通常運転のゼニアス先生
しばらく、意味がわからない状態にさせてしまい非常に申し訳ないです。
やっと……やっと謎が明らかになるのか……!?(ならない)
「それで、悲しいことに死んでしまった翔くんは」
「ちょっと待ってください!」
「ん、何?」
「今、聞き捨てならない事を聞いた気がするんですけど!?」
遠坂は、一目見て分かるくらい取り乱していた。
それは、遠坂の目の前に立っているゼニアスから唐突に出た爆弾発言が原因なのだが……。
当の本人はというと、けろっとした表情でひしゃげてしまった格子にもたれかかっていた。
「シオンが翔くんを殺してしまったのは本当に悪気はなかった、むしろ元の世界に帰そうと必死に頑張っていたのだけど…………まあ、察しの通り」
ゼニアスは申し訳なさそうに少し下を向いた。
「…………百歩譲って、私はそれに対し口を出さないことにしますけど……彼の気持ちはどうなんですか?それで満足してるんですか?」
「こんな死に方で満足なんてできるわけない、ってそれはすごく分かる。
極論を言えば自分の死に方に満足なんて出来る人なんて殆どいないのかもしれないけど、確かに彼の死に方は私達が介入しすぎた。
悪い方向に……ね」
ゼニアスは今度は遠坂に向き直って、そう言った。
そして、ゼニアスがはっきりと自分の非を認めたからこそ遠坂は怒っていた。
「じゃあ、彼は……彼の気持ちは!」
「満足なんて、しているはずがないよ。彼が死んだ後私は彼と話す機会があって、色々な話をしたけど……ずっと、辛そうな表情をしてたよ。
彼の話を聞いてみれば、彼をそんな風にさせてしまった自分に腹が立ったし、なにより申し訳なく思った。
……でも、彼は私達を憎んではいなかった。
本当に、私よりもずっと神様に相応しい人だよ。翔くんは」
「っ……。本当に、彼もそうですが貴方もずるい人ですよ。怒りたくても怒れなくなるじゃないですか。
まぁ、彼はどうせ怒ったり恨んだりなんかしないと私は元から思っていたのですけど……貴方の口からそれを聞けて良かったです」
遠坂は、未だ溢れる気持ちを抑えられないようだったが、「口を出さない」と言った以上、それ以上は何も言わないようだった。
「まぁ、話すことは話せたし……そろそろお暇させていただきますか」
ゼニアスはひょいっと立ち上がると、どうやら先程の遠坂の一撃を間近で見て気絶してしまった少女を抱き抱えた。
そして、光り輝く輪――簡易転移門を出現させると、その中へ消えて……
「まだ、その少女について聞いていないんですけど?」
それよりも早く動き、遠坂は抱きかかえられた少女の首元へナイフをあてた。
しかし、次の瞬間そのナイフは一瞬にして消滅してしまったが。
まあ、ゼニアスにその事を思い出させる事には成功した様だ。
「そういえば、そうだったね」
と、ゼニアスはまだ自分の抱きかかえている少女について話していなかったことを思い出す。
「感のいい君なら既に気づいているのだろうけど……この子は翔くんの生まれ変わりだよ」
「薄々そう思っていましたが……やっぱり」
「あれ、ためにためた割には反応が小さい……」
ゼニアスは遠坂の反応にあまり納得していなかった様子で少し落ち込んでしまう。
遠坂はそんな事を気にしていないようだったが。
「そうですか、それで……彼の前世の記憶はどうなっているんですか?」
「……それが、かなり複雑なことになっていてね」
ゼニアスは困ったような顔で話し始めた。
「私の作ったシステムが悪いように働いてしまってね。……といっても、私の説明不足が原因なんだけど」
「どういうことですか?」
「彼を転生させたのは君と同じように世界をどうにかしてもらうためなんだけど……昔のようなことになってもらっては困るから、勇者が勇者に攻撃を行おうとした時に魂を奪うようにシステムを組んでおいたんだよ。
つまり、今の君の行動も彼の魂がもしこの子の身体に入ってたら……かなり危なかったかもよ?
……話を戻すけど、今回に関しては君が翔くんとどういう関係なのか恥ずかしいことにさっきまで知らなくて……どちらにもお互いの情報を伝えていなかったのが原因ってこと」
「それって、彼はどうなるんですか!?」
「一応魂は戻せる。……と言っても、十二歳の少女に強引に記憶をくっつけた様な状態だったから、元に戻そうとすると少し危険が伴うかな」
ゼニアスはそう話し終えると、本当はもう少し複雑な状態だったんだけど、と補足を付け足した。
「彼は……大丈夫なんですよね?」
遠坂は、魂を戻すことができると聞いたものの、まだ心配な様だ。
それは、自分のせいで翔が危険な目にあっている。と罪悪感を感じているからなのか……
読心術(物理)を一応は封印しているゼニアスには分からなかったが、はっきりと言えることがある。
「君は心配しすぎだよ。心配をするな!と言ってる訳じゃ無いけど、いくら君が彼の旧友だからといってそこまで心配する必要は無いと思うよ?
なぜなら、この最高神である私に失敗はあり得ないのだからっ!」
ゼニアスは清々しいほど自信満々でそう言った。
「そういえばゼニアスさんって最高神でしたね。
日頃から最高神とは思えない事をするので忘れてました」
遠坂はそれに少し引いていたが。
まぁ、結果的にゼニアスの一言が遠坂をいつも通りの状態に戻したことには変わりないだろう。
ゼニアスの心に傷を与えるという犠牲を払って。
「え、酷くない……?」
「さっきのは、ゼニアスさんが最高神と分かれば安心ですね。という意味です」
「そう!?なら良かった!」
ならない(大嘘)
ここら辺の関係はまた後で補足します(主に閑話で)
そして、やはりサブタイトルは脳死でつけています()




