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第60話 新しいパーティメンバー

 おぉ……まさか、パーティに入れて欲しいと頼まれるとは……。

 今日は一体何回驚けばいいのだろうか。


「クラリスは学園に通っていなかったか? それはどうするんだ?」

「はい。今週末に卒業試験があるので、それさえ待って頂ければ……」


 今週末って言ったら2日後か。

 貴族が通う学園なだけあって、優秀な生徒が多いと聞く。

 その中で飛び級するのは容易じゃないだろう。

 凄いなクラリス。

 優秀で人柄も良い。

 しかし何か裏がある可能性も否定出来ないな。

 クラリスの家名はブラッドベリーだったけか?

 美味しそうだな。……じゃなくて。

 ブラッドベリー家の爵位はどれくらいになるのだろうか。

 結構上の位な気がする。

 じゃあ対策なんて仕様がないな。


「それなら何も問題は無いが、レナとシャルはどうだ?」

「そんなの決まってるじゃん! 入って欲しくないわけないよ!」

「クラリスは良い人だから是非パーティに入って欲しい」

「そういうことらしい。俺もクラリスなら大歓迎だ」


 元護衛は勘弁願うが。


「……良い友達を持ったな」


 ルドルフは再びハンカチを取り出して、熱くなっているであろう目頭を押さえた。

 もしかして、いやもしかしなくても、この人親バカだわ……。

 だからこそ、クラリスが冒険者になることを許してくれたのかもしれない。

 貴族が冒険者になるケースは少ないからな。

 ルドルフは子供の良き理解者であり、良き父親だ。


「ほ、本当に良いのですか? 自分で言うのも何ですが、私少し世間知らずなところとかありますよ?」

「大丈夫だよ。シャルもそういうところあるし」

「……そんなことない」


 シャルは微かに頬を膨らませた。


「あ、ああ。そうだな」

「アレン、声を震わせないで」

「すまん」


 少し不機嫌にさせてしまったのではないかと不安に思った俺は素直に頭を下げた。


「ま、そんなわけで丁度パーティの人数も一人空いてるし、クラリスさえ良かったら仲間になってくれ」

「……はい、よろしくお願いします!」


 意気揚々とした笑顔でクラリスは元気にお辞儀をした。

 ルドルフは立ち上がり、歩き出した。


「クラリスをよろしく頼むよ。アレン君」


 去り際に肩をポンっと叩かれた。

 肩に置かれた手から物凄いプレッシャーを感じた。

 クラリスに何かあったら俺は死ぬことになるかもしれない。


「はい。こちらこそよろしくお願いします」

「うんうん。じゃあ僕はこれで失礼するよ。ゆっくりしていくといい」


 そう言い残してルドルフは去っていった。 

 あの人怖いな。

 何があってもクラリスは守ろう。

 その後は、すぐにクラリス邸から帰るのも勿体ない気がしたので、紅茶をご馳走してもらった。

 前行った喫茶店の奴より高級なものだったよ。

 さすがだな。

 クラリスが新しく加入したという事で、今後どうするか話し合うことになった。


「とりあえずクラリスは今週末の卒業試験に集中するって感じだよな?」

「そうですね。試験に無事合格してから冒険者として

 活動していきたいです」

「もうすぐだけど勉強とかしなくて大丈夫なの?」


 レナが心配そうにしている。

 俺も誘拐の件や今日集まったりと試験の対策があまり出来ていないのではないかと危惧していたところだ。


「卒業試験は筆記試験と実力試験なので大丈夫です。なにせ今までのほとんどが満点ですから」


 クラリスは可愛らしいドヤ顔をした。


「くぅ〜、今になって優秀アピールをしてくるとは! 許せない!」

「レナ、嫉妬はよくない」


 我がパーティの無能担当のレナがクラリスのスペックに嫉妬していた。

 てか無能担当って。

 かわいそうな担当だな。

 レナは優秀だよ?

 回復魔法で何度もピンチを救ってくれてるし、命の恩人だし。

 でもキャラがいけないよね。


「嫉妬じゃないよ! ツッコミだから!」


 ツッコミ担当だったか。


「そんなことより今後のことを話し合おうか」

「そんなことって言うな!」


 おお、ナイスツッコミ担当。


「とりあえず、パーティが4人揃ったことだし、パーティ名とかつけたいよね」


 ツッコミを入れた後にちゃんとした意見を言うな。

 しかし、パーティの名前をつけるのは大事だ。

 つけることで皆に知られやすくなる。ということはパーティの評判が上がりやすくなるわけだ。

 パーティの上限人数は4人。

 この機会にパーティ名をつけてもいいな。

 3人のときに決めてしまっても良かったのだが、一回も話題にならなかった、というかそんな事忘れていた。

 俺たちより冒険者として活動が長いレナだからこそ気付けたことだろう。


「パーティ名……カッコイイのがいい」

「箔がつくような名前がいいですね」

「難しいけど、それを満たしたパーティ名を考えたいよな」


 パーティ名を考える一同。


「他の冒険者達はどんなパーティ名をしているんだ?」


 先輩冒険者のレナに聞いてみる。


「あんまり覚えてないなぁ。フォルトリアにいたサンタ達のパーティは《猛獣の咆哮》とかだったかな」


 割とカッコいいじゃねーか……。


「でも、あんまりそのパーティ名聞かなかったな」

「そうだね。あそこはサンタだけが有名って感じだったから。何気にいい奴らしいよサンタって」

「あー、まぁ分からんでもない」


 ちゃんと俺に謝ってくれたし、リーダーシップもあるような気がする。


「他に何かないか?」

「んー、ふざけたパーティ名とかだと《レロレロレロ》ってのがあった気がする。バカップルのパーティだと《愛の巣窟》とかつけてたかも」

「カッコよくない」

「私達はちゃんとした名前をつけましょう!」


 シャルとクラリスは、ちゃんとしたパーティ名をご所望のようだ。

 まぁ俺もだが。


 パーティ名はこの場で決まることなく、クラリスの卒業試験が終わるまでに名前案を考えておこう、ということで終いになった。

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