happy birthday
お誕生日です。4月19日です。
夕方になったのでお母さんの言う通りにいつもよりもきれいな服を着て誕生日会の会場へ向かう。
と言っても、家は貴族とかそんなんじゃなくて平民の家なのでそこまで高い洋服は買えないし、大きな会場なんて用意することなんかできないので、おばあちゃんのお家で家族全員で祝うのだ。
それは私にとってはいつもの事で、僕にとってもいつもの事なんだ。
ただ、両親が側に居るという当たり前の事が少し変わっただけ。
「楽しみだなー」
『おう』
少しウキウキしながら私達は喋りながらゆっくりとおばあちゃんのお家へ向かっていた。
すると、突然誰かに呼び止められたような気がした。
ふと、振り返るとそこにはいつもちょっかいをかけてきたあの男の子が立っている。
……正直、あの子とはなかなかに気まずい関係なんだけどなぁ。
というかどうしてここに?
「あっ、あのっ」
「なに?」
僕の知識を持ってから、この子の気持ちに感づいちゃって私の方はどう話しかければいいのか分からなくなってきている。
……故に私からは話しかけたりすることができない!
ただこの子が喋るのを待ち続ける事しかできないのだ!
私がこんな変な事を考えていると、男の子は後ろに回していた手を前に出して
「た、誕生日おめでとう!」
と、言った。
手には小さな袋と手紙があり、貰ってくれ!と言わんばかりにこちらに突き出されている。
「あ、ありがとう!」
……嬉しい。
前世だと誕生日プレゼントを友達から貰うなんてこと無かったしなぁ。
……あれ、そう考えると僕、年下の私に負けてる!?
そう考えると他にも負けているものがあるような……
……あまり深く考えないようにしよう。
一応貰っていいのか確認しようかな。
「これ、貰っていいの?」
「うん!」
……満遍の笑みでそんな事言われちゃしょうがない。
「ありがとう!….開けてみてもいい?」
「おう、もちろん」
一体何が入っているんだろう?
……慎重に袋を開けていかねば。
…………よし、開いた!
「これ……本当にいいの?」
「ああ、だって明日は神殿に行くんだろ?ならそういうのつけて行った方がいいのかなぁと思ってな」
「確かに……ありがとう!大切にするね!」
「おう」
いやぁ、こんなもの貰ってもよかったのかなぁ。
いかにも高そうな首飾りだもんなぁ。
この赤くキラキラしているのはなんだろうか?
『これは……レッドライトという魔石だな。この小ささとはいえ一万はするだろうな。……この世界の金の単位だと一万二千ゴールド位か』
い、一万二千ゴールド!?……私のお小遣い二年分くらいかぁ……。
本当にいいの?
『これは、ほとんど鑑賞用として使われるが、実は魔力電動率も増幅率も中々で、この魔石が耐えられる魔法なら大体1.5倍にできる、一言で言えばやばい代物だな』
……これ、本当に大丈夫!?
じゃあもう一生付ける、これ。
と、いう事で早速付けてみる。
「ど、どう?」
鏡とか無いから自分じゃ分からないんだよね。
「……す、すごく似合ってる」
「そう?ありがとう」
……ごめん、思わず聞いちゃった。
すごい顔を赤くしながら言う顔を見ちゃって、ものすごく申し訳なくなった。
……そろそろ行かなくちゃ。
「じゃあ、私はそろそろ行かなくちゃ」
「おう……じゃあな」
「うん……!」
……また、会えるのだろうか?
私は今日、この街から出て行かなくてはならない。そして、その後……。
……ごめんね。私はこの首飾りを神殿でつける事もできないし、また会う事もできないかもしれない。
……そんな事を考えていても仕方ないか。早く行こう。
「ねぇ」
「……なに?」
呼び止めてくるとは思わなかった。
「また、会える?」
……。
「どうして?」
「いや、変なことを聞いてごめん。何となく、もう会えないような感じがしたんだ。……さっきの言葉、忘れて」
「……きっとまた会えるよ。だって、当たり前でしょ?」
「….…おう」
……これからやる事がまた一つ増えてしまった。
心に留めておこう。
◇ ◇ ◇
おばあちゃんのお家につくと、もうみんな揃っていた。
みんな暖かく歓迎してくれて、それが前世には無かった光景で、とても嬉しかった。
「あれ、どうしたの?その首飾り」
私は出迎えてくれた妹にそう聞かれた。
「これ?……さっき貰ったの」
「似合ってる……」
「ありがとう、ユイ」
「ん」
そして、その後は言われるがままにリビングへ運ばれて、みんなで誕生日会を楽しんだ。
ご飯を食べたり、ケーキを食べたり、みんなで歌ったり、遊んだり。
……とても楽しかった。
シュナちゃんは可愛いロリっ娘です。
愛でてください。(圧)




