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ウソつきだぁれ

作者: 加納啓太

「花壇に青、黄色、赤、白の花が咲いている。その花壇の前で、じょうろが倒れて水がこぼれていた。犯人についての花たちの証言は、次のとおり。


青い花「こぼしたのは赤い花よ」

黄色い花「こぼしたのは青い花でも白い花でもないわ」

赤い花「私は違うわ。やったのは白い花よ」

白い花「黄色い花じゃないことは確かよ」


 この中に一人ウソをついているものがいる。さて、ウソつきは誰だ?」

 シゲルが暇つぶしに出した問題だった。ヒロシはこういった小難しい問題が苦手なので、つい顔をしかめた。

「難しいな」

「暇つぶしなんだから、簡単に解けちゃあつまらないだろう」

「……ヒント」

「少しは考えてから聞け。頭を働かせれば、ちゃーんとわかるようになっている」

 そう言われても、ヒロシはこの類の問題を自力で解けたためしがなかった。大体いつも、答えをのぞき見てやっと、そういうことかと納得する。正直なところ解く気も起こらないのだが、わからないと言ったら嫌味が返ってきそうで面倒だ。

 考えているうちに、シゲルは言った。

「偶には頭を働かせろ。そのうち脳みそが干からびるぞ」

 カチンときて、ヒロシはやる気を起こした。

「干からびてたまるか」

 メモ帳を引き寄せ、もう一度問題をくり返してもらい、情報を書き込んだ。メモ帳をにらみつけて考える。

「ううん、全員一回ずつ犯人ではないと言われてるんだな? えーっとまず、青い花が犯人だとしよう。当然青い花はウソをついていて、黄色い花、赤い花、白い花もウソを……ん? いや、白い花は本当のことを言ってるか。そうすると…………何がわかるんだ?」

 考えれば考えるほど、混乱してくる。思いついたままに書き込んだ結果、メモ帳のどこに何が書いてあるかもわからなくなってきた。

 もう一度ヒントを聞いてみようか。これだけ考えたんだからいいだろう。ちらっとシゲルの様子をうかがうと、妙にニヤニヤしている。『シゲルの言うことを百パーセント信用してはいけない』。前に共通の友人に言われたことを思い出した。この問題も、何か裏があるのだろうか? ヒロシはメモ帳に視線を戻した。青、黄色、赤、白の花。……赤?

「まっ赤なウソというから赤い花がウソつき、とか。そんなわけないか…………ん?」

 思いつきで口にしたのだが、情報と照らし合わせても矛盾がない。興奮して一つずつ確かめた。

「『私は違う』というのがウソなんだから、犯人は赤い花。青い花は赤い花が犯人だと証言しているし、黄色い花の言うとおりこぼしたのは青い花でも白い花でもない。犯人は黄色い花でないから、白い花の証言も正しい。つまり、ウソをついているのは赤い花だ!」

 完璧な論理、完璧な答え。ヒロシは自信満々で答えた。だが。

「バッカやろう」

 シゲルはせせら笑った。


「花がしゃべるわけがあるか? ウソをついているのは、オレに決まっている」

実際こんな問題出されたら、巫山戯んな! って感じですね。

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