7-1
朝ーー。
レイは目が覚ますと、
視界がくっきりと見えた。
久しぶりに熟睡出来たレイは、ゆっくりと身体を起こす。昨日のような怠さや重さはなく、頭の痛みもない。嘘のように症状が引いていた。
(ロリエンさんの薬……本当にすごい……!)
感激した途端、レイはハッと気付く。
「……ロリエンさんは、僕の病気の原因が、わかってる……」
その瞬間、レイは血の気が引くのを感じた。
昨夜寝る前に、『覚悟しておいて』と言ったロリエンの言葉。その事と、きっと関係があるのだろう。
魔法の事? ドラゴンの力の事?
レイはなんとも言えない不安に包まれる。
鼓動も早くなり、ここから逃げ出したい衝動に駆られた。
もし、自分の嘘がバレたら……。
もし、自分がドラゴンの混血だと知られたら……。
レイの脈打つ心臓が、早く逃げろと言っているようだった。これまで見てきたロリエンとギルミアが、自分に危害を加える事はない。だが、まだ信じられない気持ちもどこかあり、レイは落ち着いていられなかった。
(話を、しなくちゃ……)
鼓動が耳元で響くのを意識しながら、レイは一歩ずつ階段を降りた。
1階に降りると、ダイニングに座るロリエンとギルミアがいた。
二人はレイを見るなり、ロリエンは笑顔を見せ、ギルミアは少し顔を綻ばせる。
「おはようございます、ウィア」
「今日は起きれたのか」
いつも見せる二人の態度に、レイはホッと胸を撫で下ろす。しかし、それも束の間、ロリエンが真剣な表情へと変える。
「ウィア、起きて早々申し訳ないですが、お話出来ますか?」
(きた……)
レイは冷や汗を流す。
背筋から冷たいものが走り、拳からじんわり汗が滲んだ。
逃げ出したい衝動を抑えて、レイはロリエンをまっすぐに見た。
「……はい」
頷いたレイを見て、ロリエンは微笑む。
温かい笑みだが、隙のない視線が突き刺さり、レイは緊張する。
ギルミアは状況がわかっていないようで、ロリエンとレイを交互に見ると、ロリエンに声をかける。
「師匠……あの、何かあったんですか?」
ギルミアの方へ視線を移し、ロリエンは微笑みから真剣な眼差しへと変えた。
「ギルミア、もしかすると貴方にとって、つらい話になるかもしれない」
「……どういう事ですか?」
ロリエンの言葉にギルミアが怪訝な表情を向ける。
「一緒に話を聞くかい?」
ロリエンがギルミアの質問に答えず、穏やかな口調で尋ねる。ギルミアは予期せぬ話に戸惑いながら、頷いて見せた。
するとロリエンは立ち上がり、ギルミアとレイを見つめる。
「では、二人とも、外へ出て話しましょう」
余裕のある笑みを浮かべ、ロリエンが玄関へと向かう。ギルミアとレイはお互いに視線を交え、ロリエンの後へと続いた。
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