もう一回しゅーごー!
遅くなってしまった。
できるだけ、週一投稿あたりを目指して頑張っていきたいです!
よく晴れた昼下がり、私はユイと一緒に街を歩いていた。――もっと正確に言うなら復活したシオンも一緒だ。
「落ち着いて街を見てみると、色々と発見があるよね」
「そうだねー。すごく活気がいいし歩いている人達も楽しそうだよね」
『そうだな……俺の見ない間に随分と魔族は変わったみたいだな』
ここに来てから今まで色々な事がありすぎて、帰ってきたのがすごく久しぶりのような気もするけど――寝ていた時間は一般的な睡眠時間と同じくらいだから全然そんなことはない。
……いつか過労死しちゃいそうで怖いよ。
と、一度その話から離れて周りを見回してみる。
すると、やっぱり目に入ってくるのは近代的――というのが正しいのか分からないけど、地球でよく見たような建物や、前からあるようなファンタジーって感じの建物が入り混じった光景。
こう見るとおもしろいなぁと思うけど、ファンタジーに幻想を抱いている人たちからしたら……ちょっと耐えられない光景なのかも。
でもこれが全て咲の影響でこうなったと思うと、やっぱりすごいんだなぁって思ってしまう。
「でも、こうのんびりしていてもいられないんだよね」
「そうだね……。またまた呼び出されちゃっているし、少し急いだほうがいいんじゃないかな」
そう、私はまた咲に呼び出しをくらっているのだ!
――――一度捕まえられた相手のところへ、こう何度も向かうって変な話だよね。
「私はユイともっとゆっくり街を見て回りたいんだけどなぁ」
『流石にそれはダメだろ』
むーー。やっぱりダメかぁ。
私、実質神様みたいなモノだし本当はもっと自由にしていいと思うんだけどなぁ。
「大人しく例のビルへ行きますよ…………」
正直、咲と話しているのは全然いいんだよ。むしろ楽しいし!
――――でも、他の人たちと話をするのは何というか……少し疲れてしまいそうで怖い。
私に休憩する隙を与えずに質問攻めにあったり、私について小一時間問い詰められたり――色々とされそうで嫌なんだよね。
……だって名前が革命軍なわけだし、それなりにしっかりしていて、怖いところなんだって想像がついてしまうから。
まぁ、今のは全部私の偏見なわけだし実際はもっと優しいところなのかもしれないけど――――というか、そうであってほしい!
そんな風に、少しビクビクしつつ、私は例のビルへと向かった。
◇ ◇ ◇
「いらっしゃい……シュナちゃん」
「うん、お邪魔してます!……気を遣わせちゃってごめんね」
「大丈夫だよ。気にしないで」
「……ありがとう!」
あのビルに入ってから、例の『staff only』の扉を抜けて、地下に続く階段を下って……長い廊下を抜けて――――とにかく色々と道なりに進んでいくと大きな広間に出た。
そこで今咲と再会を果たしたわけだけど。
――来るまでの廊下でも感じたけれど、近代的を通り越して近未来感溢れる内装だよね。……凄すぎて、ここだけ世界が違うみたい。……ユイも驚いてばっかりだったし。ユイがそういう顔をしているところを見ることはなかなか無いし、来てよかったかも。
「よし、じゃあ始めよう?」
「う、うん。そうだね」
部屋には兵士と言うのか分からないけれど。強そうでカッコいい人たちが沢山いた。全員が私の方に向き直っているのが正直怖くて緊張してしまう。
『緊張してるみたいだな』
そんな私の心を見透かされたように、シオンがそう言ってくる。
…………やっぱり分かっちゃうのかな?
そんな風に私がシオンに対して思っていることなんかを考えたりして緊張を和らげようとしていると
「ちょっと待って」
と、部屋の奥の方から声が聞こえた。――子供の声のような気がするけど気のせいだろう。子供がこんなところにいるはずが無いし。
いや、私とユイは別としてね。
そんなことを思っていると、兵士たちの間を掻き分けて――――いや、どちらかと言うと潜り抜けて一つの小さな人影がシュナたちの前へ現れた。
「団長……」
遠坂からややあきれた様にそう言われたのは、小さな体のわりに不自然な大きさの茶色い帽子を被った少女――――革命軍の団長だった。
「本当にこの子はあの少女なの?」
彼女はシュナの姿を下から上に見上げるような形で確認するとそう言った。
確かに今の姿はこの前の幼女の姿ではないが――――彼女が言いたいのはそういう事ではないようだ。
「……はい、正真正銘そうだと言えますけど。……何か気になることがあるんですか?」
団長の質問に遠坂は丁寧に返す。
しかし、それでも少しシュナのことを疑っているようだ。――そうなってしまうのは少女の持つ便利であり、厄介な特性のせいだ。
「……色が少し違う」
「えっ……色?」
シュナは突然目の前の少女が自分にはよく分からない事を言い出すので、すこし戸惑いつつそう言った。
「声の色……魂の色が微妙に違う。いや、少しずつ色が変化していて、不規則で不安定な色」
呆然としているシュナには目もくれず、少女はそう呟いた。
そんな状況のままにしておくのは流石に良くないと思ったのか、遠坂がシュナに話しかける。
「団長は、人の発した声が音だけでなく色でも感じ取れるんです。……なんでも、それが一人一人特有の色で魂の色だとか」
「へぇ…………それってすごいね!でも、私の色が不安定ってどういう事なんだろ?」
団長の持つ、珍しくて奇妙な力を知ってさっきの言っていることが少し分かったが、やっぱりそこが謎なようだ。
うーん、団長さんにしか分からない世界なんだろうけど、不安定っていうのは少し気になるなぁ。
えっと、声の色は魂の色――――ってことは、もしかしてもしかするかも?
「それって、もしかして私に魂が二つあるっぽいからかも……?」
「魂が二つ…………?」
私の魂と僕の魂が、不安定にこの体に一緒に入って共存しているから。なんだったらシオンを含めてしまえば三つもあることになってしまうから色が変化して――ってなるのかも。
「もしかして、それってその体の魂と、貴方の前世の…………」
「うん、そうだけど」
あれ、私この子に前世の事とか話した事ないよね。初めて会ったばかりだし。
――――いや、思い出せないだけで本当は一度会っているらしいけど……もしかして、その時に話したのかなぁ。
「……話してたっけ?」
「いや、色々と貴方については調べさせてもらったんだけど……」
「何それ怖いっ!」
勝手にいつの間にか自分について調べられていたと知ったシュナは驚く。
しれっと衝撃的な事を口にされたからしょうがないね。
「魂が二つって事は少し予想外だったけど……本当に日野さんなんだね」
「……何で名前を知ってるのかもびっくりなんだけど、色々調べられていたなら知っていて当然なんだよね……」
前世の名前を知られていることに関しては、もうほとんどノータッチでいく様だ。
まぁ、団長にはそれ以上の事を色々と知られているのでそれが正解ではあるのだ。
「確かに色々と調べたけれど、私が貴方の名前を知っているのはそれが理由じゃないよ。……元から知っていたの」
「どういう事……?」
あれ、私や僕について色々と知っているのは調べたからだけってわけじゃないの?
じゃあ、咲に色々聞いたって事かな?
――なんて、私はそんな風に考えていたけれど、正解はもっと衝撃的なものだった。
「私と貴方は少しの間だけ会っていた事があるんだよ。
…………そう、私は確か貴方から『ちゅうたろう』だなんて呼ばれていた」
――――――えっ?
「マジですか?」
「大マジだよ」
……言葉が出ないってまさにこういう事を言うんだなぁと、実感した。
予想の斜め上過ぎて、思考が少し追いついていない感じがする。
「えっと……まぁ…………成長したね」
私の口からはそんなおかしな言葉しか出なかった。
週一投稿とは言ったけど、二とかもあるかもしれない。……でも、三はないと思う。
それと、シオンの出番を少しずつ増やしていきたい。……しばらく休んでたからしょうがないね。
以上、sironeko*でした。




