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もう2度と誰かを愛せない

作者: レモン
掲載日:2026/10/31

 もう2度と誰かを愛せない、そう思ったのは、矢崎愛子、28歳。愛子は、昔から、年の離れた、落ち着いた感じの人が好きだった。少し前まで、50歳のオジサマと付き合っていたのだ。彼の名前は、柏木涼介。とても、優しくて、包容力があって、紳士だった。

 愛子と涼介は、10年の付き合いだった。愛子が、まだ、18歳で、涼介が、40歳だった。愛子は、本当に、すべての面で、涼介の事が、好きだった。涼介もまた、愛子のことが、かわいくて、しょうがなかった。

 愛子が、20歳になった時、2人は、同棲を始めた。愛子は、涼介の為に、料理を覚えて、一生懸命、作った。涼介も、愛子のためなら、何でもやって、手伝ってあげた。2人は、同棲をする様になってから、以前よりも、深く愛し合う様になっていた。2人にとって、楽しい時間だった。

 親子ほども、年が離れていたので、2人は

ほとんど、ケンカには、ならなかった。愛子は、甘えさせてくれる、涼介の事が、大好きだった。愛子は、涼介にすべてを捧げた。涼介に、溺れていった。

 だんだんと、涼介の方は、愛子と、距離を置くようになってきた。22歳という、年の差もあり、冷静に、自分を見つめるようになっていた。果たして、このまま、愛子と、続けてもいいのか、悩む様になっていた。

 でも、涼介も、愛子の事を、すごく、愛していたので、決断できずにいた。どちらにしても、あまり、長引かせてはいけないと、思っては、いるのだが…

 愛子は、適齢期にも、なってきていたので、涼介に、結婚をせがむようになってきた。涼介は、そろそろ、本当に、どっちにするか、決めないといけないと、思っていた。

 涼介は、まわりからは、分別を持つように、いろいろ、言われていた。そして、愛だけでは、暮らせないことも、承知していた。ただ、愛子とは、別れたくは、なかった。それでも、若い愛子の事を思うなら、別れても、いいと思っていた。

 辛い選択だったが、涼介は、別れを、選ぶことにした。これが、2人のためになるのだと思って。断腸の思いだったが。

 ある日、涼介は、愛子に、「俺たち、別れよう。」と言った。愛子は、血の気が引いた。「なぜ?」愛子は、言った。涼介は、「長すぎた付き合いだったけど、お互いの為に別れよう。」と言った。愛子は、「嫌よ。あなたは、逃げてるだけだわ。本当に、私を愛しているなら、私と、結婚して。」と、泣いた。涼介は、「それは、できない。愛しているから、別れるんだ。」そう言って、部屋から出て行った。

 愛子は、大声で泣いた。こんな、辛く悲しい別れがあるなんて、思ってもいなかった。涼介と別れたら、生きていけないと、思っていた。

どうにか、涼介の気持ちを、取り戻せないかと、思いを、巡らせていた。

 だが、涼介の決心は、固かったのだ。今、思えば、自分の方が、もっとしっかりしてなければ、いけなかったのだと、悔やんでいた。愛子を苦しませて、悲しませてしまったことに、責任を感じていた。

 涼介は、愛子が、28歳で、まだ、やり直せると、思いたかった。本当なら、愛子と、地獄の底まで、行きたかったのだが、自分の、理性が、邪魔をした。

 愛子は、相当な、落ち込みようだった。食欲も、なくなって、眠れずにいた。もう、涼介の事を愛したようには、誰も、愛せないと思っていた。こんなに、人を愛したのは、初めての経験だった。

 涼介も愛子も、ケンカ別れをする気持ちは、なかった。お互い、最後に、食事をして、別れよう、ということになった。辛い別れだが、お互いを思っての別れなので。

 お店のテーブルで、ワイングラスで、乾杯をしながら、ステーキを、食べていた。2人は、今までの、思い出話をしながら、食べた。愛子は、自然と、涙がこぼれてきた。愛子は、涼介に、別れても、涼介のことを、愛し続けると、話した。もう2度と、涼介を愛したようには、誰かを愛せないと。

 

 

 


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