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前書き【先生のアノニマ 2(中)〜本編前のご挨拶3/3】

 まと一石です。私の作品をご愛顧いただいております極々少数の皆々様。大変ご無沙汰致しております。

 さて早速ですが、大変お待たせ致しました。この度ついに「先生のアノニマ 2(中)」を投稿させていただくお運びと相成りました事を、ここにご報告させていただきます! 前編の「先生のアノニマ 2(上)」に続く作品となりますが、前編の終了から苦節二年弱。どうにか書き上げる事が出来てホッとしております。

 ここでご案内ですが、本編は「中編」ですので、お読みいただく前に、「上編」をお読みいただいた後でお目をお通しいただければ幸いでございます。また、本シリーズ「先生のアノニマ 2」には、その前作となる「先生のアノニマ」なる作品もございます。「2」をお読みいただく前に、「1」の方もお読みいただく事で、より物語の奥行きを感じる事が出来る? 作りとなって? おりますので、お時間がございましたら是非お読みいただきますと嬉しいです。以上、回りくどいご案内でした。

 そんな話の流れですので少しお断りではございませんが、一言書き添えておきますと、次の作品の投稿まで約二年もの時間を要する作家は、一般的に遅筆の部類になるんだろうと自覚はしております。が、未完結のまま随時投稿しますと、絶対論理崩壊を起こして大々的な修正の嵐を引き起こし、混乱を招く事必定と心得ておりますので、完結した後の一括投稿とさせていただいております。何分、アマチュア作家のやる事ですので、その辺りはご容赦いただければと。ですのでこの「前書き」も、本編を書き上げた後、のんびり書かせていただいております。世の作家の方々がどうなのか私には分かり兼ねますが、個人的には本編を書き上げて投稿する直前の、「前書き」と「後書き」の執筆は、本編執筆に並ぶ楽しみの一つです。フリートーク感がいいんです、何か。でも、読者の方からすれば、素人作家のフリートークなんか駄文みたいなものでしょうから、ここいら辺で切り上げまして、少し本編について触れといた方がいいでしょうね、前書きなんで。

 今作の中編は、シーマ少佐(先生)が学園に赴任して二年目の物語です。警護対象のアンも高校二学年に進級します。学園物の物語というのは、年度替わり(日本では四月ですが)に新キャストが乱入してくるもので、数々の作品の例に違わず今作におきましても、やはり新キャストがそれなりの存在感で登場します。それを迎え入れる(または迎え撃つ)旧キャスト陣は、それ相応の覚悟が必要な展開です。だって、そうじゃないと盛り上がらないんで。てな事を言っていると、シーマ先生なんかは後ろの方からじっとり湿った目つきで私を睨んでくれます。その一方で、飽きもせずその隣にいる紗生子なんかは、見事な脚線美を誇る御御足を組んで、盛大に踏ん反り返ったお決まりの存在感をひけらかしながら鼻で笑って捨て置いてる。そんなチグハグな二人が中心で進む展開は相変わらずです。ていうか、殆ど二人の世界か? 何せシーマ先生、人嫌いなんで。その人目線で進む物語とあっては、どうしても関わるキャストが限られがちです。でもそのキャスト陣の身分とか能力は、半端ない人達ばかりなんですが。この辺がこの人の波乱の相の原因ですね。周りがほっとかない。素朴なクセに何気に凄いというコンセプトの彼故です。彼からすれば、それすらご勘弁なんでしょうが。

 今作は、そんなシーマ先生の、過去の因縁を巡る作品となっています。上編から少しずつ漏らしてきた彼の遍歴が明かされる物語です。紗生子なんかは私より彼の事を知っているようなので、いつもその隣にいる彼女にしてみれば物足りないかも知れませんが、それは紗生子が特殊なだけで、私もそうですが読者の皆々様におかれましても、きっと読み応えのある作品に仕上がっている筈です! と思いたいんですが、実際どうでしょ。心配です。面白く出来ていたら嬉しいのですが。この辺を自信満々で突き通せないのが、素人作家としたものです。

 上編もそうでしたが、作者なりに今シリーズで徹底しているのは、リアリティーの追求です。作品内で登場する組織や部署は、架空だったり現実にもあったりしますが、それに携わる人間や組織には現実感を求めています。成功もあれば失敗もあるし、その振り幅がどちらかに偏った有り得ない事が起きたりするのが現実世界というものだと思っているので。現実世界を書く者としては、そこを怠ると全てがウソ臭くなると考えていますので、何かと説明臭いところはご容赦いただければなぁと、常々思っています。特に法とかのルール絡みなんかは、読者層の置き去り感といいますか、そこは反省というか改善していきたいところです。が、国家の裏側を覗くようなストーリー展開としましては、どうしてもその辺りを云々かんぬんと書かなくてはいけない訳でして。その辺は、シーマ先生同様、日々悩んでいる作者です。

 世の中の法や決まり事というのは、基本的に「やってはいけない事」の羅列なので、それを守らなければ具体的にどうなるのか。その辺りを掘り下げようとする作品は、法廷ミステリー物以外では余り見かけません。刑事物でさえ推理偏重型で、では具体的にどうなるの? 法手続き的にどんな罪で刑罰はどうなるの? みたいなところはあんまり。今昔の安っぽい刑事ドラマの延長線みたいな感じで、私はどうも。日本はあくまでも法治国家なんで、そこには必ず根拠に基づく手続きがある筈なんですが、そんなところの演出はろくに見かけません。馴染みが薄いというか、受けが悪いというか、その辺りを求める読者層が少ない事もあるんだろうと思います。何を根拠に国家権力が罪人を追及しているのか。一見して正義の味方の一方で、一切の事情を汲まない頑なで盲目的な下級官憲の不気味さがチラつく。それが敵だったら、これは中々面倒臭い(警察が庶民の敵と呼ばれる所以ですね)。そんなところを今作は抉っています(そのつもりです)。そんなところを書いたところで「つまらない、興味ない」と言われがちではありますが、個人が知識を閉じて受け入れを拒んでも、許してくれないのが法や決まり事の世界です。民主主義の世界は大抵法治主義な訳で、そこでの王様は法律なので。その辺りを知るも知らないも個人の自由ですが、それに関わらず決まりを破れば決して許してくれません。よく言われる「責任」というヤツです。自由と責任は表裏一体。無責任な自由には必ず帳尻合わせの責任追及がつき纏う。今作では、そんなところも感じていただければ幸いです。上手く書けているといいんですが。その辺りのリアリズムを追求する上で、主人公周辺にそうした知識をある程度備えつけておく必要がある訳でして、紗生子は既に弁護士として登場していますが、今作ではそんなところのシーマ先生も暴かれる運びにもなっております。やめてくれ、と後ろの方でぶつくさ言っているヤツが約一名いますが、ダメ。アンタの事書かないと、先に行けないし。

 それはさておき、法や決まり事を「知らん、分からん」という人達は、まず間違いなく悪い事をして捕まれば罰せられる世において、悪事を働いておきながら捕まらない、または罰を受けない不届き者がいたりします。「疑わしきは罰せず」という民主的な法治主義の大原則の庇護下で、明らかに罰を受けるような悪事を働いておきながら、それを堂々と免れる何らかの力を有し、方法を知る連中です。日本においてそれは一般的に、政治権力に結びつくイメージが強いですが、個人的にそれは、見た目の派手さが誇張されたものだと思っています。つまり、それを利用し、その影に潜む不届き者達が大半という事ですね。一部の政治家の無法振りがクローズアップされがちな世の中ですが、それは氷山の一角で、水面下で金や組織力を背景に、権力にすり寄り世の道理を歪める連中。会社でも、何かの団体でも、反社会勢力でも。金や数に頼るやり方は、どんな主義や体制下でもやり方に大差ないと思う訳で。そうやってこっそり逃れた悪党達が何かを捩じ曲げ、世の矛盾を拡大させる。大多数の名もなき無知で無力な民草は、そんな不条理に晒されて泣くばかりで、挙句疲れて諦める。今はネット社会ですので調べればいくらでも知識は吸収出来る世の中ですから、そんな事もなくなりつつあると思う一方で、ネットが普及する一昔前までは、意外にそんな前時代的な、無法がのさばる感じの世の中だったりしたんですよね。思えば私が少し知る、よく言われる昭和ってのは、そんな感じの時代でした。良くも悪くもモーレツ型社会でした。根拠の不確かな社会常識でしか世の中が回ってないというか。一言でゴリ押しというか。生き方の選択肢が少なくて画一的というか。そんな視野の狭い、色の少ないイメージでした。今で言えばハラスメント塗れで違法・無法のオンパレード型の社会。それでも何処か秩序的だったのは、まだ道徳観念が残っていたからでしょうか。戦前世代がそれなりにおられた時代でしたので、一筋入った規範意識というヤツを肌身で感じたものです。今は逆ですね。昔に比べれば遵法精神が少しは高まってきたような感じですが、法に触れないモラルの部分は低下の一途。共助型の社会から個人責任型のそれへ移行しているという事なんでしょう。どっちがいいものか。変わらない時代がない一方で、今も昔も変わらず道理を捩じ曲げる悪党は存在し栄えている。意外に悪は栄えてるなぁと身をもって思い知らされてきた人生で、その栄え方の構造は今も昔も大差ないような感じがしてならない、という訳で。悪党もそうなら、国もそうですよね。結局、金と力を持ってる国が、良くも悪くも世界に強い影響力を及ぼし、何かを脅かす。民主的な法の概念てのは生まれて精々数百年な訳で、人類有史何万年だかの大半は、力が全てだったんでしょうから、まぁそんな体質がすぐに変わる訳もない訳で。まだまだ世界は戦国時代で、帝国主義だと思う訳です。余り書き過ぎちゃうとネタバレになってしまうので、この辺りでやめときますが、今作はそんなところを匂わせる作品でもあります。その辺りを主戦場とする紗生子がいる限り、多分良くも悪くも破茶滅茶に引っ掻き回してくれるんだろう(ていうか、引っ掻き回してんですが)と思いますが、そんな痛快さは稀な現実世界において、せめて作品の中ではリアリズムを追求しながらも同じように求めていきたい部分です。じゃないと書いていてつまらないので。紗生子や相談役を始めとするCCの面々は、そんなところで活躍する「月○仮面」達です。やり方は無茶苦茶ですが。力をまかり通す悪党相手にゲンコツ食らわして何が悪い、と言わんばかりの彼らの豪傑振りは、作者ながら痛快です。

 また、私の作品の中には、随所に各種媒体でお馴染みの有名な事物やフレーズ(のようなもの(・・・・・))が登場しますが、外ならぬ私は幸運にも、そうした物に数多く触れる事が出来る時代や場所に生を受けた、その申し子のようなものだと思っておりまして、多くの書籍(殆ど漫画ですが)を嗜む事が出来る幸せを噛み締めている今日この頃。その恩返しといいますか、その有難さの感謝のつもりで、恐れながら伏せ字で登場してもらっている次第です。偉大な先人達が残した書籍は、まさに人類の宝です。何も小難しい本に限った事ではなく、私の場合では「こ○亀」の「両○ん」ですね。金に塗れ(それも殆どの場合、法外な借金)ながらも、「ぶ○ょー」に怒鳴られる日々を送る中で、「両○ん」が痛快に言い放っていた「人生はビッグゲームだ!」というフレーズは、何年経っても色褪せません。まさに、その通り。古き良き伝統を育んできた保守的な民族が住まう島国日本は、一方で世界の様々な文化を飲み込み、それを昇華させては世界を驚かせてきました。その数ある文化の中で、漫画は間違いなく世界のパイオニアである日本において、彼の大先生が生み出された「両○ん」は、私の作風や人生感までも変えてくださったような気がしています。近代における日本は暗い影を纏う時代の連続で、今も何処かしら鬱積が募るような重たさですが、それでも日本は世界の国々に比べれば遥かに安定していて、自己の責任において、これ程自由を満喫出来る国も中々ないと思います。幸運にもそんな国に生まれたのなら、良くも悪くも楽しまなければ勿体ないと思うのは「両○ん」だけではないと思うんです。どうせいつかは死ぬ事が決まっている人生です。それなら楽しく生きたいと思っている人は多いと思う訳で、生きていく上でその一助になる事物というのは、何も着飾ったものでなくていい事を「両○ん」は教えてくれます。そんなところをシーマ先生にも教えてやりたいんですが、この人は中々頑固なネガティブ思考でして、ホントに「ガン○ム」の「シャ○」がモチーフなのか? と作者ながら悩んでおります。どちらかというと、紗生子の方が「両○ん」や「シャ○」を地で行ってるんですよね。今作は、そんなシーマ先生の葛藤も描いた作品です。暗くなりがちなイメージを、随所にちりばめたロマンス(作品内では肉弾戦とか呼んでいますが)で盛り上げてくれる紗生子は、まさにビッグゲームを楽しんでいる人で、手綱を握ってないと何をしでかすか分からない女ですが、これはこれで助けられたりしています。実は紗生子も色々あるんですが、このクソ強女は基本的にそんな辛さを見せることはない、いやじわじわ見せるのか? 余り書くと後で紗生子に泣かされそうなのでやめときます。さっきから殺気が凄いので。別にギャグでも何でもないんですよ、これが。振り返った瞬間で石にされそうな。——はい、今は控えます。すいません! 

 とまあ、ぐだぐだと中身のない事を書きましたが、世の中の表裏を何とか前向きなイメージで書いたつもりの今作です。冗談では済まない部分や、世に訴える内容も少しは出てきますが、破壊と創造を繰り返して文明を築き上げた人類です。それらを受け止め、飲み込み、考えながらも楽しく読んでもらいたいなぁと思っています。

 駄文もいい加減にしとかないと、只でも少ない読者様が離れそうなので、前書きはこの辺りで終わりにします。また本編をお読みいただいた後の、後書きでお会いしましょう(私はこの後すぐに、その後書きの執筆に入ったりするんですが)。


                まと一石


二〇二五(令和七)年七月

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