ひねくれカウント
最初はどんよりするかも知れません、ですが、どんよりとしたままで終わることはないはずです!
僕は自分で自分のことを「ひねくれもの」だと思う。
理由は色々あるけど、言葉にするのは難しい。ただ、確実にひねくれているのだ。
今日は学校だ。
学校という場所は、より自分がひねくれていると実感する。
今日は、果たして何回自覚するのだろう。
僕はいつも通り、人で溢れた電車に乗った。
「ウチらってなんでモテないかね」
「やっぱり見た目かー?」
朝の電車で、女子高生二人が話している。
「見た目ー?いやいや、見た目で判断するとか、そのうち悪い女に引っかかるよ」
「なにそれ笑」
「やっぱ中身よ、中身、性格良い奴がモテんのよ大人になれば」
(見た目より中身、なんて、ブスの言い訳だろ。負け惜しみだ。人間は第一印象が意外にも強く残る。そのうちの「外見」はかなり重要だろう。)
電車の中で話をしていたとはいえ、そこまで大きな声ではなく、周りを気にしていたようだ。
性格はそこまで悪くないだろう。
ああ…ひねくれカウント1…
彼女たちが電車を降りるとともに、車内には人の言葉が失われた。
学校の最寄り駅に着いた。
運良く座席に座れていた僕は、周りの人に頭を何度も軽くさげ、いつものように降りた。
最寄り駅から学校までは、約5分。
僕はいつも、登校中は基本一人だ。友達とは登校する方向が違う。
地下の階段から地上へ出ると、ちょうど重なるように、男子2人組が歩いてきた。
「学校だるいなー」
「月曜日だしね」
(それには同意、月曜朝の電車の雰囲気といったらいかにも人間という感じで、なんだか重々しい。)
電車なのに、悲しそうな曇り空がある。
僕は彼らと一緒に学校に着いた、門に立っている先生が、
「おはよう!」
「月曜朝からよく来たな!」
(そんなことを言って、先生も朝から面倒臭いだろうに、ご苦労さま。)
ひねくれカウント2…
朝から2回もひねくれを自覚している。
先生は優しい言葉をかけてくれたのに、なんでこんなことを思ったのか、
電車の女子高生だってそうだ。僕にはどうでもよかったのに。性格がいい方が悪いより全然いいはずだ。
僕だって、選べる立場にいるのなら見た目より性格を選ぶはずだ。
余計なことを考える自分が少し嫌になる。
(そうだ!今日からは教育相談だから早帰りのはず!)
僕は心が弾んだ。月曜からなんていい気分なのだろう。
先程の男子二人組も気づいていなかったのだろう。
「おはよう!今週は早帰りだよな!?」
先程の2人組に、一人の男子が話しかけていた。
「えっ!?まじか!」
晴れ晴れとした歓声だ。嬉しいに決まっている。
番号順でいけば、今日僕は対象だろう。
さっきまで、なんだかどんよりとしていた心は正門をくぐった辺りで消え去った。
あの門は神社の鳥居なのか、そんな風にも感じるほどに。
僕はいつもより弾む足取りで、教室へ向かった。