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(ここは、何処だろう…?)




気がつくとレイは宙を漂っていた。




周囲を見渡すと何も無いただの白い空間が広がる。


身体を捻り、勢いを付けて回転してみる。


意外と勢いがあったようで、くるくるっと2回転ほどした。




(何も、無い。そして、ちょっと楽しい…)




レイは何度か回転してみた後、身体を謎の浮遊力に任せてフワリと漂う。


無垢な空間は何処か心地良さを感じた。


その温かさにレイは静かに目を閉じて身を委ねる。




(この温かさ……身近で感じた気が……)




不意に眠気を覚え、考えるのをやめるレイ。




しかしーー




ーバキバキ、バキン




突然空間が大きく振動し、激しく割れるような音が聞こえた。




その瞬間レイは目を開ける。


するとレイの身体は、黄金の球体に包まれていた。




「!?」




レイは慌ててその球体に近付き、手を当ててみる。外からは完全に隔離されており、叩いてみても壊れる様子はない。




焦るレイは、何が起こっているのかと外を見る。




すると、白い空間には大きな亀裂が至る所に入っており、今にも崩れそうだった。


亀裂を辿って下の方へ目をやると、金色に輝く光が近付いていた。




(まさか……あれって……!)




レイはだんだん姿が露わになっていく光に驚愕する。身体が震え、血の気が引いていく。




「ド、ドラゴン……!」




レイが真臓に飲み込まれた時に見た気がした、黄金のドラゴン。


そのドラゴンがこちらに向かって飛んでくる姿を目にする。




(逃げなきゃ!)




そう思った時、咆哮が響き渡る。




その振動はヒビの入った白い空間をいとも簡単に粉砕した。散っていく白い破片は、レイを包む黄金の膜に容赦なく降りかかる。




破片がぶつかる度に、球体は大きく揺れたが、レイはピクリとも動かない。




レイはドラゴンの叫び声を聞いて、身体が思うように動けなくなっていた。




(な、なんで、動かないの…?)




焦るレイは、重い頭をなんとか動かし、上空を見上げる。


すると、鋭い破片がレイを目掛けて落ちて来ていた。




「あ……っ!」




レイは無表情を崩し、顔を歪める。




(ここで、僕、死んじゃう……?)




逃げられないもどかしさと、何処か諦めにも似た気持ちが折り重なる。




これも一つの選択なのかも…レイが近付く破片を茫然と見つめる。




すると突然、黄金の球体が変形し、襲いかかる破片へ向かって盾のように形を変えた。




「え…?」




レイは目を見開いて、その様子を見つめた。更に驚いた事に、盾の前にドラゴンが現れ、破片に向かい打つ体勢を取っている。




何故ドラゴンが…と、目を丸くするレイ。




するとドラゴンは破片に向かい、再び咆哮した。




その瞬間、ドラゴンの身体が金色に光り輝く。




その眩さに、レイは思わず目を瞑った。




すると、頭に直接声が聞こえた。




『待っている。お前が求める時を』


『待ってます。私達を必要とする時を…』




「!」




.

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