強さ=努力?
目の前に表示された文字群、つまりは僕のステータス。地球で言うところの履歴書……みたいな物?よく分からないけれど。
兎に角、これで人生が変わるんだ。良い方にも悪い方にも。
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ヒノ カケル (13) Lv.1 種族:人間
職業: 称号: 異世界からの来訪者
神々の祝福
HP 300/300 MP 50/50
ATK 20 DEF 20 AGI 30 LUK
スキル
常時発動:非ダメージ軽減(中)
痛感弱化(中)
精神負荷軽減(中)
魔法
なし
所持品
神の願い箱
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確か誰かが、経験や性格はステータスととても強い関わりがある。なんて言っていた気がする。
向こうでは確認なんかする手段が無くて確かめられるはずが無く、本当のところは分からなかったが。
……はぁ。本当にそうだとは。
なんだよ非ダメージ軽減とか精神負荷耐性って。おまけにLUK…運も無い。
他の奴らのステータスは分からないからどうかは分からないが多分これATKとか全部低いんだろうな。
体育会系じゃないし、かと言って頭がいい訳でも無いし。
いや、まぁ伸び代が大きいとも言えるし…な。
うん、大丈夫。何とかなる。……多分。
「全員、確認したか?それがお前たちのステータスだ。勇者である以上この世界の平均よりはかなり上の数値だ。この数値はお前らの努力次第でどんどん大きくなっていくから全員もっと強くなれる様に励む様に」
平均よりは上……でも、足りない。おそらくこの程度では国を潰すのは無理だ。圧倒的な力が無ければ。
地道なトレーニング……は、流石に駄目だろうな。もっと効率のいい方法を探さなければ。
この世界に来てからまだ日は浅いんだ。当然だが現状この世界についてほとんど分かっていない。歴史も、魔術も、勇者、それに魔王のことだって。
手っ取り早く強くなれる方法だってあるはずだ。
僕はその日から「強くなること」を目標に開いた時間に走り込みやら腕立て伏せやら、知っているトレーニング方法を片っ端から試してみたり、城にある図書館で手っ取り早く強くなれる方法を探してみたりと色々努力をした。
◇ ◇ ◇
それから何日かして図書館でいい情報を見つけた。
どうやら強くなる為にはレベルを上げるしかない。訳ではないらしい。単純な話だ、装備を整えればいい。
まぁこの城の中では僕は訓練用の木剣くらいしか見たことないんだけど。というか「ゆうしゃのけん」みたいなあからさまに強そうな武器を仮に手に入れたとしても今の僕には装備できなさそうだからあまり意味のない情報なのかも知れないけど。
……もう一つあった。これは……多分無理だけど。
方法としては、精霊を召喚し契約する。簡単そうに見えてとても難しいことだ。
精霊と契約するには精霊と僕が契約に同意しなければならない。あくまでも契約なので互いの同意が必要なのだ。が、僕には精霊に同意してもらえる気がしない。
力を認めてもらえなければ精霊は大体契約してくれないらしいのだ。
僕はまた強くなる為にはある程度の強さが必要になってくるのか……と落ち込んだ。
三つ目がある。これは僕がこれもう駄目なのでは?と少し諦め気味になっていた時に見つけたものだ。
肝心の方法はというと、魔物を倒す事だ。
どうやら魔物など魔力を帯びているものを倒すと通常の敵、要するに大蛇などの動物系のものを倒すのと比べてかなりの経験値が手に入るそうだ。しかも、それに加え、限界魔力量が倒すたびに増えるらしい。
僕たちは一応勇者なのでこれから魔物と戦うことも少なくはないだろう。
今はこれしかない。そう思った。
まぁ魔物と言ってもそこまで強くない奴しか今の僕には倒せないだろうけど。
でも、希望は見えた。と信じたい。
ほんと、あの人は悪魔だよ。僕にここまでさせるなんて。…でも恨めない。これは僕のこれからに必要なことだし、
何より…大切な恩人からの願いだから。
 




