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Der Erlkönig
『へい、らっしゃーい!』
出迎えの掛け声が上がる。お客がきたらしい。
「お客様、何名様ですか?」
と、応対に出た瞬間、ちょっと顔が引き攣ってしまった。
「二人です。」
「かしこまりました。えー……」
店内を見渡す。ちょうど今開いた席があったので、そこへお客様を案内する。そして、メニューを渡すと、接客フロアを出て店長の元へ走る。
「て、て、てんちょおぉぉぉ!」
「なんだ? どうした?」
「ま……『魔王』が来ました!」
瞬間、店長の顔が凍り付いた。
「……厨房に行って、『魔王がきた』と伝えろ。そして、フロアスタッフに臨戦態勢に入るように言え。」
「りょ、了解しました!」
そのスタッフが走り去った後、店長は不敵に笑う。
「『魔王』さんよぉ、今日こそは覚悟を決めてもらうぜ。」
店長は内線電話をとると、厨房につなげる。
「いけ、超特盛り投下だ! 今日こそは『参った』と言わせるんだ!」
そのころ、先ほどの二人組は……
「なぁ、お前今日も超特盛り食うのか?」
「おうよ! オレがそれ以外を頼むわけないだろ!」
「……痩せねぇぞ?」
「そんなことを気にしてたらうまいもんは食えんぞ!」