邂逅
お久しぶりです。sironeko*です……
「まさか翔くんが本当に転生していたとはね…………しかも女に」
「やめてっ!恥ずかしいから!……というか未だに咲が転生していたことに驚きを隠せないんだけど」
咲は、小学校時代の友人というか……仲間というか。まあ共に過ごした人だ。
それなりの仲だっただけあって、咲が……いなくなった時は本当に辛かった。
「それは神様の裁量というか、運というか。まあ、狙ってそうなったわけじゃないらしい」
「そうなんだ……なんか運命を感じるなぁ。…………でも、何も言わずにいなくなるのは寂しいからやめてほしかったな」
「だって、私が死ぬって言ったら翔くんは止めようとするでしょ?それに、精一杯の気持ちを手紙に込めた」
「それは……そうだけどさ」
ああ、僕は何もできなかったんだなって……後悔して。それでもなにかが変わるはずもなくて。
「でも……ありがとう」
え?
「色々と私のことを思っててくれてたんでしょ?覚えててくれたし、そうやって色々考えてくれてた。……だから、ありがとう」
「覚えていたというか、心に刻まれたというか……。小学生の僕にはかなり、衝撃的な出来事だったから。……それに色々と考えさせられたし」
――――まあ、このことについて今更どうとか言うつもりなんて無いんだけど。
咲も反省しているらしいし、そうしてしまう気持ちもよく分かる。
「まあ、お互いに色々思うところもあるみたいだけど。そこらへんまでにしておいて、続きは落ち着いた所でしましょうよ」
「まあ、私も周りの目が痛くなってきたところですし。いいんじゃないですか」
……周りの目?
そう言われて周りを見てみると、かなりの人が私達の方を見ていた。
「……っ!?ちょっと!それ先に言ってよ!?」
「ごめんごめん。」
は、恥ずかしい……。
――結果的にお姉ちゃんのくすぐり攻撃にダメージを与えられてしまった……。
まぁ、私が悪いんだけど……。
◇ ◇ ◇
……突然だけど、私は今この場の状況を全く理解していない。
分かるのは私が咲と向かい合わせにソファー(?)に座っていて、その間にはテーブルがあって
……何故かお姉ちゃんが私に抱きついていることだけ。
「さて、いい感じの場所までやってきたことだし……話の続きでもどう?」
「それは、全然構わないんですが……ここはどこなんですか?そしてお姉ちゃん、離れてください」
私はあの後ビルを出て、半ばお姉ちゃんに強引に引っ張られながらここまでやってきた。
そうして連れてこられたのが、今いるこの建物なんだけど。
……何というか、ここがどういう所なのかは何となく予想がつく。だけど、あまりに不明な点が多すぎる。
そんな、私の疑問を解決してもらいたくてお姉ちゃんに聞いてみたんだけど……。
「見ての通り、ファミレスだけど」
……と、一言で片付けられた。
しかも私に抱きついたまま。なんだったら深呼吸…………というか匂いを嗅いでいる!??
「ファミレスの一言で片付けないで……。
そして、私から離れてください!」
くっついて匂いを嗅ぐとか、お姉ちゃんは変態さんですか!?
まぁ、今に始まったことじゃないけど。
でも、ファミレスなんて……なんでこの世界にあるんだ?
僕の知っている異世界にはそんな物なかった筈だけど。
「もう少し抱きついていたかったのに……。
……それで、ファミレスがなんでこの世界にあるのか気になっているんでしょう?」
お姉ちゃんは腕を離し、私を解放した。
……本当に何がしたかったんだろうか。
まぁ、それは置いておいて。
そう、ファミレスが何故この世界にあるのか。それが気になっていたんだよ!
この世界の誰かが考案したと言ったらそれまでなんだけど…………この世界にはかなりしっかりしたビルが建っていたし
僕たちの世界から来た人が僕の居ない間に色々したとしか考えられないんだよね。
「うん。僕の見ない間に色々と技術が進化している気がするし、
転移者とかが地球の技術を広めたのかなぁ……なんて思ってるんだけど」
「なんだ、全部分かってるじゃない。」
ゼニアスはシュナの予想が当たっていることに、少し落ち込んだ様子だった。
何故かというと……
「……せっかくいい所を見せようと思ったのに」
姉としてどうなのかは分からないが、そう小声で言った一言が答えだった。
姉としてどうなのかは分からないが……。
「?……やっぱりそうなんだ。……ところで誰が地球の技術を広めたの?」
シュナは幸か不幸か、ゼニアスのその一言がよく聞こえなかったらしくゼニアスにそう質問した。
まぁ、シュナは何故か落ち込んでいるゼニアスをみて、
どうせお姉ちゃんの事だし「妹にいい所を見せられなくて残念」とか思っているんだろうなー
……と予想を立てられるくらいには感が鋭いのだが。
閑話休題
ゼニアスはシュナの素朴な疑問に対し少し驚いたような、でもどこか嬉しそうな表情を浮かべ答えた。
「それはね……なんと、こちらにいらっしゃいます咲ちゃんですっ!!」
ゼニアスは隣に座っている咲に向かって腕をパタパタと振った。
「えっ!そうだったんですか!?」
まさか咲がファミレスとかビルとかを作ってしまうなんて……。
しかもビルに至っては内部構造までしっかりと。
……咲は僕の思っていたよりもずっと頭がいいのかもしれない。
「でも……なんでゼニアスさんが喜んでいるんですか?
……というかどうして咲はあまり嬉しそうじゃないの!?」
「私は別に……そこまでの事をやったと思ってないもの。
……でも、翔くんに褒められるのは、素直に嬉しいな」
…………何故か私のチート具合が少し弱まったような気もしなくもないけど……別にいいや。
前世で辛いことがあったのに、今こうして笑っている咲を見たら……そんな事はどうでもよく思えてくる。
僕にはできなかった事だから、やっぱりお姉ちゃんには感謝かな。
「……ありがとう、お姉ちゃん」
「え?」
私はなぜかありがとうと言いたくなったので、そう、気持ちを伝えた。
……あれ、よく考えたらこの流れで私がお姉ちゃんにありがとうって言うのはおかしくない!?
「やっぱり今の忘れて……!!」
「えぇ…………」
今日は久しぶりに閑話休題さんが出演して下さいました。
私は次の話の前書きが「お久しぶりです」にならないように気をつけたいです。
 




