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プロローグ
ある所に、何もできない無能な王女がいた。
実際にはそうではなかったが、周囲はその少女の事を何もできないと考えていたので、「無能王女」というあだ名をつけて嘲笑っていた。
そんな無能王女の名前はステラ。
ステラは、ある日お城の中の高価な壺を割ってしまった。
ぱりんと割った壺は粉々で、見るも無残な姿だった。
修理するなどという事は、まったくもって不可能なありさまだ。
不運にもステラが不注意で割ってしまったその壺は、他の装飾品よりも何倍も高価な壺だった。
他の者達から責められたステラは、その壺を弁償するために、とある方法に目をつける。
それはダンジョンの踏破だった。
無能王女は、実は無能ではない。
ただ唯一あるその取り柄は、王女としては役にたたない剣の腕だった。