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「本当はレイに付いていたいが、わしは今回の事を大司教様へ報告せねばならん。他の村への視察もある。レイの事を司祭達に任せるしかないんじゃが…」
ローレンヌは、周りに佇む司祭達を見渡す。
司祭達は皆それぞれ役割を担っている為、任せる者の選定にローレンヌは頭を悩ませた。
その様子を見たエリオットが、ふと口を開いた---
「コリー、お前は浄化活動があるよな?」
突然の質問に、コリーは「え?」と焦って反応した。
「そ、そうですね……最近瘴気の出現が多いので、難しいかも…です、けど?」
「だよな。マッシモ、お前も精霊の世話があると言っていたな?」
「あぁ。浄化の出来る精霊を見なくてはいけない」
続けて質問するエリオットにマッシモが答えると、「そうか」と呟き、
「じゃあ、俺が行くしかないな」
真面目な表情でキリッと顔を決めるエリオット。
それを聞いて司祭達は目を疑った。
そして、コリーが一番に声を上げる。
「いやいや、何言っちゃってるんです!? 先鋭部隊のエース! 副隊長! 貴方が一番忙しいでしょう!?」
「いや、忙しくない。俺が行く」
こうなったら意地でも意見を通すエリオットだと、コリーもマッシモも知っていた。
「え~……はぁ」
「……本人が、良いのであれば」
コリーはため息を吐き、マッシモはフッと笑ってエリオット見る。
ローレンヌはやり取りを見て、エリオットを見上げた。
「では、エリオット、お主に任せても良いかの?」
「もちろんです」
エリオットは真剣な表情を見せる。
「自分の仕事もきちんとこなすんじゃぞ?」
「心配無用ですよ。司教様」
エリオットはムッとした顔でローレンヌを見る。
それを見てローレンヌは笑顔で頷き、周囲を見渡す。
「皆、少し休めたかの? 疲れているじゃろうが、急いで元に戻すのじゃ。鑑定の儀式は、まだ終わっておらぬからのぉ」
ローレンヌが、ゆっくりと立ち上がると横にいたコリーとエリオットも同じく立ち上がり、ローレンヌを支えた。
「未来のある若者達の為に、更に華やかに飾ってやってくれ」
「「「「「はい!」」」」」
ローレンヌの一声で教会内が一気に活気付き、鑑定の儀式の再準備が急ピッチで進められた。
(司教様の一言で、一気に会場が元に戻されていく!)
サムが魔法を使いながら元に戻していく司祭達をキョロキョロと見ていると、
「サム」
と、ローレンヌから声を掛けられる。
「は、はい!」
「レイは一度、司祭棟へ連れていく。この様子だと目を覚ますまで時間が掛かりそうじゃ。サムは、ここで儀式が終わるまで待っていなさい」
「え、俺、レイと居たいんですけど」
レイを抱き抱えるサムの腕は、無意識にギュッと力が入る。
「そうして貰えると嬉しいが、この儀式の後、魔力のある者に説明しなければならない事があるんじゃ。帰りは一緒に帰れるようにするから、待っていてくれないかのぉ?」
「…わかりました」
「ありがとう、サム」
渋々と頷くサムの頭に、優しく手を置くローレンヌ。
会場はあっという間に元に戻され、元より更に花が添えられ華やかな雰囲気になっていた。
サムは、レイを司祭に任し、自分の座っていた席へと戻った。
そして、教会の扉が開かれ、先程教会に居た子供達や親達が続々と教会に入ってくる。
先程の出来事は無かったかのように、彩られた教会内を見て、皆感嘆を漏らしている。
そんな中、サムは1人神妙な面持ちを見せていた。
(レイ……)
サムは静かに拳を握る。
レイの無事を祈りつつも、ただ抱きしめる事しか出来なかった自分の非力さが、胸を締め付けていた。
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