表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/67

命を啜る者

ネタバレ要素有りかも知れません。


ネタバレとまではいかなくても


あっ、ふーん(察し)


となる方も少なくないと思います。


そんな方は更新通知をしてもらって、次話をお待ち下さい。

 ……ごめんねお姉ちゃん。


 本当はもっと、楽しい事をしたかったんだけど。上手く、上手くいかなくてごめんね。


 ……本当は、ずっと大好きなのに。どうしてあんな事を……。



 私は、部屋を出た時から溢れる涙を止める事ができなくなっていた。



 しばらく歩き続けて、気づいた時には既にスレイナ様の部屋の前に着いていた。



 お姉ちゃんの魔法で気を保つ事ができている今。やり残した事をしよう。



 コンコン


「はーい」

「スレイナ様、ソプラです。お願いがあって来ました」

「……ソプラ。いいよ、入って」

「失礼します」


 入る許可をもらったので、私は扉を開けて部屋の中へ入る。


 久しぶりに来たなぁ。……あれ?今日は秘書さん居ないんだ。



「で、どうしたの?また、消してほしくなったの?」

「ん、それをお願いしたくて来たの。でも、その前にスレイナ様に聞きたいことがあって」


 聞きたい事、というか気になった事か。


「聞きたい事って何?」

「スレイナ様、神殺しの剣って知ってますか?」

「神殺しの剣?知ってるけど、それがどうしたの?」


 ……。


 やっぱり、か。


 人や神の暗い部分に触れてきたせいか、私はそういう所には酷く敏感になってしまったんだよね。


「神殺しの剣、実は私たちからかなり近い所にあるんじゃないんですか?….例えばスレイナ様が持っていたり」



 ……気付きたくはなかったけど。気になってしまったらしょうがない。


 スレイナ様は多分、いや間違いなく神殺しの剣を持っている。



 私には今はもう必要ない物だけど、そんな物が存在していてはやっぱりいけない。だから、壊さなければいけないと私は思う。


 後は、どうやってスレイナ様がに吐かせるかだけど……。


「私が持っている?そんな訳ないでしょ」

「じゃあ、私を消そうとした主犯はスレイナ様という事でいいですか?」


 そう。私がいじめられるようになったのはスレイナ様の手引きの所為だと私は考えている。


 そして、私が消えたくなるくらいまでいじめたら、私の()()を開けてスレイナ様が転生神をしていた事を思い出させる。


 そして、記憶を無くさせ人間として生まれ変わらせる。


「まぁ、計画は失敗した訳だけど」

「えぇ、そうねぇ。まさかソプラ、貴方の生まれ変わりもいじめられて追い詰めさせられるとはねぇ。おかげで今貴方はこんなにも早くここへ帰ってきた訳だけど。


 本当に邪魔だわ。


 そのせいで私たちの計画に支障が出てしまったんだから」


 ……本性を見せたか。


「そんなにあっさり認めてしまっていいんですか?」

「ええ。だって貴方が何を言ったって誰も何も信じてくれないでしょ?」

「一応居るとは思いますよ。お姉ちゃんと、スレイナ様が」


 ……残念だけど今の私を信じてくれるのはスレイナ様とお姉ちゃんくらいしかいない。


「あら、私も含まれているなんて。本当にソプラは優しいねぇ。


 まぁ、残念だけどこれから死んでもらう訳だし、誰にも何も届かない訳だけど、何かいい残すこととかある?」

「考えておきます」

「そう。……じゃあ死んで」


 そういうスレイナ様の手には悍しいほど黒い短刀が握られていた。


 直後、濃密な殺気を放ち私へ突き出してきた。


「つっ!!」


 危ない!


 私はスレイナ様の攻撃を間一髪で躱す。


 あの短刀は間違いなく神殺しの剣なのだろう。アレに少しでも傷を付けられたら、きっとただじゃ済まないだろう。


「へぇ、これを躱すか。小さいくせに意外と早く動けるのね。でも、次は外さないわ」


 スレイナ様はそう言うとその場から消えた。


 どこ?


 その時後ろから殺気を感じ、振り向いた。


 その瞬間。



 ジャキッ!


 天井から落ちてきたスレイナ様は、流れるように私の肩から腰までを切り裂いていった。


 背中に走る嫌な感覚。


 心臓の鼓動が速く、激しくなっていった。


「あっ、あ、熱い!!」


 背中を手で触ってみると、何かドロドロとした物が吹き出ているのが分かった。


 これは、血?


「なっ、精神体には血なんて無いはずなのに!」


 痛みを忘れて呆然と立ち尽くす私にスレイナ様は言う


「あははっ!そうね、精神体には血なんて無いわ。でもソプラ、()()()()()()()?」


 ほ、んもの?一体どういうこと?


「あっ、言い忘れていたけどそろそろ痛みが来るはずよ。その傷なら、待ち構えてないと一瞬で意識を刈り取られるかも。


 ……そうなれば貴方は二度と目覚めることは無いわ」



 なんだって?……やっぱり私、死ぬの?



 次の瞬間、斬られた背中に鋭い痛みが走る。


「あっ、あぁぁぁぁ!!」


 私はその痛みに耐えきれず膝から崩れ落ちてしまった。


 そして、床に背中から倒れベチャという音とともに嫌なドロドロとした感触が背中全体へ広がる。


 そして、依然痛みは酷さを増していく。


「くっ、ううっ!!」

「あははははっ!いいねぇ、面白いわ。そうそう、またまたヒントぉ。


 その血は貴方の命よ。そう、命の力。


 その血は命の強さの分出続けて、全て無くなれば死ぬ。


 じゃあ、その命の力をもう一度自分の体内に取り込むとどうなるのかしらねぇ?」



 な、なんだって?


 ……これを、この血を飲めば、生きながらえることができるかもしれない?



 そうと知り、私は床に広がった血を少し舐めてみた。


 すると、何故か背中の不快感がほんの少しだけ治った気がした。



 それを知った私は、その姿が滑稽な物だと知りながらも、広がった血をかき集めて飲み続けた。


「ははっ!あー、面白い。……もっと足掻いて、もっと、ほらぁ、早く!」


 ……気にしちゃダメだ。私はお姉ちゃんと約束したじゃないか。


 私はお姉ちゃんの笑っている姿をもう一度見るまでは諦めれない!


「……お姉ちゃん」

「……ふーん。あっそう。今、貴方の思考を見させてもらったわ。ソプラ?貴方お姉ちゃんの笑っている姿が見たいんだ?


 ふふふ。なら私の姿をよく見てご覧?」



 それを聞いてふと、顔を上げる。


 すると、そこには私を見て笑うお姉ちゃんの顔があった。



 偽物だって、分かっていても……どうしてか私の心の奥底から、ポキッという音が聞こえた。


「あっ、ああっ、あぁぁぁぁ」

「あはははは!!面白いわぁ。ほら、もっと頑張ってソレを飲みなさいよ。ほら、早く!」


 もう、私は……。だめだ。



 私は……。


「ほら、頑張れ!頑張れ!…………あら、もう心が折れてしまったの?つまんないの。


 ……じゃあ、もういらない」



 スレイナ様は冷めた口調でそう言うと、私の背中に、また短刀を突き立てた。



 今度は、何度も。


 私はその度に「あっ……。あぁっ」と、叫び続けたが、スレイナ様がもう笑うことは無かった。


 背中の痛みがもう限界を超え、私の体と心は麻痺し、もう何も感じなくなっていった。



 そして、意識がプツリ、プツリと切れはじめた時スレイナ様は私の首をサッと切り離して胸の前へ持ってきた。



 それでも私はまだ死なない。


 スレイナ様は私の頭を左手で胸の前に抱えたまま、私の体から右腕を切り離し、ソレを口元まで持っていった。



 直後、バリッという音と咀嚼音が聞こえ始めた。



 私はもう何もかもどうでも良くなって意識を手放そうとしていた。


 その時、耳元でスレイナ様は囁いた。


「ソプラ、まだ生きてる?貴方はこの姿を見てどう思っているのか知らないけれど、こうすると貴方の命を取り込むことによって私の命の力が格段に上がるのよ。


 そして、もしかしたら私の中で貴方は本当の死を得られないまま一生囚われることになるかもしれないけど。いい?」



 ……。



「…………殺して」

「やだ」


 その時私は、頭をゴリっという音を立てながら食べられ始めた。


「……ん。美味しい」



 私は意識とか、何もかも全てが消えて無くなってしまう直前、


 何故か、何とも言えない幸福感に包まれた。

スレイナたん怖い。_:(´ཀ`」 ∠):

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] スレイナ様の手引きでいじめられてただなんて 神殺しの剣を持っててソプラが殺されたけどゼニアスさんは知らない? ゼニアスさんは妹が殺されたにもかかわらず嫌われないように頑張ってるってこと?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ