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プロローグ

 昼間の公園のベンチに男女2人が座っている。

「レストラン佐山のランチ、美味しかったわね。」

 女性のほうが男性に話しかけた。

「そうだろ。あそこの日替わりランチは美味しいって有名なんだよ。」

 それにこたえる男性。とても仲睦まじい様子だ。

「また連れて行ってくださいね。敦さん。」 

「ああ。いいよ。ところで俊子さん。」

「何?敦さん。」

 立ち上がる男性、敦を女性、俊子が不思議そうに眺めた。

「俊子さん、僕と結婚してください。」

 真剣に緊張した声で敦が俊子に言った。

「敦さん。でも、子供たちが納得してくれるかどうか。」

 立ち上がりながら女性が言った。嬉しそうに、しかし寂しそうな口調であった。

「大丈夫だよ。きっと分かってくれる。」

 敦は励ますように微笑みかけた。

「敦さん。」

 感極まったように俊子は言った。今にも抱き合うかと思った時、一人の女性が駆けてきた。

「敦、その女、誰なの?」

 駆け寄った女性が開口一番、詰問するように言った。

「姉さん、僕の恋人だよ。」

 敦は女性になだめるように言った。

「敦、何で。」

 納得しないように言い募る女性に俊子が敦に訊いた。

「敦さん、姉さんって、啓子さんですか?」

 その言葉に敦ではなく女性、啓子が答えた。

「そうよ。私は啓子よ。でも、何であなたが知っているの?」

 驚き、そして少しいらだった口調だ。

「それは僕が話したからだよ。大切な姉さんだって。」

 啓子の問いに、俊子ではなく敦がなだめるように答えた。 

「大切って、…、でも、敦は私よりその女が大切なのね。」

 その答えに叫ぶように言った啓子は走り去ろうとしたが、敦が抱き着いて止めた。その姿を見た俊子は呆然としてベンチに座った。

「姉さん、待ってって。俊子は大切な人だけど、姉さんとは違う。いくら頑張っても僕と姉さんは結婚できないんだよ。」

 呆然とした俊子にかまわず、敦は啓子に言い聞かせた。

「敦…。分かってるわ。でも、もし私と敦が…。」

「姉さん、もしなんてないんだから。」

 そう言った啓子は、歯を食いしばり、敦の腕を振り払い走り去った。敦は、追いかけようと足を踏み出しかけてやめ、俊子の方へ行った。

「…。あ、敦さん。」

 敦と啓子の会話に何を言っていいかわからない俊子はやっとそれだけを言った。

「ごめんな。俊子。僕のこと嫌いになった?」

 啓子との会話を俊子に聞かれた敦は、頭をかきながら情けなさそうに訊いた。

「いいえ。嫌いになんかなれないわ。」

 俊子ははっきりと言い切った。

「ありがとう。俊子。それで、結婚は。」

 敦は俊子の答えにほっとしたようで、先ほどのことについて俊子に訊いた。

「もう少し、考えさせて。夜、もう一度会った時に。それまでに子供たちにも話して。」

「ああ、じゃあ、七時にな。」

 夕方に会い、そこで返事をすることを約束した2人は、公園から出て行った。そんな2人を太陽が明るく照らしていた。


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