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89 神、残される

 それは、世界から追放されたイーちゃんの呪いだったのかもしれへん。まぁ、真相はわからんけどな。

 今までは前世の記憶から技術力を上げていたから、新しい技術をチート技で手に入れることができなくなったわ。まぁそれでも、今までの技術があるから何とでもなったわ。仕方ないで済ませれたんや。

 それから皆、今の暮らしをより良くすることを努めて、人によってはこの世界を調査してみたいって人もおったからそれも任せてたわ。作った本人であるうちも詳しくわからんかったからな。

 そんなのを数十年?数百年?ぐらい過ごしててな。そうしてたら、突然世界に穴が開き出したんや。この世界で作った物もこの世界で生まれた人も穴に飲み込まれていったんや。

 すぐに閉じる穴やったから、助けることもできなかった。どうして穴が開いてしまうのか、うちもわからんかった。予期することもできなかった。

 そしてまたどんどんと穴が開いていくんや。家族が飲み込まれたって泣く人たちに何もできん自分がすごく腹立たしかった。

 どうにか穴が落ちた先をみれんかと、世界の裏側が見れんかと色々考えて、うちと視界を共有できる鳥がなんとか穴の中に入ることができたことがあったんや。

 そして、うちは裏の世界を知った。鳥とは長く視界共有はできんかったけど、裏世界ではこっちの世界よりは少ないけど人が暮らしているのがわかった。どうしてだと考えて、イーちゃんたちを思い出したわ。

 イーちゃんは裏世界で神様として世界を作ったんやなって。そう思ったわ。


 裏世界の存在を知ってから、知ってしまったからか、こっちの世界での出産率が低下したんや。

 穴に飲み込まれてただでさえ人が少なくなったっちゅうのに、少子高齢化になっていくんや。

 食料だって十分にあるのに、子供を望む人もたくさんおったのに、どうしても子供が増えんかった。

 しばらく動かさなかった端末を使って、神様特権で前世を覚えている人を呼び込もうとしたんやけど、数少ない子供達は前世の記憶はまったくなかった。

 どうしてこうなったのか情報が欲しいのに、端末の検索機能も使えなくなってた。長い時間が経って端末が壊れたみたいやった。

 その頃にはもう、うちは神様じゃなくて、不老不死の化け物みたいやった。それでも仲良くしてくれる皆に感謝しかなかったわ。


 そうして、人口が大分減って、そしてここ最近、世界に変化が起きてしまった。

 大地が突然盛り上がってきたんや。この世界を包んで隠すみたいに、大地が動いていく。何が起きているのかうちらには全く理解できんかった。これが世界の終わりなのかと判断したわ。

 うちは必死に端末を弄って、一個だけ使える機能を見つけたんや。

 地面に穴を開ける力。イーちゃんたちみたいに、穴を開けて皆を裏世界に送り込むことができるってことや。

 うちは、この世界の人を守るために、生きてもらうためにそれを教えた。裏世界なら生きていけるって。

 そして、皆はそれを断った。ここで死にたいって言ってくれた。

 そして、皆は命を絶っていった。この先にまだアパートが残ってるけど、その中にはまだ遺体があるで。皆をせめて埋葬したいんやけど、うちだけじゃ手が足りんねん。

 皆で死ぬなら、声を掛けて集まって死ねたらよかったのにな。皆、うちに黙って死んでいったねん。綺麗な世界を覚えたまま死にたいって、うちに謝る遺書も見つけた。

 この世界にはもう、うちしか残ってない。

 うちだけが、残されてしもうたんや。

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