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彼女の正体

 突然不自然に強張った僕を心配してか、女の人は少し心配そうにしていた。


 なんとなく悪い気がしたので「大丈夫です」と僕が言うと、まだ心配そうにしてくれているが一応「そうですか」と言って話を始めてくれた。


「えーと、シオンは久しぶり。そ……そういえば翔くんとも久しぶりになるのかな?」


 何故そこで疑問系?


 ……魔王さんシオンって名前なんだ。やっぱり魔王っていうのが名前な訳ないし、あるとは思っていたけど分からなかったから暫定的に魔王さんと言っていたが、魔王さんが馴染みすぎてシオンと魔王さん、どっちで呼べばいいのか……。


 まぁ、今まで通り魔王さんでいいかな。


 というか……


「……久しぶりということはやっぱりあの時のって……」

「……私です、ね。…………ご、ごめんなさい!本当にごめん!許して!!なんでもするから許して下さいお願いします!」


 やっぱりこの人か……。てか、今何でもするって言った!?……まぁ、特に何かして欲しいことは無いけど。


 でも、一部の人はそういうことしそうだなとは思った。うん、あれのせいで痛い目にあったのは事実だけれど、そこまで責めては無いし別にいいかな。悪いのは全部魔王さんな訳だし。


「いいですよ、そんなに謝らなくて。別に恨んでいる訳でもないですし」


 それに、この人優しそうだし。


「ほんと……?ありがとう!やっぱりそうよね、悪いのは全部シオンだもんね!いやーよかった」

「今聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんだが。……俺も確かにあれはまずかったと思ったけどな。まあ、お前の生命力がどうかしてるのが悪いからそこは割り切ってくれ」


 全然割り切れないんですけど!!地面も溶かすレベルの攻撃は流石にアウトでしょ!


「やっぱり流石に割り切れないよね……。シオンもちょっとは反省して謝ったら?」

「俺だって反省はしているさ。……というか話がずれてきてないか?元々この話をしたかったのならいいのだが」

「あ、確かに!話を戻しましょう」


 あ、魔王さん逃げた。そして貴女も引っ張られないで……。


「え?あ、しまった!ほら、シオンしっかり謝りなさい、逃げようとしたって無駄ですよ」

「え?」「は?」


 なんかギリギリ引っ張られなかった。……というかもしかしてこれ……。


「なんだと……いつもなら簡単にそらせるのに」

「??」


 魔王さん、それ言っちゃいけないやつ!本音漏れてるって!女の人はなんか分かってなさそうだけどそれ気付かないといけないやつだから!


「!!?私って実はシオンに話をいつもそれされていた!」

「な……お前今日どうしたんだ?いつもより感が鋭くなっているだと。まさか変なものでも食べたのか?」

「いや、そういう訳じゃないけど……」


 言い出すタイミングが……。んー。もういいや、言っちゃえ!


「あのー」

「ん、何?」「なんだ?」

「もしかして僕の心を読んでたりします?」

「……」


 え?なんで無言なの?怖いんだけど。


「…………バレた?」


 いや、やっぱり?


「なるほど、だからいつもと違う訳か」

「それで、僕としてはやめてほしいんですけど」


 なんかプライバシーを侵害されている気がして嫌なんですけど。というか、こうやって考えていることが相手に筒抜けって、なんか変な気分じゃん。


 というか今更だけどそれどうやってるんだ?やはり魔法とかなのかな?読心術だとしたら怖すぎる。何もしていないのに相手に気持ちを読まれてしまうという……。


「えーと、話を戻します!!」

「えぇ……」


 今度はそっちが逃げるのかよ!いや、もうバレてるんだし、こっちも嫌がっているんだから良くない?


「良くない!翔くんの心を読めなくなるのはダメ!」


 え、物凄く反対されたんだけど。何故そこまでして人の心を読むし!


「話を戻しますよー」

「はいはい、分かりましたよ……」


 拒否権は無いということですね。あぁ、ほんと死んでも今までと同じだなぁ。


「…………先ずは自己紹介からいきましょう。私の事を何も知らないでしょうし」


 女の人はさっきまでの出来事が無かったかのように話し始めた。……酷くない?


「私の名前は……ゼニアス、18歳。生まれは神界、育ちも神界の最高神だよ」


 あれ、生まれが神界?じゃあ魔王さんとの恋人関係説は違かったのか。……というか、今とても大事な事をさらっと言われた気がする。


 たしか、最高神……?……この人、ゼニアスさんって最高神だったんだ!?


 そんな人が人のプライバシーを侵害してくるとか、ダメじゃない?


「……最高神というのがどれくらい凄いのか分かりませんが、文字通りだとするなら、神様のトップであろう人……神が神の力?を使ってまで僕の心を読むってどうなんですか?」

「うっ、……大丈夫。問題ない」


 問題大有りなんですが!?


「……流石にそれは問題あるだろう」

「やっぱり魔王さんもそう思います?」


 良かった、常識のある人がいて。


「うぅっ、2対1って酷くない?」

「正直に言うと酷いです。僕もされてきましたから。でも、僕のに比べたらまだマシですよ?」


 多対1でボコボコにされるなんてよくある事だ。あの頃はどうして誰も助けてくれないんだと良く思っていた。そして、最後には神様すら僕を助けてくれないのかと絶望していた。


 今思えば変な話だ。誰かが助けてくれるなんて思っていたのだから。


「うっ…………。分かった。分かりました。やめます……。だから許して、お願い」

「??……え、はい」


 どうしていきなり心を読むのをやめてくれたのだろう?まぁやめてくれるのならそれに越したことはない。


「じゃ、じゃあ話を戻すね……」

「あ、ああ」

「はい」


 なんか、ゼニアスさんの元気がなくなった気がする。何か僕が悪い事をしてしまったのだろうか?そうだとしたら悪いな。


「えーと。私が翔くんに話をしなくちゃならないのは、君がこの後どうなるのかについて」

「あ、僕もそれについて少し気になっていたんですよ」


 死後の世界で一体僕はどうすればいいのか?全く謎だったから。教えて欲しかったところだったんですよね。


「そう?なら良かった。それじゃあ先ず、話をする上での前提なんだけど、勇者の存在する意味って分かる?」


 勇者の存在する意味?たしかあの、あの国王が言っていた気がする。たしか……


「邪悪な魔族達から人族を守る。そして、悪の根源たる魔王を倒す。みたいな事だったと」


 ゼニアスさんは僕の言葉を聞いて、少しため息のようなものをついた。ゼニアスさんの隣に座っている魔王さんも少し顔を顰めた様な気がする。


「もしかして、間違っていましたか?」

「全く、1ミリも合ってない。……でも、それはしょうがない事ね。はぁ、やっぱりそっちではそういう考え方なのか……」


 1ミリも合ってない?そしてしょうがない?うーん、地球にいた頃のイメージでも、魔王というのは悪い人というイメージだったけれど。一体どういう事なんだろうか?


「ねぇ、やっぱり翔くんが何を考えているのか分からないから教えて欲しいんだけど……ダメ?」


 はぁ……。どうしてこの人はそこまで僕の心を読みたがるのだろうか?


 やはり、一度しっかりと言っといたほうがいいかな……?


「ダメです」

「やっぱりダメか……」

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