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第37話 テイマーは渓谷へ向かう

 闘技場にやってきた。

 今日から3日間、武術祭のエントリー期間が始まるため、闘技場には多くの人が集まっている。

 冒険者のような恰好をしている人が多いように思える。

 それ以外は、傭兵だったりとか戦闘職の人たちだろう。

 さすがに武術祭に参加するのは戦闘職だけなんじゃないかな。


 いくつも受付があり、既にどの受付の前にも列が出来てしまっている。

 だが、受付が多く設けられているため列はそれほど長くはない。


 レナは、エントリーするわけではないので、闘技場の前にある広場で待っていると言って去っていった。


「並ぶか」

「うん」


 俺とシャルは、そう一言会話を交わして同じ列に並んだ。


 エントリーにかかる時間が短く、思っていた以上に早く列が進んでいく。

 受付には、エントリー用紙というものがあり、それに自分の情報を記入する。

 冒険者登録をしたときと同じようなことを記入し、これで武術祭にエントリー出来たことになる。


 シャルも無事に終わったようで、広場で待つレナのもとへ向かう。


 広場で待っていたレナは、看板をかかげてベンチに座っていた。

 看板には、≪Cランクパーティ、探索スキル持ちのメンバーを募集中≫と、書かれていた。


 武術祭のエントリーを済ませた冒険者が大勢いるため、ここで勧誘するのは良い作戦かもしれない。

 だが、看板を持つ肝心のレナが眠そうにベンチに座っている。

 コイツ、やる気があるのか、無いのか、どっちなんだ。


「レナ、エントリー終わったぞ」

「ん? あぁ、エントリー早く終わったね」


 眠そうにこっちを見るレナ。


「それで、その看板はどうしたんだ?」

「昨日作ったんだよ、これ。偉いでしょ」


 得意げに話すレナ。しかし、その表情は眠そうだった。


「もしかして、寝ずにこれを作ったのか?」


 俺はレナの持つ看板を指さす。


「いや、寝たよ。今は暇だから眠くなってただけだよ」

「……勧誘する気あるのか、それ」

「もちろん!」

「ま、看板作ってくれたのは素直に嬉しいよ。ありがとう」

「はは、もっと褒めるがいい! 何なら今日の食事をおごるがいい!」

「それは却下だ」


 最近は少し金銭面に余裕が出てきたが、それでも貧乏なのに変わりはないのだ。


「とりあえず、レナがせっかく看板を作ってくれたんだし、もう少しここでパーティメンバーを勧誘してみるか」


 1時間粘ったが、冒険者が声をかけてくることはなかった。

 エントリーのピークは過ぎたのか、広場にいる冒険者の数も少なくなってきた。

 ここらでやめておくか。

 さすがに今日からはモンスターを狩りに行かなければならない。

 いつまでもダンジョンに固執していては、元も子もないだろう。


「そろそろ切り上げるか」

「えー、もう少し頑張ってみようよ。せっかく看板作ったのに」

「それは申し訳ないが、いつまで経ってもこんなことをしてるぐらいならヴァスノス周辺の狩場に向かった方が武術祭までに強くなれる」

「まぁ確かにね」


 完全に納得していないようだが、理解はしてくれたようだ。


「それでどこ行くの」


 ベンチでぼーっと座っていたシャルが立ち上がった。


「レアンダ渓谷とかいいんじゃないか。Dランク~Bランクのモンスターが出るようだ」

「うん賛成」

「私も異論なしだね。どうせ戦わないし」

「よし、じゃあ行こうか」


 ヴァスノスからレアンダ渓谷への道のりは少し長い。

 歩いていくとなると、日が暮れてしまう。

 そこで、ヴァスノスの冒険者ギルドは冒険者をヴァスノス渓谷へ送るため少しお金はかかるが、馬車での送迎サービスを行っているようだ。

 これは、以前冒険者ギルドに訪れたときに知った情報だ。


 厩舎で馬車に乗せてもらい、俺達はレアンダ渓谷にやってきた。


 渓谷というだけあり、山に囲まれた場所だ。

 川が流れていて、先日起こったダンジョンでの出来事を思い出した。


 ……テイムモンスター達を外に出してやれたのは良かったな。

 うん、本当に。


 と、早速モンスターが現れた。

 白い毛並みをした4匹のウルフがこちらに向かってやってくる。


 ――鑑定


 種族:ウルフ族

 名前:シルバーウルフ

 レベル:25

 HP:1200

 MP:1000

 攻撃:1200

 防御:900

 魔力:700

 敏捷:1400


 《攻撃スキル》

【噛みつき:レベル3】


 《通常スキル》

【疾走:レベル4】


 ウルフより強く、ウィンドウルフよりは弱い。

 ステータスの値はホブゴブリンと同じぐらいか。

 間違いなくDランクのモンスターだな。


 まぁ、この程度のモンスターなら相手にならないな。

 平然とした立ち振る舞いで、俺とシャルは2匹ずつシルバーウルフを斬った。


 そういえば、ゲブランに貰った剣を初めて使ってみたことになるのか。

 ウィンドウルフと戦ったときは、攻撃を受け止めただけだったし。


「良い切れ味だな」


 つい満足げに呟いてしまった。


「あらまー、二人共凄い勢いで強くなってますねー」


 後ろの方で身を隠していたレナがひょっこりと出てきた。

 そして、レナが続ける。


「この調子でいけば武術祭も良いところいけるんじゃない?」

「どうだろうな。今日エントリーしていた人たちの中で強そうな人はたくさんいたからなぁ……何とも言えないところだ」

「ふーん、じゃあ頑張ってモンスター倒さないとね」

「もちろんだ。よし、奥に進んで今日はどんどんモンスターを倒していこう」


 俺達は渓谷の奥へ、足を踏み入れて行った。

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