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第41話 テイマーはアスモネラを吸収する

 渓谷の奥へ進んで行くと、大きな滝が見えた。



「わー! 滝なんて初めて見たよ!」

「……綺麗」



 鮮やかな新緑に囲まれた場所で、水流の白色が際立っている。

 そして、凄く大きな水流音が周囲にこだましている。

 そんな美しい景色に思わず息を呑んだ。



「もう少し近くで見てみるか」

「いいね! そうしようよ」



 シャルもコクリと頷いた。



 近くで見る滝は圧巻の一言に尽きた。

 霧のような水しぶきを浴びながら、俺たちは滝を眺めていた。

 しかし、ここが危険な場所であることを忘れてはいけない。



 静かに這い寄るモンスターの気配を俺は察知した。



「シャル、レナ、モンスターだ」



 背後に振り返ると、木々の間に白い糸を張り巡らせて移動する大きな蜘蛛がいた。

 間違いない、アスモネラだ。


 自分の存在が気づかれた事を理解したアスモネラは木々の間に張られた糸にぶら下がった。


 ――鑑定



 ――――――――――――――――――――――――

 種族:アスモネラ族

 名前:アスモネラ

 レベル:42

 HP:9000

 MP:12000

 攻撃:4500

 防御:5000

 魔力:10000

 敏捷;7000


 《種族スキル》

【製糸:レベル4】


 《魔法》

【闇魔法:レベル5】

【ポイズン:レベル5】

【魔力操作:レベル4】

 ――――――――――――――――――――――――



 魔法を使うのか。

 トレントといい、Cランクのモンスターは魔法を使える奴が多いのか?


 ステータスや攻撃スキルがないところを見ると、魔法を多用するのだろう。



「シャル、アスモネラは魔法を使ってくる。注意を怠るな」

「大丈夫」



 そう言って、シャルはアスモネラに向かって突っ込んでいった。

 急速に迫り来るシャルにアスモネラはお尻から糸を放った。

 拘束する事を目的とされているのか、放たれた糸はネットのような形状をしていた。


 だが、シャルはそれを見切っていた。

 左右ジグザグに動き、見事に放たれた糸を躱す。


 糸を躱したシャルは、アスモネラと目前の距離だ。

 剣を振るえば、攻撃が当たる距離。


 そして、シャルが剣を振るおうとしたその時、アスモネラの瞳が赤く光った。

 突如としてシャルの周囲に暗闇が発生し、呑み込まれてしまった。



「シャル!」



 シャルの耐久力は低く、一発でも攻撃を受けてしまえば、重傷を負うだろう。

 最悪の事態を想像して、急いで助けに向かおうとするが……





 ――《攻撃スキル》【剣舞】







 シャルは暗闇を斬り裂き、そのまま踊るようにアスモネラを一刀両断した。



 ……驚いた。

 魔法を斬り裂くなんて、普通ではあり得ない。

 魔法は物体ではない……だから普通の剣では斬ることが出来ないのだ。

 これはシャルが魔剣士だから出来る芸当なのだろう。




「シャル、大丈夫か?」

「うん、大丈夫」

「よかった……」



 ホッと胸をなで下ろす。



「だが、策もなく敵に突っ込むのは良くない。シャルは一度でも攻撃を喰らったら終わりなんだ。慎重に行動して欲しい」

「ごめんなさい。次からは気をつける」

「分かってくれればそれで良いよ。無事で何よりだ」

「でも、凄かったねさっきのやつ。あれってスキルなの?」



 シャルの攻撃スキルである剣舞の事を指しているのだろう。

 剣舞は、攻撃と防御どちらにも使える使い勝手の良いスキルだ。



「うん。剣舞っていうスキル」

「名前カッコイイね、私もあんな感じに攻撃してみたいもんだよ」



 なんだろう、レナがそう言うと凄く嘘っぽく感じる。




 ……そういえば、モンスターを吸収するかどうか聞かれなくなったんだっけ。

 アスモネラが吸収出来たかどうか、確認するためにステータスを開いてみる。



 ――――――――――――――――――――――――

 種族:人間

 名前:アレン=ラングフォード

 性別:男

 年齢:16歳

 職業:テイマー

 レベル:33

 HP:24560

 MP:16230

 攻撃:19840

 防御:16890

 魔力:14320

 敏捷:17870


 《恩恵》

【獲得経験値上昇(小)】


 《耐性》

【痛覚耐性(小)】

【物理攻撃軽減】

【魔法攻撃軽減】

【状態異常軽減】


 《職業スキル》

【テイム:レベル2】

【鑑定(ステータス限定):レベル2】


 《種族スキル》

【製糸:レベル4】


 《攻撃スキル》

【ウッドランス:レベル4】

【ドレイン:レベル4】

【ショルダータックル:レベル3】

【突進:レベル2】

【噛みつき:レベル2】


 《防御スキル》

【ウッドシールド:レベル4】


 《強化スキル》

【身体強化:レベル2】


 《通常スキル》

【棒術:レベル1】

【剣術:レベル3】

【斧術:レベル1】

【槍術:レベル1】

【疾走:レベル2】


 《魔法》

【闇魔法:レベル5】

【ポイズン:レベル5】

【魔力操作:レベル4】

【スリープ:レベル2】

【パラライズ:レベル2】


 《ユニークスキル》

【吸収:レベル1(MAX)】

【自己再生:レベル1(MAX)】

【意識共有:レベル1(MAX)】

 ――――――――――――――――――――――――



 吸収出来ていたようだ。

 ステータスも順調に上がっている。

 ……てか、種族スキルまで吸収されちまうのか!

 どうやら俺は糸を作り出せるようになってしまったらしい。

 だが、本当に出せるのか試してみたい。



「なぁ、今から糸を出してみてもいいか?」

「……?」

「……はぁ?」



 二人は、変な人を見るような目でこちらを見ている。

 いきなりこんな事を言われたら、そんな反応になるか。

 経緯を説明した方が良かったな。




 ……かくかくしかじか




 二人にアスモネラを吸収出来たので、種族スキル【製糸】を入手出来たことを伝えた。



「へー、アレン人間辞めちゃったね」

「……俺も少し思った」


 少し凹む。


「糸見てみたい」

「うん、私もどんな風に出てくるか見てみたいな」

「よし、じゃあ出してみるか」



 ――《種族スキル》【製糸】



 スキルを使用すると、糸が何もないところから現れて、ボトッと地面に落ちた。

 アスモネラのように体内から出すのではなく、魔法のような感じで出せるのか。



「なんか地味だね」

「うん」

「……だよな」



 アスモネラみたいに糸を飛ばしたり出来ないのかな?

 もしかすると、出すことに意識を集中させていたから、こんな結果になったのかもしれない。

 今度は、糸を飛ばすようなイメージでスキルを使ってみる。



 ――《種族スキル》【製糸】



 予想は的中し、糸が現れるとすぐに真っ直ぐ飛んで行った。



「「おおーーー!!」」



 俺とレナは歓喜の声をあげた。



 これは凄い。

 こんな使い方が出来たら色々と活用出来るんじゃないか?

 そう思うと、少しワクワクした。

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