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第6話 十二日目

小説というよりは音声作品の台本をイメージして書きました。

小説だと思って読むと文がぐちゃぐちゃなので台本だと思って読んでください。

気分が乗ったら続きを書きます。

…………んっ……


……いつの間にか眠ってしまっていたようです。


今は何時でしょう。外はまだ暗いので、寝坊ではないと思いますが……


あれ?なぜでしょう。しっかり寝たはずなのに、なんだか頭がぼーっとします。それに身体も熱いような……?


昨日変なことを考えすぎて、少し体調を崩してしまったのでしょうか。ですが、動けないほどではありませんね。ご主人様に朝食をお作りしなくてはいけませんし、早く起きなければ。


お優しいご主人様が私の体調が悪いと知ったら、きっと心配してしまいます。これ以上迷惑をかけるわけにはいきませんし、ご主人様に気づかれないように支度しましょう。



……はぁ……はぁ……

困りました……どんどん体調が悪くなってきています。


頭がくらくらします……もう少しでご主人様を起こす時間なのに、朝食の準備が全然進みません。


どうしましょう、とりあえず急いで朝食の準備を……きゃっ!


……指を切ってしまいました。うぅ、痛いです……

この状態で刃物を使うのはやっぱり危険だったかもしれません。


とりあえずご主人様を起こしに行ってから手を洗って、それから朝食を……って、あれ?

ダメです。全然頭が回りません。まずは手を洗わないと。


……はぁ……はぁ……手を洗ったら、えっと、次は何をすればいいんでしたっけ……?


あ、あれっ?ご主人様?!なんで起きてるんですか?!あの、これは、その……


こ、この傷はうっかり切ってしまっただけなので大丈夫です!ご主人様は何も心配なさらないでください。


きょ、今日も朝からお仕事でしたよね。もう少し待ってください。もう少し、もう少しで朝食が……


きゃっ!ご、ご主人様?!急に何を……?

熱?私は大丈夫ですから!

急にこんな、お姫様抱っこなんて……!



はぁ……ふぅ……申し訳ありませんご主人様。私の部屋まで運んでいただいて。


急にお姫様抱っこをされたものですから、びっくりしてしまいました。少し、恥ずかしかったです。


あっ!いえ!気になさらないでくださいご主人様。あのまま台所に立っていればどうなっていたかわかりませんし、運んでくれたことは感謝していますから。


……ゴホッ、申し訳ありませんご主人様。このような体調では、奴隷の仕事を行うことができません。本当に申し訳ないのですが、今日はこのまま休ませていただけないでしょうか。


ありがとうございます、ご主人様。そこまでの重症ではありませんので、よく眠れば明日には良くなっていると思います。


あぁ、もうこんな時間ですね。そろそろ家を出ないとお仕事に遅刻してしまいますよ。私のことはお気になさらず、お仕事を頑張ってきてください。


もう、何度言わせるんですか。私は大丈夫ですって。私みたいな奴隷のことなんか気にせず、お仕事に行ってきてください。


はい。行ってらっしゃいませご主人様。私はちゃんと寝ていますから、安心してください。



〜〜〜



……ふぅ……ご主人様、ちゃんとお仕事に行ってくれてよかったです。

ご主人様のことですから、私の体調を心配して仕事を休むとか言いかねませんし。


……お姫様抱っこ……されちゃいました……


急にされた時はびっくりしましたけど、ご主人様のお顔が近くてドキドキしちゃいました。


顔、赤くなってなかったでしょうか。あ、熱があるので元々赤くなってそうです。


……ご主人様への気持ちを諦めたところでしたのに。


ダメですダメです。今は熱があるんですから、変なことを考えずにちゃんと寝ないといけません。

明日になっても体調が治っていなかったら、またご主人様に迷惑をかけてしまいます。



〜〜〜



……んっ……ふぅ。


目が覚めてしまいました。

体調は……多少マシにはなりましたが、まだまだ万全ではありませんね。


今はお昼過ぎですか。あまり食欲はありませんが、何か食べた方がいいですよね。なんでもいいので食べられるものを探してきましょう。



あ、あれ?なんでご主人様がここにいるんですか?!お仕事、お仕事はどうされたんです?


休むことだけ伝えてすぐ戻ってきた……?な、なんでそんなことを。私のことは大丈夫だって言ったじゃないですか。仕事場だってそう近くもないのに。

それに、その今作っているお粥は……


い、いえ、嫌いだとかそういう話ではなくて。なぜご主人様が私のような奴隷のために仕事を休んで、更にはお粥まで作ってらっしゃるんですか……?


心配だから……って、そんな。私はご主人様の、ただの奴隷ですのに。


えっ?は、はい、体調は少し良くなりました。お粥くらいなら食べられると思います。


というかあの、お粥なら今の私でも自分で作れますから。こんなことでご主人様のお手を煩わせるわけには……


ちょ、ちょうど今完成したんですか。……申し訳ありませんご主人様、それではありがたくいただきますね。


いただきます。


……?

あの、なぜ私ではなくご主人様がスプーンを持っているのでしょうか。

ご主人様もこのお粥、一緒に食べるんですか?

私は構いませんけど、あまり体調の良くない人と同じお皿で食事をするのは……


た、食べさせる?ご主人様が、私に?


ご、ご冗談ですよね、ご主人様。あろうことか奴隷がご主人様にあーんして食べさせてもらうなんて……


冗談じゃない、本気……と?

あの、私の体調はまだ万全ではありませんけど、お粥を食べるくらいなら全然できますから。スプーンを渡してくださいご主人様。そこまで気を遣っていただく必要はないんです。


うぅ、そこまで言われると……

わ、わかりましたご主人様。確かに体調が完全に良くなったわけではありませんし、ここはご主人様の言う通りにします。


それでは……その……よろしくお願い、します。


あ…………ん。

恥ずかしいですけど、美味しいです。なんだかとっても優しい味がするような気がします。


あ……ん。

か、顔が赤いって、これは熱のせいです。熱があるんですから、顔が赤いのは当たり前なんです。

そんなこと言って、ご主人様も少し顔が赤いですよ。自分であーんして食べさせるって言ってくださったのに、照れてるんですか?


あ……ん。

ふふ、やっぱりとっても美味しいです。



ごちそうさまでした。何から何までありがとうございました、ご主人様。


……ご主人様にお粥を作ってもらって、ご主人様に食べさせてもらって、たくさん迷惑をかけているのは分かっているんです。


そんな時にこんなことを思うのは良くないことかもしれません。


でも私、ご主人様にあーんしてお粥を食べさせてもらいながらお話をしていた時、とっても楽しくて、とっても嬉しかったんです。


この時だけじゃありません。


朝、私を見るなり真剣な表情で私を部屋まで運んでくれた時も。

さっき、1人で心細かった時にお粥を作ってくださっているご主人様を見つけた時も。


私はとっても、とっても嬉しかったんです。


さっきはなんで仕事に行ってないんですか、なんて言いましたけど。


本当は、ご主人様がいてくれて嬉しかった。

ご主人様がそばにいてくれると、安心するんです。


ありがとうございます、ご主人様。



…………って私、何言ってるんでしょう。急に恥ずかしいことを口走ってしまいました。今の台詞は忘れてください。熱で頭がよく回ってないみたいです。


お粥、ごちそうさまでした。私はもう少しだけ休ませていただきますね。

おやすみなさいませ、ご主人様。



〜〜〜



逃げるように部屋まで来てしまいましたけど、変に思われてはいないでしょうか。


……はぁ……なんで、なんであんなことを言ってしまったんでしょう。


あんなの、ほとんど好きって言っているようなものなのに。いくら熱で頭が回っていないからって、あんなに恥ずかしい台詞が自分の口から出てくるなんて。


この気持ちは隠さないといけないのに。


もう、早く寝てしまいましょう。


起きていてもまた変なことを考えてしまうだけです。



〜〜〜



ご主人様、今日は本当にありがとうございました。


まだ少し体調に違和感がありますけど、夜寝れば明日には治りそうです。


昼食だけでなく夕食もご主人様のお世話になってしまいましたし、明日からはまたしっかり働いてご主人様のお役に立ちますね。


まだ少し熱がありそうなので、お風呂は明日いただくことにします。


私はもう寝ますけど、ご主人様はまだ寝ませんよね。


……あの、ご主人様。1つだけお願いがあるのですが、よろしいでしょうか。


はい。昨日から寝る前に少し考え事をしてしまって、なかなか寝ることができないんです。


本当に申し訳なくて、恥ずかしいお願いなのはわかっているのですが、私が寝付くまでそばにいてくださいませんか?ご主人様がそばにいてくれれば、安心して眠れる気がするんです。


もちろん無理にとは言いません。今日はもう既にたくさんご迷惑をおかけしていますし、ご主人様もお疲れなら断られても大丈夫ですが……


……!いいのですか!ありがとうございます!

お時間は取らせませんから大丈夫です。ご主人様がそばにいてくれれば、きっとすぐ寝付けますから。



〜〜〜



よいしょ、と。


ふふ、この時間にご主人様が私の部屋にいるなんて、なんだか変な感じですね。


ご主人様から見て私が寝ていればもう離れても大丈夫ですので。それまでは、私の手を握っていてくれますか?


はい。ありがとうございます。


……やっぱりご主人様の手、安心できます。


それではご主人様、今日は色々とありがとうございました。おやすみなさい。

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