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第1話:異世界への扉

西暦20**年の日本。某県の一軒家。

時期は夏。学生達は夏休みを満喫している頃だ。

しかし、ここでは…


「麻生、夏休みなんだから外で遊ぼうよぉ〜」


ベットでゴロゴロしている女の子は、大きな機械をいじくっている男の子…麻生に、言葉を発する。


「姫凜…そう思うなら、ナルと一緒に行ってきなよ」


麻生は女の子…姫凜(きりん)に、呆れた表情をしめしながら、かけている眼鏡を人差し指で軽く上げた。 そして、もう一人の男の子…ナルに視線を送った。


「俺? 嫌だよ。だってコイツ、麻生いなきゃ暴走するし」


「むぅっ! 暴走とは何よっ!!」


近くにあったクッションを手に、ナルを叩き始めた。 片手を上げて

「だろ?」

と麻生に同意を求めた。


「ははは…僕だって、姫凜は止められないよ」


それだけ言い残し、麻生は再び機械いじりを始めた。 大きな機械は、麻生の父親が作った物だ。 だが、完成間際に、失踪してしまったのだ。


残された設定書によると、異世界に通じるものらしいが…。


「これが完成すれば、父さんの居場所もわかるはずだ…」


「麻生、そんなにお父さんに逢いたい?」

「ん…そうだね。父さんは僕の憧れだし」


目を細めて、今までを振り返る。そんな麻生が少し、切なく見えた。


「麻生はすごいな。俺の親父なんて酔うと絡んでくるから、嫌になるぜ」


「ふ〜ん。そうは見えないけども…」


姫凜の中で思い描いているナルの父親は、無精髭がトレードマークのがっちりした、中年のおじさんだ。

豪快だが優しいと…。


「だから俺、親父苦手」


おどけた表情をして舌を出し、肩を竦めた。

しかしそんなナルは、父親似で、やかましいくらいに賑やかな男の子だ。


「でもよぉ〜、姫凜の親父さんだって…」


「出来たっ!!」

麻生の一言で、姫凜とナルは、機械の方に視線を向けた。

見ればただの変哲もない、機械だが、 異世界を繋ぐ機械…。


「これで…これでやっと父さんに逢える…」


「それじゃあ、早速スイッチ付けよう、麻生!」


「うん!」


父親に逢える。ただそれだけの期待を胸に入れ、完成したばかりの機械にスイッチを押す。

途端に、機械から光が零れだし辺りを包み込む。


「失敗…?」


「そんな…僕は設定書を…」


麻生の言葉を最後に、光に飲み込まれた。

姫凜は、薄れる意識の中、必死になって手を伸ばした。

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