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平民である俺が王女のお世話係になったのは  作者: レモンチャンネル
7/17

夏なのにウィルは肌寒さを感じた。


「レトとラトの身を心配して、アリエノール様が狩りをしていたのですか」

アリエノールはうなずいた。

「通常ならば警戒心の強い青オオカミはムーア山脈の深い森の中から出てくることはない。生きた青オオカミに出合えること自体奇跡なんだ。ムーア山脈で何か異変が起きているのかもしれない」

「王様や王妃様はこの“粉”が出回っている事はご存じなのですか?」

「たぶんな…。レトとラトを飼いたいと言ったとき、すんなりゆるしてくれたし…。他にもなにか知っているのかもしれない」

「あの、この庭園は山と地続きになってますが青オオカミが何者かに襲われることはないのでしょうか?」

「心配ない。目には見えないだろうがここには強力な結界が張ってある。邪な気を放つ者は入ってこれない」

「結界!気がつきませんでした。いったい誰が?」

「お母様だ」

「王妃様が…? なぜそのような力があるのですか?」

結界を張れるのは、力のある高名な魔術師だけのはず。

「おまえはルリ族という名前を聞いたことがあるか?」

ウィルは首を振った。

「お母様はここから遠く離れたムーア山脈奥地の国に住む、ルリ族王家の末裔だ。ルリ族の者は月の女神から授かったという不思議な力があるんだ。結界をはることができるのもその力の一部だ」

「それは初耳です」

「お母様の出自を知っているのは王宮内でもごく一部の者だけだ」

そこへ青オオカミが近づいてきた。幼犬とわかっていても大型犬なみの大きさがあるせいで、ウィルはビクビクしてしまう。でも最近ずっと餌をとってきてくれる人間を覚えたのか、二匹はウィルに対してあからさまな敵意を見せなくなっていた。

「キュンキュン」という甘え声を出しアリエノールの顔や手をベロベロとなめ出す。ぎゅっとレトの体を抱きしめながら「お腹が空いたのか。ちょっと待っててもらえるか。うっゎ、レト髪の毛までなめるなよ。ベトベトだ」

「ウィル、話の続きはお母様にしてもらうといい。私も聞きたいことがあるし、さあ行こう」


でも、その日の狩りはいつもと違った。

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