が走ってきて梨那の歌に合わせるように歌い始めた。   

「健さん、どうして。」

 それに気づいた梨那が健に問いかけた。

「お前の誤解を解きにだよ。」

 健が優しく答えた。

「誤解?」

 梨那は不思議そうに問いかけた。

「そう。恵美は俺の双子の妹なんだよ。」

 健は優しく言い聞かせた。

「えっ、うそ。」

 梨那が驚いて言った。

「本当だよ。」

 健が優しく微笑んで言った。

「なら、二人で何はなしてたの?」

 梨那が訊いた。

「俺と恵美の父と母が結婚しようとしてるんだ。母が俺たちを産んだとき、父は18では母16だったんだ。それで、父の両親も母の両親も納得してくれなくて結婚できなかったらしい。」

 健が答えた。

「そうだったの。」

 それ以外の言葉が思いつかず、梨那はそう言った。

「別に父が浮気したとかそういう訳じゃないけど、恵美はこれまでは母子二人でやってきたから、やっぱり不安みたいで、反対してるんだ。それで話してたんだよ。」

「そうなんだ。それなのに私、誤解して、恵美さんに。」

 梨那は顔を赤らめながら言った。

「大丈夫だって。恵美には俺からも言っておくから。」

 健は優しく言った。その時、俊子が反対側から歩いてきた。

「あら、健さんと雪井さん。」

 俊子が健と梨那に言った。

「あ、恵美さんのところのおばさん。ってことは健さんの。」

 梨那が言うと、

「ああ、母さん。」

 健が梨那に言った。

「えっ、健さん。」

 俊子が驚いて言った。

「そんなによそよそしくしなくていいって。健でいいよ。」

 少し照れながらうつむきがちに健が言った。

「健。いいの?」

 嬉しそうに、遠慮がちに俊子が訊いた。

「恵美とも話したんだ。これからは、とし子さんのこと母さんって呼ぶよ。」

「健。ありがとう。」

 そう言って俊子は元来た道を戻っていった。

「あのさ、雪井、さっきのあれってさ、あの、俺のこと好きだって思っていいのかな?」

 俊子の姿が見えなくなると健が梨那に問いかけた。 

「えっと、あの…。」

 梨那が言い淀んで恥ずかしそうにうつむくと、健が梨那を抱きしめた。

「いやなら振り払ってくれ。」

 健の言葉を聞いて梨那はおずおずと健の背に手をまわした。

「それが答えって思っていいよな。」

 健が梨那に甘く囁き、梨那は恥ずかしげに軽くうなずいた。

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