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33 メガネ、準備段階

 やあやあ、そろそろお店とかに入ると眼鏡が曇って商品も何も見えない時期になったね。

 私だよ、メガネだよ!


 さて、私達がメガニアに帰って来てから三日後、クデル達がプレニルに帰る日になったよ。

 プレニルに向かうのはウェコ、クデル、そしてルー。まだ三日しか経っていないけれど、エレオスが我慢できているか私も少し心配だよ。


「クデル、これ」


 私が荷物を車に詰め込んで一息ついているクデルに新しい眼鏡を渡した。クデルの可愛いけれど一見気が強く見えちゃう吊り目を和らげたらいいなと丸眼鏡を今回も選んだ。そしてこの眼鏡には相手のステータスを見るスキルは備わっていない。


「メガネ様、いいのですか?私はしばらくプレニルで暮らすので、私がもらっても……」

「でも、クデルはいつか帰って来るんでしょう?フォルモさんとルデルが待ってるんだから」


 ルデルはクデルの大切な家族で、フォルモさんも詳しくは聞いていないけれど親戚だったという事を聞いた。生まれはプレニルでも、実家と言えるのはメガニアだ。それに、あっちで何かあっても、このメガニアにしかない眼鏡がクデルにとって役に立つグッズになるかもしれない。

 それをそのまま言うのは少し恥ずかしいのでクデルの手に眼鏡を握らせて私はクデルと目線を合わせる。言葉にしなくてもクデルは感じ取ってくれたのか、微笑して眼鏡を胸に抱いてくれた。


「ありがとうございます。大切にします」


 最初の頃には見られなかった表情は凄く可愛くてそれを向けてもらえて嬉しい限りだ。

 ウェコもシバと何かしら会話をしている。怪しい会話が無いか確認の為にアンちゃんがついているので心配はなさそうだ。

 そろそろ出発かなと思っているとセレナードがクデルに駆け寄って来た。その後ろを慌ててシムコムが追ってきている。シムコムの到着を待てないのかセレナードが何か伝えようと口を動かすけれどやっぱり声は出ないようだった。

 クデルは必死に口を動かすセレナードに落ち着くように頭を撫でる。


「セレナード様、いつかまた、貴女の歌声を聞けることを楽しみにしてます」


 クデルの言葉にセレナードは唇を引き結んで深く頷いた。



 クデル達を見送り、私は横に残ったルデルを見る。


「ルデル、残ってくれたけど、クデルと一緒じゃなくていいの?」

「あー、まぁ。一緒にいたかったっすけど」

「折角推しとの人生がやってきたのに捨てていいの!?」

「おう!すんげー迷ったよ!クデルと一緒に暮らしたかった!ルーはついていてもエレオスの奴ばっかりクデルを堪能するんだと思うと今すぐ追いかけたい!!」


 わざわざ膝をついて地面を拳で叩いてくれたのでどれだけ悔しいのかはよくわかる。それなのに何故ここに残ると決めてくれたのだろう。

 私が首をひねっていると、立ち上がったルデルが私の頭に手を乗せてぐしゃぐしゃと撫でてきた。ちょっと、その手さっきまで地面を叩いてた手だよね?砂つくからやめて。


「まぁ、クデルと相談してな。お前らに恩があるし、俺がここに残って手伝いが出来たらいいなと思って。それに転生仲間ともう少し一緒にいたいっす」


 ルデルの言葉に呆れた笑顔で返してやる。別に何もしてないんだから、気にしなくてもいいのに。

 髪についたかもしれない砂を払ってから私はプレニルに続く橋に背を向けた。目の前に続くのはノヴィルに続く橋だ。


「さて、次の準備を始めようかな」


 それは、ナハティガル君からもらったミーティア様からの手紙の内容が関係する。

 手紙の内容は簡単なものだった。あの後のセレナードの状態を心配するもので始まり、そしてノヴィルに遊びに来ないかと誘うものだった。

 友人として仲良くしたいミーティア様からのお誘いは凄く嬉しいものだ。手紙を掲げて走り出したいぐらいに嬉しい物だった。

 ただ、私がノヴィルに行くという事は、またナハティガル君と離れてしまう事になる事で枕を濡らす三日間を過ごした。離れたくない。けれどミーティア様に会いにも行きたい。できるならナハティガル君と一緒に行きたいけれどナハティガル君は教皇様なので簡単にメガニアから出てもらうわけにはいかない。こんなところでナハティガル君が教皇になった事に問題が起きるなんて思わなかった。

 また帰って来たらナハティガル君と一週間仕事せずに過ごすと約束して私はノヴィルに行くことになった。

 そして


「俺もノヴィルに行く。……いや、帰る」


 クデル達を見送った後、ナハティガル君、私、フォルモさん、ルデル、アンちゃん、セレナードとシムコムが揃った会議でアンちゃんがそう言った。

 驚いた様子を見せるフォルモさんにアンちゃんは目線を向ける。


「フォルモさん、今まで黙っていて悪かったけれど、俺の本名はアンブラなんだ。フォルモさんは俺を探していたんだよな」

「……あぁ。ミーティア様からの依頼でな」

「俺はノヴィルにいる隊長の下で育てられた暗殺者だ。フォルモさん達軍隊の人には気づかれないように軍部の方で過ごしていた。本当は育ての親の隊長からの依頼と、俺の敵討ちの為にプレニルに行くのが目的だったが、依頼も敵討ちも不要と判断してこうして戻って来た。その旨を伝える為にも一度ノヴィルに帰りたい」

「噂では聞いた事がありました。隊長が暗殺者を一人育てていると」


 そう言ったのはシムコムだ。フォルモさんは少し考えてから口を開く。


「その隊長というのは」

「ダフォディル隊長です」

「ダフォディルかぁ」


 フォルモさんは思う所があるのか、頭を抱えて俯く。何がなんだかわからないので私は知っていそうなシムコムを見ると、シムコムは頷いて教えてくれる。


「ダフォディル隊長はフォルモ隊長と並ぶ程の実力がある方です。ですが、ダフォディル隊長はかなり厳しい方で、フォルモ隊長は我々を仲間として見てくれる方ですが、ダフォディル隊長は我々を駒として扱う方でした。実力はあれど人望はそれ程厚くは無く、フォルモ隊長を追って我々がメガニアにやってきたことでわかって頂けるでしょうか」


 確かに見せてもらった移住者リストにかなりの数の警備兵候補が増えていた。それだけフォルモさんが尊敬されている人だと思っていたけれど、あちらの上司が酷いからやって来たと言う人もそれなりにいるのだろう。仕事の業務内容と同じくらい人間関係は大切だ。嫌な上司の下に就くなんて私も嫌だし。


「アンちゃんは酷い事されてないの?」

「とりあえずはされていない。俺を拾ってくれたのもダフォディル隊長だったし、確かに厳しい人で制限は多かったが、技術を学ばせてくれたしそこまで憎んではいないな」

「そうなんだ。でも依頼が出来てないってなれば怒られるんじゃない?」

「覚悟の上だから大丈夫。ついでにノヴィルじゃなくてメガニアに住む事もちゃんと伝える。今まで隠れてたけれど、しっかりけじめ付けないといけないだろうしな」


 逃げ隠れるのも大変だろうからアンちゃんにとってはそれが良いのかもしれない。でもダフォディルの評判をこうして聞いてると少し心配だなぁ。フォルモさんも複雑そうに顔をしかめてアンちゃんを見て動かないし、ダフォディルはなかなかの曲者なのかもしれない。変に憎まれて命狙われるなんてことが無ければいいな。下手したらナハティガル君にも影響あるかもしれないし。


「じゃあノヴィルには俺もついて行くっすよ」


 そう言って手を挙げたのはルデルだった。


「聞いている感じ、アンとメガネは別行動をしなきゃ行けなくなりそうっすし、メガネに護衛は必要ですよね?」

「ルデルの武術はプレニルの犬の一人に鍛えられていたから十分な戦力だよ。私が保証する」


 ルデルが戦えるのかと視線を向けてきたナハティガル君とフォルモさんに私がフォローを入れる。ナハティガル君は私の言葉を信じてくれたのかほっと息を吐き出して頷いてくれた。


「では、メガネ様、アン、ルデルでノヴィルの方に先に文を送っておきます。あちらから連絡があるまでに準備をお願いします」


 ナハティガル君の言葉に私達は頷いた。

 次に行くのはノヴィル。どんな国かは詳しくわからないけれど、そしてナハティガル君と離れるのが凄く寂しいけれど、楽しみな気持ちも大きいのだ。

今年の更新はこれで最後になります。


今年はメガネの更新を頻度多めに頑張ると目標を立て、目標通りにできた年になりました。

たくさんの閲覧、評価ありがとうございました。

来年は完結まではいかなくてもノヴィル編の完結を目指していきますので、来年もよろしくお願いします。

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