6-1
次の日も、レイの体調は優れなかった。
ギルミアは相変わらず厳しい態度を見せながらも、心配をしてくれる。
「昨日みたいに、突然倒れられたら……困るからな」
言い方はぶっきらぼうだが、自分の事を心配してくれているのだと、レイは嬉しかった。
レイはロリエンに、昨日と同じ薬を調合してもらい、それを飲んだ。
するとレイの体調はみるみる回復する。
(流石、ロリエンさん…!)
その時のロリエンの表情は、あまり良いものではなかった気がする。
ひとまず体調が戻り、三人で朝のルーティンをこなした。
瞑想中。
レイの脳裏には、前に夢で見た"金色のベール"が現れた。
夢の中では、崩れる白い壁からレイを守るように包み込んでくれた、金色の球体だったが、
今は、金の光として宙を漂う。
温かく、穏やかな光は、レイを励ましてくれているように輝いていた。
瞑想の間、レイは、その金色の光をずっと眺め、話しかける。
しかし、返事はなかった。
そして、今日もまたギルミアの方から、安定した魔力を感じた。
その力は、最初に感じたものより、少しずつ強くなっている。
そのギルミアの魔力に、レイは圧倒された。
午後は、ポーション作りを中心に作業を進めた。
この日は中級ポーションを作るという事で、追加の材料を森で摘み取りに、森へ足を踏み入れる。
レイが不安になる中、ロリエンは、意外にも家が見える辺りで足を止める。そして、魔法木に絡みつくツタの花を見つけ、その花弁だけを採取した。
その植物は、"ダイモンリリー"と呼ばれ、ユリのような花を咲かせる。その花弁は厚みがあり、しっとりとした艶が特徴だった。
見る者に不思議な威圧感を与えている。
その色は黒に近い青い色をしており、『悪魔の花』とも呼ばれる。
毒々しい色をしているが、この花弁から採れる蜜が、中級ポーションに必要との事。
ロリエン曰く、
『救いの蜜、咎の花』
と言われる程、蜜には治癒力があり、花弁のまま使用すると毒があるらしい。
ロリエンは一階の自室の書斎へ籠り、ギルミアとレイが調合部屋で作業をする。
この蜜を取る作業を任されたレイは、午後はひたすら花の蜜を搾り取る。
その際、レイは何度も視界が揺れる思いをした。
しかし、ダイモンリリーの甘い香りを嗅ぐ度に、揺れや痛みを和らげ、作業を進めることが出来た。
夜、レイは夕食が喉を通らない程体調が悪かった。
身体が重く、酷い頭痛に悩まされる。
しかし、ギルミアとロリエンを心配させまいと、なんとか食事を済ませ、苦しみながら、眠りについたのだった。
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