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……これは酷い(自嘲)

 と、僕はこんな風に死んでしまった訳ですが。こんな風に考えることができているということは、まさか生きてる!?


 まぁ、そんな訳ないよな。ということで今は霊みたいな感じになっています。最期まで生きたいと願っていたしこうなってもしょうがないわな。


 しかし、それにしてもここはどこだ?見た感じ応接室のようなところだけど。というか完全に応接室。


 状態を整理しよう。まず、僕は死んで、気づいたらこの応接室にいたと。しかも、それだけに留まらずふかふかのソファーに腰掛けていて、目の前には暖かそうなお茶が置いてあると……。


 何この凄い待遇!?こんなの生まれて初めてなんですけど……!いや、もう死んでるから生まれて初めてという言葉は有効なのか?


 まぁいいや。話を戻そう。


 まぁ、こんな感じに死んでしまった僕だったのですが、……先程目の前に座ってる魔王さんが衝撃の事実を言い放ちました。


 ……そう、さっきのは事故だったと!殺すつもりなどなかったと言い放ちました!


 世の中には笑って許せる事故と、笑って許せない事故がある!今回の場合は後者!圧倒的に後者だー!!


 というか、魔王さんは自分の魔法が暴発して死んだっていうのに……何故そんなきっぱりと言えるし!?


 ……でも、『死ぬのはお互い覚悟の上』というところには同意せざるおえないところもある。


 でも、やっぱり許せない!やっぱり死因が事故死って本当にやだ!恥ずかしい!死にたい!


 まぁ、既に死んでるんだけどね……。


「あーー、もうやだ!」

「はぁ、本当に悪いとは思ってるよ。というか俺も死んでるから、それで許してくれ」

「魔王さんが死んだからって、死んでしまった僕には何もいいことはありませんよ!」

「いや、今頃魔王を倒した勇者として讃えられているかもしれないぞ?」


 なるほど、たしかに。でも、結局僕は約束をちゃんと果たせていない訳だし……。


「やっぱり許せないです」

「そうか……」


 はぁ、でもまさかあの魔王さんが事故を起こすなんてな……。やはり、その道のプロにも誤ることもあるんだな。


 このタイミングで誤って欲しくなかったなぁ……。


「あのー、二人とも……聞いてる……?」

「へ?えっと……え?」


 声が聞こえる。え?この部屋には魔王さんと僕しかいないのに……って、魔王さんの隣に誰がいる!!?


「あっ……すみません気づかなくて。それにしても、気配を消すの上手いんですね」

「え?……気配を消してなんかないけど?」


 え、もしかして素でこれ?……もしかして失礼なことをしでかしてしまった?


「あっ、と。その、すみませんでした!!」

「え?なんか謝られた……。別にいいけど」


 おう、許してもらったということでおけ?……ってそんな訳ないですよねー。


 本当に無自覚なんですね……。


 いや、これは隣に人がいる事を気にせずに僕と話していた魔王さんが悪い!うん、そういうことにしておこう。


 と、その時魔王さんの口から信じられない言葉が飛び出た。


「うわっ、お前いたんだ」


 いや、お前もかよ!!……隣にいたんだから気付こうよ。いや、真正面にいた僕が言えることじゃないとは思うけどさ。


 というか魔王さん、その人と知り合い?もしかして死後の世界で昔の友と再会的な?


 いや、相手が女性の方だし彼女説もあるか?今はおじさんと女子大生みたいな感じだけど、昔死んでそのあと姿がそのまま変わらなかったとしたら……うんうん、これは……ある、な。


「???……二人とも聞いていなかったみたいだし、もう一度仕切り直して話すわ……」

「あ、はい。お願いします」

「……ああ」


 だめだだめだ、変な妄想に引っ張られてる。クールに、冷静にいこう。


 ふーー……っと深呼吸。


 落ち着いたし、ちゃんと話を聞こう。どんな話なんだろうか?


 そんな時、ふと、ある記憶を思い出した。それは、死んでしまう前の記憶、魔王さんと戦っていた時の記憶だ。


 そして、それを思い出した僕は思わず「あっ!」と言ってしまった。


 この女の人、涙の人だ!あの時、魔王さんの使った魔法《天泣の哀情(エンゼルメルト)》の人。


 あれ、そうだとしたら僕、今敵に囲まれてない?やめてよ、死んだ後も痛めつけられ続けるとか、本当に嫌だ。


 ……イヤダ、オハナシ、キキタクナイ。ミンナ、コワイ……。

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