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開幕前の憂鬱②

お知らせです。今度小説のタイトルを


「人に蔑まれ挙句の果てに魔王に殺された異世界勇者は幼女になって魔王と共に復讐する!?」


に変えようと思ってます。


我ながら笑えるくらいやばいセンスですね!はっはっはっ!


まだ短冊に「センスを下さい」って願いを書いたら叶えてもらえますかね?


7月25日


タイトルを変更しました

 スレイナと少し話をした後、談話室に行くと一人の少年が椅子に座っていた。


 少年は見た感じでは、ソプラとは思えないけど生まれ変わったソプラであることは報告書を見たところ間違いないだろう。


 そして、報告書からこの子もいじめられていたのが分かったりもした。


 まぁ、報告書など無くとも少年の目を見れば、察しがつくけれど……。



 こういう人の姿を見ると、私の無力さを思い知らされる。人は実際脆いのに互いに恨み合って……この子は恨まれても恨みはしなかったようだけど。



 ……いや、違う。恨みたくても恨めなかったんだ。


 ソプラの生まれ変わりとはいえ、この少年の記憶や魂は本物。……罪のない人をこんなことにしてしまった自分の無力さに嘆きたいし、何よりこの子をここへ連れてきた……殺したのはシオンだっていうじゃない?


 はぁ……本当に自分に腹が立つ。


 でも、スレイナに言われたじゃない。不幸以上の幸せをって。だったら、ここでくよくよしている場合じゃない。


 やらなければ。


「翔くん……だったかな?」

「……はい。えっと……誰ですか?」


 この少年、どうやらかなり心に傷を負っているようだ。


 少年の顔に表情はなく、虚な目をしている。


「私は、私の名前はまだ話せない。ごめんね」

「はい」

「ごめんね……」


 彼の姿を見ていると、思わずそんな事を言ってしまった。


「……?」


 そうだよね。何のことか分からないよね。


 でも、それを伝えたらもっと彼の心が壊れてしまいそうだからやめておこう。


 でも……。


 伝えるべき言葉を出せずに、しばらく下を向いていると


 彼は、少し心配そうに


「大丈夫?」


 と、小さな声で聞いてきた。


 もちろん、彼の顔に表情なんて無かった。だから、余計に心に響いた。


「私は、私は貴方と、私の妹を助けることができなかった。……だから、謝りたかったの」

「妹……?」

「信じられないと思うけど、貴方の前世は神様なんだよ。そして、私の妹」


 彼は少し、ほんの少しびくっと体を動かしたが、直ぐに元の状態に戻ってしまった。


「そうですか」

「……それで、勝手な願いだって分かってるんだけど。妹と話がしたいんだ」

「何をすればいいんですか?」

「ただ、そこでじっとしているだけでいい。それで、()()()()()()()()()


 そう。妹と話をする以上彼はその身体から離れなければならない。そうなれば、妹が彼に意識を譲らない限り彼は完全に消える事になるだろう。


「そうですか。大体分かりました。でも、貴方のいう妹はどうなるか分かりませんよ?」

「いいの。私はもう、覚悟した。貴方を消す事も、妹に会う事も」


 ごめん。君を不幸の分以上幸せにする事は叶わないけれど、どうか許してほしい。


「僕はいいですけど、妹さんは本当にこれを望んでいるんですか?別に僕を消さないでほしいとか、そんなんじゃないですけど。


 妹さんの事も尊重してあげて下さい」


 重い、とても重い言葉。逃げ出してしまいたい気持ちは正直あるけれど、私は必ず全て受け止めなければならない。


 それが、私の今の役目。


「分かったわ。出来る限り、いや、必ず」


 私がそう言うと、彼は少し微笑んだ。


「ありがとう、ございます」

「……貴方に私の名前を伝えれば、その瞬間貴方は消える。二度と戻る事はないかもしれないけど、覚悟はいい?」

「はい。……むしろそうなる事を願ってますよ」


 ……これは彼なりに応援してくれてるって事なのかな?


 今さっき、初めて会った人にここまで優しくできる心を持っているなんて……。私も見習わなくちゃね。


「それじゃあ、私の名前はね――――って言うの。いい名前でしょ?」

「――――……ですか。いい名前ですね」


 ……ありがとう。



 その次の瞬間、彼……いや()()は苦痛に満ちた表情を浮かべる。


 そして……


「あ、あぁ……!?僕は一体……私?何!?誰が……?いや……。嫌っ!やめて、苦しい!!だ……だれなの?消えて!あっ、あぁぁ!!!」


 まずい……!!糸が、糸が切れかかってる。


 このままだと、ソプラと彼の記憶が消し飛ぶ!!


「《金獅子の精神(ライオンズ・ハート)》!!」


 私が精神にかかっている負荷を取り除いてあげると、ソプラは息を切らしながらその場で座り込んだ。



 ソプラ……。


 スレイナの言う通り精神に精神体が引っ張られて元の姿を取り戻している。


 しかし、ソプラは私には見せたことのない、辛そうな表情をしていた。


 その姿を見て、私は今更ながらにソプラを戻すのはやめるべきだったのではないかと思った。


 でも、私は彼と約束したじゃないか。


「……大丈夫?ソプラ」

「……お姉ちゃん。……私は大丈夫だよ。……って言ったら安心してくれるの?私が大丈夫に見えるの?」


 ……つっ。


 私は何か、何か声をかけれないかと返す言葉を探した。……でも、返せる言葉なんて無かった。


 私は、私はただソプラの言葉を受け止めることしかしてはならない。


 全部、受け止める。……それが私なりの覚悟なのだから。


「ごめん。今の質問は酷だったよね。……じゃあ、自分が怪物だとして、人々から恐れられ始めたらどうする?」


 そんなの……そんなの認めてもらうまで頑張るしかないじゃない。


 現実に足掻き続けるしか、ない。


「例えが分かりにくかったかもしれません。……多分お姉ちゃんの答えは凄くいい答えだと思うんだ。でもね、同時に夢に溢れすぎている」


 ソプラ……一体、一体その質問で何を言いたいの?


「……自分の答えについてよく考えてみてください。本当に、本当にそんなことできると思ってるんですか?


 実際に追い詰められたら、みんなと仲良くなるための方法を考える余裕なんて無いんだよ。


 大体、そんな事を考えようと思えなくなるほど心が傷ついちゃうんだから。何も、何も考えたくなくなっちゃうんだから」



 きっと、きっとソプラの言っていることは正しい。私もそんな事になったら諦めてしまうかもしれない。


 でも……私はソプラを元に戻すのを諦めたくない。


「……その話に希望はなかったの?」

「希望……ですか?あったとしても変わらないと思うよ?だって、怪物本人が希望の光を自分の手で黒く染めてしまう事を恐れているんだから」


 なら、ソプラはもしかしてその優しさ故にこんな事に……?


 ……。


「そう、だからもっと早く気づいてあげられたら。みたいな事は言ってほしく無い。……気づかないフリでもいいから、気にしないでほしかった。


 私の魂を、ここに戻さないでほしかった。


 そうなっていれば、少なくともさっきのように心が壊れかける事は無かったはずでしょ?」


 ……やっぱり、本当は戻すべきじゃなかったのかもしれない。


 本当は彼の言う通り『本当にソプラが望んでいる』のかを、ちゃんと考えてあげれば良かったんだ。


「ごめん……ごめんね」

「別に謝ってほしい訳じゃないよ。……それで、私をここに戻したって事は何か用があるんでしょ?」

「ええ。……頼みにくいんだけど、ソプラが居なくなった後、翔くんが飛ばされた世界。人族が魔族を滅ぼそうとしている世界が生まれてしまったの。


 世界を助けるか、それとも全部を救うか、どっちか選んで実行してほしいんだよ」


 本当に、ソプラに対して自分がどんなにひどい事をしているのか自分では分かっていりつもりだ。


 だから、余計自分に腹が立つし、罪悪感も重くのしかかる。


「……みんなは私に『お前なんて誰も必要としてない』だとか、『お前の変わりはいくらでもいる』とか言っておきながら私にそれを頼むんですか?


 はぁ……やっぱりみんなは私のことを使いやすい道具としか思ってないんだね」


 そんな、そんなことない!


「……やめて、ソプラは私にとっては、愛すべきたった一人の妹なんだからっ!!」

「つっ!……大丈夫、安心して。私だって望んで道具になんかなったりしない。……それに、勇者?でなんとかすればいいんじゃないの?」


 無理なんだよ。あの世界の勇者はもう、勇者として機能していない。


「例えば、ほら、ここに勇者がいるけど?」


 勇者……?あっ!


「翔くん?」

「そう。()がその仕事をしたら、私は居なくなれるし、彼も生き返れるし、お姉ちゃんも問題が解決できて全員得をするんじゃないの?」

「確かに、そうだけど。私はそんな事したくない」


 折角会えたのに、またソプラと会えなくなってしまう。


「はぁ……じゃあお姉ちゃん。()がその世界をどうにかするまでは消して。どうせお姉ちゃんの事なら私の元の体はとってあるんでしょ?」


 確かに、保管室に一応魂の抜けた元の体は厳重に置いてある。


 ソプラが体だけになってもまだいじめようとする奴等から守るため、一部の神しか知らないけれど。


「そして、全部終わって私がまた戻ってきたら、その時はお姉ちゃんの謝罪をきちんと受け止めてあげる」

「本当!?」

「うん」


 良かった……!そうしたら、きっと元の生活に戻れるはず!


「そうと決まれば私はスレイナ様の所へ行くから。あと、()にも精神の負荷を取り除いてあげるのと、記憶を少し改変してあげてね」

「うん。分かった」

「じゃあね、お姉ちゃん。私の希望は勿論そんなもんじゃ折れないよね?」


 ソプラはそう言うと部屋から出て行ってしまった。



 ソプラと話して、私は痛感した。私はなんて無力で愚かな奴なんだと。


 そんな、そんな私にも優しさを向けてくれるソプラは、本当にいい妹だと改めて思った。



 多分、今がソプラと話す最後のチャンスなんだろう。


 そうしたらその先何年か、また会えなくなってしまう。


 でも、私はその時を待つ事にするよ。その時が来たらソプラにちゃんと『ありがとう』が言えるようになるため、私は、まだ諦めない!

前書の通りなんですけど、タイトルを変えるので


新しいタイトルを覚えられる方はいいのですが、無理だ!というか方はブックマークしてほしいです。(懇願)


してくれたら私が喜びます。はい。


すみません……。



一応日曜日に変える予定です。


因みに次の次の話はやっとTSしだす予定です。今話にもそんな事がちょこっと書いてありましたね。



面白いよーと思ったり逆に面白くない!と思った方も感想や評価等をしてもらえると嬉しいです。


さらに成長する事ができる気がする!L( ´ ▽ ` )ノ



そういえば昨日友達から扇子貰いました(折り紙の)

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