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神様が英雄を呼び覚ます日

左右の瞳が違う女は寝ているはずの男にいきなり手を繋がれ戸惑う。神様は手を繋ぎながら

女の瞳、鼻、口という顔に付属している部分を柔和な顔についてる金色の瞳が見つめる。その瞳は全てを許容して、抱きしめてくれる母または父の様な安心感がした。


「腹減った〜〜」


先程の親が子に向ける様な温かい眼差しからは一転して無邪気な子供が親にご飯を催促する様な表情に変わる。女はその男の表情の起伏の変化に戸惑って上手く言葉が出せなくなっていた。


「ここら辺で飯ある場所知ってる?」


ここで女は先程いびきのような音の正体が腹の音だと思考が追いつく。


「この街に飲食店はないです。」


女はこの荒涼とした街を丘の上から見下ろしながら、この残酷な世界に打ちひしがれた世界に抗うような弱さを噛み締めた声で呟く。


「私を含めたここのは人は他人に共有するための食糧も気概もありませんから。」


無意識に少し卑屈な声色で答える。卑屈になってもこの街は何も好転しないはずなのに、卑屈になってしまうそんな矮小な私が嫌いだ。


「君はこの世界に生まれて幸せ?」


女は男の質問に怒鳴るように言葉を放つ。


「幸せなわけない!ここは幸せから隔絶された、、、いわば地獄だ。」


「そんなはずはないと思うけど、地獄と現世の場所間違えるはずないから。」


神は女にまるでそれが世界の真理かのように語る。女はその何様目線で語る神に怒りを覚え、顔の筋肉が硬直していく。


「違う!神はこの街を愛さなかったせいで私達は飢えで死に、死の恐怖で市民は支配され、誰もが誰かを殺していくんだ!この街を愛さなかった神のせいだ!!」


女は理解していた。これは根拠も証拠もない考えにも満たない、ただの八つ当たりであることを。しかし、女は目の前で寝ながら話を聞いている男に聞かせたかった。何故かは女の中でも理解できてない。


「神は愛せないよ」


「え、、、?」


「この世界に創りあげた唯一神には愛するという感情はないからね。」


神は立ち上がり、女の方を向く。実際には女と神には相当の身長差があるので、正確には女の頭上に存在する空間を見る。神は女の顔をよく見たいがためしゃがんで女と目線を合わせる。左が翡翠のような緑色に対し、右目はルビーのような真紅の瞳をしている。この緑と赤を常時輝かせている女を神はまるで昼には緑色、夜には赤色に輝くアレキサンドロスの上位互換のようだと思った。女の顔は蒼白で唇が乾燥で切れている。体も枯木のように細い。この街に食料がないことは本当のようだと神は思った。


「じゃあ、なんで私達はこんな地獄にいるんですか?」


女は先程の神の言ったことを当然信じていなかった。唯一神が愛を知らないみたいな記述は聖典を読んだことはなかったが書いてないと思ったからだ。だけれど、女はこの目の前のこの神みたいな美しい男に聞いてみたくなった。


「英雄がいないからだ。」


「英雄、、、」


「この飢餓で満ちた世界で民衆は飢えを我慢できず他者の食料を奪い、または歯車が壊れた食欲を別の欲で誤魔化す。そんな暗闇な世界に光明を示す英雄が必要だ」


「貴方がその英雄なんですか?」


今雲を貫きこの汚い世界を光明で照らされてい目の前の男こそが英雄だと女は思った。思うしかなかった。そうじゃなければこの世界は私の寿命で腹を肥やし私の幸せを奪ってしまう気がしたからだ。


「俺は英雄ではないけど、俺はこの街の英雄を知っている。」


女は神の言った衝撃発言を聞いても眉ひとつ微動だにしなかった。仮にこの街に私達を救ってくれる英雄がいるのであれば、今まで私達が死の物狂いで生きていたのにそいつはその間何をしていたのか。英雄は生まれた瞬間から英雄であって、ただの凡夫が突然変異して英雄になれるわけないと思った。


「じゃあその英雄とやらは今まで何をしてたっていうんですか!この街にはそんな才覚を持っている人はいない!」


「英雄とは才覚を持っていることではないよ。」


女は男の言っていることを到底理解できなかった。


「英雄に必要なのは永久不明の意思だ。頭の良い必要もなく、喧嘩が強い必要もない。それらは炎のような意思によって生じる副産物でしかない。」


神がそう断言する。


「生まれ持った才能に驕った者は英雄には勝てない。それは何故だかわかるかい?:


神はまるで授業をする教師のような口調で女に質問する。女は呆気に取られながらも言葉を紡ぐ。


「才能に溺れる者は特訓をせず、英雄は意志に従って特訓するから、、、」


神は口から笑みが溢れる。まるで生徒が教師の意図を汲み取って解答したみたく。


「人が意思を従えるのではなく、意志が人を従える考え方は面白い!」


女はあまり褒められる経験がなかったせいで、今胸に広がる変な感情の逃し方がわからなかった。


「才能は九分九厘が遺伝子によってもたらされるが、意志は遺伝しない。遺伝子よってもたらされた才能はオリジナルからだんだん離れていって弱体化していく。」


女は神の言葉を遮り質問をする。もっと褒めて欲しいから質問したのか、ただ単純に疑問に思ったから質問したかは定かではない。


「オリジナルとは何ですか?」


「オリジナルは例えるなら才能の源泉だ。源泉から枝分かれしていくつもの川は生まれるが、もちろん源泉の水力は川が枝分かれするにつれ、弱くなっていく。」


女は頭をフル回転させ思考する。


「つまり才能は遺伝をすればするほど弱くなるってこと、、、」


神は女の理解の速さと解釈の領域が広いことから女な評価を引き上げた。


「才能を遺伝した者はオリジナル、、、つまり才能を自ら創り上げた者の下位互換にしかならない。」


「オリジナルはどうやって才能を創り上げたんですか?」


神はこの話の核心をついに話し出す。


「オリジナルなる条件は一つある。それは英雄であることだ。」


女はわかりそうでわからないこと板挟みになる。


「英雄は永久不滅な意志に宿る。それ意志に誘われるように、才能がよっていく。つまり才能もまた永久不滅の意思の副産物しかない。」


女はこの世の真理が見えたように感じた。まるで新しい数学の公式がこの瞬間に生まれたように。


「だから君には英雄になってもらう。」


「へ?」


女は真理に呆気に取られていて、阿呆みたいな口調になってしまう。


「さっき貴方はこの街に英雄がいるって言ったじゃないか。」


神は女目掛けて指を指す。男の指がそのまま私の心臓を貫通した錯覚になる。


「だから君がこの街の英雄だよ。さっき君は言ってたね。この街の英雄は私達が苦しい状況で何をやっているのかと。その答えを今答えるよ。

正解は憎んでいたんだ。この世界、自分の無力さを。その憎しみの力が俺と君を出会わせた。

そして俺との出会いをトリガーにして、君が英雄になってこの街を救う。これが君の物語だ。」


「私が、、、英雄に、、、。」


「そうだ君がこの街の暗雲を晴らす英雄になるんだ。」


女はまだ理解が追いつかないのか、顔には混乱の色が見える。


神は心の中でこの長々と説明した理由を呟く。


「君が英雄になってこの街を飢餓から救わないと困るんだ。だって俺の腹が今にも飢餓になりそうなのだから‼︎」


神の腹から「グゥー‼︎」と今まで最大の咆哮を上げるが、奇跡的に女は深く思考しているのか、その咆哮は聞こえなかったみたいだ。


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