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第68話 天才ブルーノ

「聞いてくれる気になってきたようだね。嬉しいよ。実はある魔物を討伐して欲しいんだ」

「魔物?」

「この研究室は王都から北の雪が降る街フリエルドにあるんだ」


 フリエルド……確か数年前に魔物に襲われ、かなりの被害を受けた街だったな。

 厳しい気候のうえ付近に住む魔物は凶暴なものばかり。

 あまり復興が進んでいないと聞いている。

 冒険者ギルドは存在せず、自警団が街を守っているようだ。


「付近にはBランク程度の凶暴な魔物が住んでいるのだけど、氷竜というAランクの魔物が現れて度々街を襲うんだ。今いる人達では対処出来ない。だから君達に退治してほしい訳だ」


 氷竜。

 Aランクの魔物か……。

 竜種族の魔物はどれも能力が高い。

 戦ったことは無いが、知能も高く、一筋縄ではいかない強敵だ。


「……かなりの強敵じゃないですか」

「だからNo.7よりも強い人達を募集していたんだ。そこで君に目をつけた」

「少し厳しいかもしれません……。Aランク、それに竜となれば俺達でも勝てるかどうか……」


 弱気になっていたとき、


「アレンさん! 倒しましょう! 私たちならきっと出来るはずです!」


 クラリスがすごいやる気になっていた。

 ……俺だって出来ることなら倒してあげたい。


「レナとシャルはどうだ?」

「んーまあいいんじゃない? 今までなんとかなってきた訳だし」

「私は倒すべきだと思う」


 みんなやる気だ。

 それなら俺も断る理由がない。

 そろそろAランクを狩る頃合いだ。

 ここでつまずくなら、それだけの器だったと割り切ろう。



「と、いう感じです。その依頼引き受けますよ」

「ありがとう。助かるよ。もちろん僕も精一杯サポートさせてもらうね」

「え、いいんですか?」

「当たり前さ。君達が僕を信頼してくれたように僕も君達を信頼している。だから出来る限りのことをさせてもらうよ」

「ありがとうございます!」

「礼を言うのはこっちの方だよ。お互い頑張ろう」




 この日は、ダンジョンでの疲れもあり、ここらで解散となった。




 ◇



 翌日、俺たちは再びブルーノのバーに向かった。


「やあ待っていたよ」


 ドアの前には昨日と変わらず『CLOSED』と書かれた看板があった。


「この店、大丈夫なんですか?」

「ああ。もともとフリエルドから王都への移動の手間を省くために店を開いているんだ。かなり不定期だけど、店を開いているよ」

「お客さんとか来るんですか?」

「全然いないけど、たまに来てくれるよ」

「アレン、ブルーノさんはきっと趣味でやっているんだよ」


 レナが言った。


「趣味……まぁそうだね。僕はお酒を飲むのが好きだから、飲みたいときに店を開いているね」

「飲みながら接客してるってことですか?」

「そうだね。でも大丈夫。接客用にNo.4がいるから」

「……なるほど」


 この人、もしかするとめちゃくちゃな人なのかもしれない。

 ……てか、テレサの上位互換なのではないだろうか。

 そう思ったけど、テレサの発明品が記憶に強く残っているだけで彼女の本業は錬金術だったことを思い出して内なる自分の発言を撤回した。





「さて、サポートさせてもらうと言ったけど具体的に何をしてあげられるか話そう」


 そう言って、ブルーノはある機械を取り出した。

 腕輪のようなものに見える。


「なんですか? これ」

「これは取得経験値を2倍にする魔導具だよ」

「……はい?」


 間抜けた声が出た。


「ブルーノさん……それってとんでもないものじゃないですか?」


 クラリスも目を丸くさせながら言った。

 貴族のクラリスがとんでもないものと言うんだ。

 貴族でもお目にかかれない効果を持った魔導具なのだろう。


「そうだね。作ったの僕ぐらいじゃないかな?」

「そんなサラッと凄いこと言わないでくださいよ」


 思わずつっこんでしまった。


「それが出来るなら自分を強くすることは出来なかったんですか?」


 レナが言った。


「無論試してみたよ。でも無理だったね。適材適所さ。僕に戦いは向いていなかったってことだよ」


 ブルーノは笑いながら少し悲しそうに言った。


「触れない方が良かったことでしたかね……?」

「大丈夫だよ。過ぎたことさ。さて、本題に戻そう。今日から君達にしてあげられるのはレベリングのお手伝いだ。この腕輪以外にも周囲にいる魔物の居場所を教えることが出来る魔導具がある」


「え、そんなことまで出来るんですか?」


「ああ、氷竜の居場所を確認しておくために作ったが、考えてみれば色々なことに役立ちそうでね。つい改良したものを作ってしまったよ」


 ハハハ、と笑いながらブルーノは言った。

 すごく軽い動機で作ってるな、この人。


「それだけの魔導具があれば、レベリングも捗りますね!」


 クラリスが元気そうに言った。


「魔物の奇襲も避けることが出来そう」


 シャルは別の観点から感想を述べた。


「確かに、そういった使い方も出来るな……」

「うん。使い方も簡単だし、習うより慣れろって感じで早速使ってみて」



 生息する魔物はBランクがメイン。

 戦闘は少し苦戦が強いられるだろう。


 だが、ブルーノが渡してくれた魔導具を使えばかなり楽に戦うことが出来るはずだ。


 レベルも中々上がりづらくなってきたところだ。

 これはかなり嬉しい。

 Bランクの魔物を吸収できるのも有り難い。




 さて、この機会を存分に活かして強くなるとしよう。



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[気になる点] 「ここでつまずくなら、それだけの器だったと割り切ろう。」 躓くって、死んでしまうことなのに淡々としていますね。パーティのリーダーとしては、仲間の命についてもっと配慮して欲しいと思いまし…
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