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一時の休息

お久しぶりです……()

「……茶番はそこまでにして、そろそろ話を進めませんか?」


 と、私が赤面してお姉ちゃんにポカポカ殴りかかっていると、咲が話を進めるべくそう言った。

 私としては一刻も早くこの話題から逃げたかったので、とても嬉しい提案だ。


 という事で、ありがたくのらせていただきます!


「僕もそろそろ話を進めてほしいと思ってました。

 という事でお姉ちゃん、どうでもいい茶番は置いておいて早く話を進めましょうよ」


 私は逃げるべく、そう言ったのだが――


「どうでも良くわないわ!だって、今翔くんがありがとうって……!」


 と、私としては触れてほしくないところを思いっきり触れられた。


「その話はまた後にして……話を進めましょうよ」


 本当に、このままだと真っ赤になって潰れてしまいそうなので……そろそろ話を進めてほしい。


「……このままだとゼニアスさんが翔くんを色々と困らせて話が進みそうもないので、私達で少し進めましょうか?」


 やっぱり咲は気がきくな……。どこかのお姉ちゃんとは違って。


「ん〜〜。分かったわよ。今のところは諦めて話を進めましょう。()()()()()()


 なぜそこを強調する!?


「まあ、話と言っても特に話すことなんて無いんだけどね」

「私はゼニアスさんと話した時に、大体の流れは分かりましたし。話もかなり短かったですしね」


 あれ、じゃあよく分かっていないのは私だけ……?

 そう思うとなぜか申し訳ないような気持ちになってしまう……。


「……君に関しては、なぜあんなに短い話で分かるのかわからないよ。少し怖い……」

「一度落ち着いて考えれば、誰でもすぐに分かりますよ。……ところで、翔くんがそろそろ可愛そうなので話を進めませんか?」


 ……ありがとう。


「それもそうね。私もこれ以上翔くんを待たせるのも可愛そうだと思っていたのよ」

「…………」


 そう思っているなら早く話を進めてくれればよかったのに……。


 なんか、最近お姉ちゃんがイジワルだよ……。私もちょっとイジワルしすぎたとは思ってるから、お互い様なのかもしれないけど。


「じゃあ、早速話をしましょうか」


 ――――とにかく、やっと私は話についていけるようになるわけだ。


 やっぱり、ちょっと申し訳ないかも……。



 ◇ ◇ ◇



 いつものお姉ちゃんからは想像もできないくらい、これまでの事を真面目に話してくれた。



 そういえば、話を聞いている時ちょっと前――といっても十二年ほど前だけど――神界でお姉ちゃんと話をした事を思い出した。



 あの頃は、まさか自分がこんな人生を歩むとは思っていなかった。


 ――――というか、幼女に生まれ変わるなど誰が予想するだろうか。



 と、恥ずかしさを紛らわすために頭の中を考えでいっぱいにしようと試みたけれど……どうやらダメなようだ。


 自分の気持ちに反して、顔がどうしても赤くなってしまう。



 みんなと目を合わせるのが恥ずかしすぎて、私が顔を手で隠して伏せてしまうのも、仕方のない事だ……よね?


「顔を赤くしているところも可愛いわ……」

「っ……!!?」


 な、何!?


「確かに…………こうして見ると、ただの可愛い女子にしか見えないですね。


 本当に、かわいい…………」

「さ、咲までっ!?」


 私は、二人に連続攻撃をされ……顔がカッとさらに赤くなってしまう。


 頭がプシューとなって…………とてもじゃないけど、今の顔を二人には見せられそうじゃなかった。


「ふたりとも……や、やめてくださ……い」


 私は声にもならないほど小さい声で……そう言った。


「やっぱり、翔くんも女の子に大分染まってきたようですね」

「ええ、そうみたいね。でも、本人はあまりそれを望んでいないみたいだけど」


 ……その通りです。


 お姉ちゃんも分かっているなら、私を困らせないでほしいんだけど……。


「でも、それがいい事なのかは分かりませんけど……悪い事じゃないんじゃないですか?」


 確かに、悪い事なのかどうかと言ったら……分からない。


 多分、悪い事じゃないんだろうなと……感じてはいるんだけど。



 それに、この人生はシュナの人生だ。


 いずれ僕がいなくなって、私が生きていくのが一番なのだろう。

 それは、少し悲しい事なのかもしれないけど……一度僕は死んでいると思えば、シュナの人生を勝手に借りていると思えば、僕は消えれる。



「……大丈夫?落ち着いてきた?」

「お姉ちゃんがそれを言うのは、少しおかしい気がするけど……大丈夫、落ち着いてきたよ」

「なら、良かった」


 ……ようやく、頭の熱が冷めた。


「ごめんね。色々と困らせちゃったみたいで」

「翔くんがそれを言う必要はないと思いますよ。それに、困らせてしまったのは私たちですから。


 ……とくに、ゼニアスさんが」

「なっ!?」


 急にそう言われたお姉ちゃんは、そんな驚きの声を上げる。


「確かに、お姉ちゃんがもっと調べていればこんなことにはならなかったですしね」

「それはそうだから……否定できないわね。私がちゃんと話していれば翔くんが咲をストーキングすることもなかったわけだしね」

「その話はもうやめてくださいっ……!」


 もしかして、お姉ちゃんがその情報を伝えなかったのってそうなる事を見越していたから……!?


 ……っていうのは流石に考えすぎだと思うけど、ちょっと警戒しておいた方がいいかもしれない。


 お姉ちゃんは、そんな事をしてしまいそうなくらい私の中で要注意人物なのだ。


 と、いうことで私は心の中の要注意人物リストにそっと『お姉ちゃん』と書き込んだのだった。

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