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to live  作者: シロガネ
1/4

1 始まり



 お腹すいた……



 胃が空っぽなのが、分かる

 体が食べ物を求めてる



 お腹すいた……




 水で空腹を癒しどうにか飢えをしのぐのも限界が来た



 お腹すいた……!!



 お腹すいたお腹すいた

 何か食べたい何か食べたい

 助けて

 お腹がすきすぎて気持ち悪い吐き気がする

 胃壁がギリギリとひっかかれるように痛い



 耳鳴りから逃れるように(かす)れた声で意味もなく叫ぶ

 その声に混じって幻聴までが響き私を襲う




 だけど食べれない

 いや、食べてはいけない


 何故なら、わたしは――……











「…………通り魔?」

「この頃、ここら辺で起こっているみたいなんだ」



 ここは、警察署の一室。

 警視庁特別捜査課である、2人の会話が響いている。

 そのうちの1人、琉貴(ルキ)は、刑事であり、年齢は20歳を超えた頃だろうか。スラリとした長身を防弾服で包んでおり、異国の血が混ざっているようで、銀の髪と瞳を持っている。

「そんでね、その被害者は無差別らしいよ」

「では、秋本警部」

 琉貴の薄い色の唇がひらく。

「何故、同じ人物の犯行だと解るのですか?」

 秋本警部と呼ばれた彼は、琉貴とは正反対の容貌だ。

 小柄で幼く見えるが、これでも琉貴より3つ年上らしい。警察、という言葉がなによりも似合わなそうな青年だ。ふわふわした黒髪が、彼の動きにあわせて踊る。


「…………死体のね、殺され方がみんな一緒なんだって」


 琉貴の問いに、彼は声を(ひそ)めてゆっくりと事実を口にした。

 それはとても恐ろしい内容だった。

 一般人に知れ渡るとパニックになるので、どうにか警察の上層部が抑えているらしい。

 でももう噂になりはじめているんだけどね、と秋本は心底困ったように呟いた。

「どんな殺され方なんですか?」

「それはね……」

 秋本はまた、琉貴にその内容を語り始める。


 だから、その元凶だけを駆除すること。

 たった、それだけのしかし危険な任務。


「……そうですか」

「無理にとは言わないんだけど、ボクだけじゃとても大変でさ。手伝ってくれる?」

 秋本は子犬のような潤んだ目をした。

 琉貴は軽くため息をつくと、

「……分かりました、やらせてください」

 そんな顔されたら断れないじゃないですかと茶化し、書類を受け取った。

 そのとき琉貴はふと何かを感じて窓の方へと視線を移す。

 外では激しく雨が降りはじめていた。

「あれ? 雨降ってきちゃったね。天気予報じゃ、晴れだったのに」

 彼の視線につられるように窓に目を移した秋本は苦笑した。

「えぇ、今日は野外調査はできませんね。すみません」

「良いよ。こんな雨の日は通り魔もお休みしてんじゃない?」

 だから書類を頑張って読みなさい、とにんまり笑う。

「はは、そうなることを祈っています。頑張りますね」

 琉貴は、それではと軽く頭を下げると、部屋を出ていった。















 あ、雨だ


 しかも激しい


 きっとこの様子だと

 雷も鳴るんじゃないかな



 泥と共に

 わたしの罪も

 洗い流されたらいいのにね



 ……あぁ


 息を吸うと

 冷たい空気が入って

 肺から凍っていきそう



 空っぽな体と

 空っぽな心が

 ますます冷える



 寒い


 感覚が消えていく








 うん

 よかった




 多分このまま死ねるね



 雨なら人通りも少なくなるし


 これ以上罪を重ねてはダメだ



 そうだよ

 死ななくては




 雨の中

 静かに1人


 この暗い路地で




 ……どうか、

 人が来ませんように


















「台風かなぁ。すごい騒ぎだ」

 秋本は1人となった部屋から曇り空を眺めた。

 彼の心も、大嵐に吹かれた木々のように、ざわざわ、ざわざわ、何故だがざわめく。

 これは……きたかな?

 人一倍の直感力に優れてるおかげで、大したこともなさそうな彼は警部に、しかも難事件や怪事件を調査する特別捜査課に昇進できた。

 断言できる。

 これから何かが起こる。

 秋本は、これからあまり大変なことが起きないといいな、と呑気そうに目を伏せた。


「琉貴くん……ボクはキミを、巻き込んでよかったのだろうか……」















 遠くで雷が鳴った



 その音が合図か


 少しずつ、歯車が動き出す


 2人が出会う運命に向かって




 そのことは、

 まだ誰も知らない





 ついに始めてしまいました、

 ここでは初な長編小説です。


 かなり久しぶりに書くのでおかしなところが多々あると思いますが、

 よろしくお願いします。


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