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パズルを解け!パズルウォール

研究所にて。


れみは、ある物に向かい合って悩んでいた。

「むむむむむむむむむ…!」

ひたすらこの、むむむむ!を言い続けてる…彼女のすぐ横では、昼寝をしようとしてるれながいるのだが、あまりのうるささに苛ついている。

「…うるさいわ!そのむむむって声、何かムカつくからやめろ!つーか何してるんだよ!!」

ベッドから飛び起きるれな。


見てみると、れみはパズルに集中していた。

ピースは半分以上収まっているのだが…どうやらここらで行き詰まったらしい。

パズル…頭を使うのが苦手なれなは助けられないと感じたが、半分以上完成してるのだ。もうここまで来たら、苦戦する要素は少ないと思われるが…見ての通り、れみは悩んでる。

ピースを取っては床に置き、取っては置き。同じ事を繰り返す様にじれったくなるれなは、パズルをマジマジと見つめた。

青空と草原が描かれた、シンプルな絵だ。大体の形は既に分かるくらいに完成している。



それからは、れなも渋々共にピースを手に持ち始めたのだが…。

「あれ、これどこだろう…」

なんと、あれだけ余裕をかましていたれなですら、迷ってしまった。このパズル、何か不思議な力があるようだ。


二人がパズルと睨み合ってるところへ、窓から声が聞こえてきた。

「ふひひひ、迷ってる迷ってる。ザマァねえな!」

見ると、窓の向こうには蛙型の怪人、ガンデルと、紫の球体型の生物…デビルマルマン、闇姫軍の精鋭二人が覗いていた。

れなが立ち上がり、拳を握る。

「お前らの仕業かこのパズルは!!?」

「そうよ。そのパズルを作ったのは僕だからね」

答えたのはガンデル。

よく見ると、彼は手に装置を持っていた。装置を見られるなり、彼は赤いボタンを押す。


すると…れみの手元にあるパズルのピースの形が、少し変わったのだ。何と、この装置でピースを操れるらしい。

今まで知らぬうちにピースを操られ、それで試行錯誤させられていたのだ。

れみが怒りに身を震わせる。姉を押しのけ、ガンデルとデビルマルマンに近づく。

「てめえらああ!!断じて許さぬ!!」

デビルマルマンは表情を変えないが、ガンデルは大笑い。れみの怒りを前にしても、その余裕は微動だにしない。

「パズル、進めば進むほど簡単になってきてくるのが何か気に入らないから、こんな物を作ったんだよ。1日たっぷり楽しむが良いさ!あ、ついでに」

ガンデルはデビルマルマンの背中を軽く叩く。同時にデビルマルマンは両手から風を放ち、部屋の物を吹き飛ばす!

壁に激突する二人。今まで嵌め込んでいたパズルのピースも、見事に散り散りに。

笑いながら去っていく二人。何という悪逆行為だろうか。

我慢ならない二人は、もはやパズルなどそっちのけ。やつらを締め倒すまでは再開できない。


テクニカルシティの歩道に出ると、逃げ去るやつらの姿が見えた。姉妹は追いかけていくが、その途中妙な事に気づく。

歩道に人が一人もいないのだ。人っ子一人いないとはこの事。街は妙な静けさに覆われている。

異様さに気づいた二人を見て、ガンデルが大声で言う。

「実は街中にパズルを撒き散らしたんだ!皆パズルに夢中になって他の事が手についてないよ!」

このままでは街の経済がストップしてしまう。姉妹はより加速し、ようやく二人に追いつきそうだ。

しかしこの二人はこう見えて闇姫軍屈指の精鋭、四天王だ。本気で走っていない事は火を見るより明らかだった。

「ちっ、しつけえやつらだな。お望みなら相手になってやる」

デビルマルマンが立ち止まり、両手に電撃を纏わせる。闇姫軍最強クラスの魔術の使い手だ。姉妹は気を引き締めるが…。


ガンデルがそこへ横槍を入れた。

「まあ待てよデビル!せっかくパズルがあるんだから活用しようぜ!」

そう言うと、彼は装置のボタンの一つを押す。


すると、そこら中の建物という建物から一斉にピースが飛び出し、向かってくる!そのあまりの密度に、ピースが互いにぶつかり合い、音を立てている。

二人はあっという間にピースの群れに呑まれ、動きを封じられてしまう。拳や足を突き出して攻撃を試みるが、これだけの数と小ささでは中々当たらない。まさかピースの嵐に呑まれる事になろうとは、十秒前までは夢にも思わなかった。

ここでれなは半ばやけになり、地面に拳を叩きつけた!

広範囲に亀裂が走るが、その際、風圧が発生し、ピースは吹っ飛んでいった。

「待てー!!」

追跡を再開だ。

ガンデルはため息をつきつつも、尚笑顔のまま。まだ何かを隠してるようだ。

「ふん、なら今度はこれだ!」

ガンデルが指を鳴らすと…今度はコンクリートの地面を突き破り、大きな壁が道路一杯に広がった!壁はいくつも出現、一列に並ぶようにテクニカルシティに鎮座する。

壁の向こうから、ガンデルの声が聞こえてきた。

「この壁は僕が開発したパズルウォール!」

名前が発覚すると同時に、壁にイラストが出現。

山、湖、森、そしてそれらを乗せた大地。いくつもの自然を描いた美しいイラストだ。

そのイラストは無数の破片となってしまい、地面に散らばる。

「そのパズルを完成させないとこの壁は突破できないぞ!拳で破壊しても構わんが、破壊すればお前らは何でも力で解決する馬鹿だと言う事になる!!」

悔しそうな姉妹。姉妹の悔しがる顔を見れず、惜しむガンデルの声が聞こえてくる。かなりの量のピースに、あんな派手なイラスト。これは時間がかかりそうだ。


…と、ここで、四人全員にとって予想外の事が起きる。

「おいガンデル!俺等も壁に挟まれてるんだが!!?」

デビルマルマンの声がする。



…そう。ガンデルはうっかり、パズルウォール同士の間に挟まってしまったのだ。

つまり彼等もパズルを解かなければならない状況。

「うわーーなんてミスをしてしまったんだ!!でもそんなドジっ子なボクも可愛い!!」

「うるせえ!!何とかしろよ!!!!」

二人のコントじみたやり取りが聞こえてくる。



目の前に聳える壁を見上げ、唸るれなを見て、れみは呆れたように呟いた。

「…私達飛べるんだから。素直に飛び越えようや…」


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