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竜血少年は、力加減が難しい  作者: moai
第一章:始まりの儀式
23/107

7-5



「あなたは……まず、魔力を持っています」


「……っ」




その瞬間、レイは顔をしかめた。


望んでいなかった答え。


想いと反する結果が、レイの胸にズンと重くのし掛かる。




エリオットはそんなレイの表情に気付いた。




(ローレンヌ司教の言った通り……魔力は望んでいないようだな)




レイの様子にどこか納得した表情を浮かべつつ、エリオットは淡々と続ける。




「その魔力は、かなり質が良いです。その純度の高さから専属魔力と呼んでも良いでしょう。


 そして、その属性は、"光"。


 かなり希少なものです」




「……」




レイは、険しい目つきでエリオットを見つめ返す。




その背後では、ざわめく声が教会に広がっていた。


「すごい…!」


「光属性だって」


「羨ましい……」


称賛と羨望の入り混じる声。




その一つひとつがレイの胸に棘のように突き刺さる。




(こんな魔力……欲しいなら、くれてやりたいくらいだ……)




レイの心は、暗く深い底へと沈んでいく。


だが、エリオットの声は容赦なく続いた。




「種族については、魔力量が多く、真髄の完璧な把握に至りませんでした。わかったのは、人間と……異種族の"混血"である、という事です」


「……混血……?」




レイは目を見開き、戸惑いに満ちた目でエリオットを見つめた。


"ハーフ"だと、一度も考えた事のないレイ。


その現実をなんとか受け入れようと、"混血"という言葉を心の中で何度も繰り返す。




「それと、精霊のシンボルも見えました。今後、何かをきっかけに、精霊と心を通わせる事があるかもしれません」


(精霊……!)




昨日聞いた不思議な声を思い出し、レイは少し腑に落ちたような表情を浮かべる。




教会内の人々は、今回の儀式で初めて出た"精霊"と言う言葉に、一層騒がしくなる。


「精霊!?」


「珍しい……」


「あの子は何者…?」


レイが、ざわめく声や気配に気を取られた…




その時---




「レイ・シェルマン」




声を掛けられると同時にエリオットからグッと手を握られる。


驚いたレイはハッと顔を上げると、目の前にエメラルドの瞳があった。




「この後もう一度、鑑定をしましょう。もう少し時間を掛けて、あなたの事を見させて下さい。宜しいですか?」




その声は穏やかだが、眼差しは真剣だった。


ジッと無言で懇願してくるエリオット。




レイは戸惑いながらも小さく頷く。




「は、はい…」




それを聞いてエリオットは頷くと、握っていた手をゆっくり離す。




「ご健闘を、お祈り致します」




そう言ってエリオットは微笑んだ。


その表情と優しい言葉に、レイは少し申し訳ない気持ちを抱く。




(嫌なエルフさん、じゃなかった……そう思ってて、ごめんなさい)




レイは色んな意味を込めて、エリオットにペコリと頭を下げる。




そして、背中に突き刺さる熱い視線を感じながら振り返った。




羨望、嫉妬、期待---様々に送られる眼差しが、レイにとっては煩わしかった。




(魔力なんて、欲しくなかったのに……)




頭を上げず下を向いたまま、レイは足早に席へ向かう。


そして、心を落ち着かせる為、席に着いた時のサムを思い浮かべた。




(サムは、どんな反応するだろう……)




そう思った時、レイの中に、ふわりと温かい気持ちが込み上げた。


レイは、少しだけ足取りが軽くなり、歩みを進める。




そして、ちょうど身廊の中央に差し掛かった次の瞬間---




ガシッ


「!?」




不意に、背後から肩を掴まれる。


レイは反射的に身体を震わせ、すぐに振り返った。




そこには居たのは、濃い紫色の髪を揺らしながら、射抜くような藍色の瞳をレイに向ける青年。






教会内の空気が、一瞬にして張り詰めた---。




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