表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/99

6-1



レイが目覚めると、辺りは暗くなっていた。




(何をしてたんだっけ……)




記憶が朦朧としている。


そんな中、ふと思い浮かんだのは、エリオットの言葉ーー。




『その時は、笑ってやれ』




ハッキリとその言葉が再生されたと同時に、レイは一気に起こった出来事を思い起こす。




そして身の毛のよだつ思いがした。




(僕…あの魔物と、戦ったんだ……)




思い出すだけで身体が震え出す。


この世には、あんな恐ろしい生物がいる。その生物は自分を狙っていた。


レイの胸に、もう二度と平穏は戻らないという確信が重くのしかかった。




(僕は、どう戦ってたんだっけ?)




レイがそう思いながら頭を抱える。


戦っていた時は、暴走に身を任せ、親友との別れで苦しかった思いしかない。戦い方も覚えていない程だった。


正直、死を覚悟していた。自分はどうなっても良いと思っていた。


しかし、眠りにつく前、エリオットが言っていた。




サムが、レイを助けてくれと頼んだと…。




「……サム」




レイが名前を呟くと、心が締め付けられる思いがした。




(サムと、ちゃんと話したい……)




ギュッと拳を握り、レイはサムの顔を思い浮かべる。傷付けてしまった後悔がズッシリとレイの心に重みを増しているのと同時に、サムの強張る表情が脳裏から離れない。


レイはサムに会いたいという気持ちを押し殺した。




そして、自分が"黄金のドラゴンの瞳"になっていた事も思い出す。


よりによって自分が恐怖する瞳になっていた。




(どうしてこんな事に……)




レイは寒さに震えるように、自分の腕を抱え込んだ。




教会で暴走した時の周囲の人達の驚いた顔や、先日エリオットが言っていた『目』という言葉の意味がやっとわかった。




「やっぱり、僕は……ドラゴン、なんだ」




呟いた瞬間、レイの胸の奥が苦しくなる。




この事実を、レイはまだ受け入れられなかった。


モヤモヤとした気持ちの中、レイはベットから立ち上がり、1階へ降りようと歩き出す。




立ち上がるのもやっとだった身体は、ふらつきもなくなる程だいぶ回復していた。たまに痛みが走るが、生活するには問題ない程度だ。




(回復魔法ってこんなに効き目があるんだ……)




レイは驚きながらも、ゆっくりと1階のリビングへと向かう。




.

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ