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3話
魔王との戦いに敗れた僕は前回のセーブポイント、魔王の城の前に居た。
「あーあ、負けちゃったな、勝てると思ったんだけどなあ。」
ところでシェリー達はどこに行ったんだろう。僕より先に目が覚めたのだろうか。
すると森の方から声が聞こえた。
「おい見ろよ、魔王の城にゴブリンがいるぞ」
「なんで初期モンスターがいるんだ?もしかしたらレアモンスターかもしれん」
「倒したら何かもらえるかも!」
そう言うと3人組の若い勇者達は慣れた手つきで剣を抜きこちらへ走ってきた。
僕は周りを見渡す。
いや、ここにゴブリンなんているわけねーだろ!!
…もしかしてこいつら、負け犬の俺をゴブリンて呼んだのか…
明らかにこちらへ向かってくる勇者達を見て、それを確信した。
こいつら、ぜってぇぶっ殺す!!!
「どっちがゴブリンだごらぁ!!!!」
僕は叫びながら腰に手を回し剣を抜こうとした
が、剣はなかった。
あれ……
そして腰を見ると僕の体は薄汚い緑色だった。
あれ……
すみません。僕がゴブリンでした。
ぬおおおおおおお!!!!!
僕は勇者達に背を向け全力で魔王の城の中へと逃げて行った。