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第17話 テイマーVSトレント ①

 相手となるトレントは5体。


 俺たちの存在は気付かれていないため奇襲をかけることが出来る。

 最初の攻撃で確実に1体は仕留めておきたいところだ。

 そこで俺の考えた作戦を二人に伝える。



「まずシャルと俺がトレントの隙をついて攻撃を仕掛ける。二人で一体ずつ倒せれば最高だが、俺は無理だろうな。そう考えると、残りのトレントは4体。俺が仕留め損なえば、トレントに一番の有効打を与えられるのはシャルだ。シャルはトレントに攻撃を仕掛け続けてくれ。俺は援護に回る。レナは身を隠しながら俺たちの回復を頼む。一応ヘイトが向かないようにトレントに攻撃を仕掛けた後、俺のテイムモンスターを召喚しておく」



 俺の作戦を聞いたシャルは首を縦に振り、理解したという合図を送ってくれた。

 レナは俺の作戦が思いの外しっかりしていたのが意外だったのか、「へぇ〜」と声を漏らした。

 その後に、



「でも奇襲を掛けた後は適当なんだね」



 と、愚痴をこぼした。



「適当じゃない。臨機応変に行動しろって事だ」

「一緒じゃん」

「一緒じゃない最善を尽くせって事だよ――ってこんな無駄話してる場合じゃないな。作戦を理解したならとっとと行くぞ」

「はーい」



 レナの口振り的に作戦を理解しているようだ。

 トレントに攻撃を仕掛ける時は、出来るだけ素早く斬撃を与えたい。

 レナのスピードに合わせていては、トレントに気付かれる可能性がある。



「シャル、準備はいいか?」

「うん。大丈夫」

「――よし、行くぞ」



 ――魔剣作成

 ――身体強化



 俺とシャルは、トレント目掛けて一気に駆け出した。

 瞬く間にトレント達に近づき、完全に背後を取った。

 剣を縦に振り、斬撃を与える。




「「GOAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」」




 シャルの剣は、トレントを綺麗に斬り裂いた。

 斬り裂かれたトレントは叫び声をあげながら、粒子となり、消えていく。




 一方、俺の方は斬撃によるダメージで叫び声をあげるものの消える事はなかった。




「――やはり一撃じゃ無理か」




 ――テイムモンスターを召喚




 ステップで後ろに下がり、トレントから距離を取ってからモンスターを召喚した。

 召喚するモンスターは敏捷の高いウルフ5体。

 召喚されたウルフに作戦を意思共有で迅速に伝える。



『5体はトレント達のヘイトがレナに向かないように上手く気を引いていくれ』



『『『『『了解』』』』』



 5体のウルフは返事をすると、バラバラに各方向へ走り出した。




 シャルはトレント1体を倒した後にその勢いで俺が攻撃したトレントに斬りかかっていた。



 ――ウッドシールド



 トレントは、自らに生えている大きく太い木の枝を巧みに動かし、シャルの斬撃を防いだ。

 枝は斬れる様子は一切なく、キンっと高い金属音があがる。



 あれがウッドシールドか。

 俺も一度斬撃を与えたが、トレントがあそこまで硬いとは思えない。





「お、お前あのときのテイマーじゃねぇか!何しに来やがった!」



 腕から血を流しながら片膝をついているサンタが俺の存在に気づいたようだ。



「よう、また会ったな。悲鳴が聞こえたから助けに来てやったぜ」

「うるせえ!俺はお前みたいな不遇職の助けなんか求めちゃいねえよ!」

「お前なぁ……他の二人は――気絶しているのか」



 どうやらトレント5体を相手にサンタは一人で耐えていたようだ。もしくは、サンタが仲間に守られた結果こうなっているのか。事情はよく分からないが、怪我だらけの体を見れば仲間を守ろうとしてた事ぐらいは分かる。



「お前の余計なお世話のせいで俺は凄い惨めな気持ちだ。とっとと失せろ!」



 なんだ?

 俺達の事を庇っているのか?

 ……いや、こいつに限ってそんなことはないな。



「ほぉ。今、お前は惨めな気持ちなのか。なら俺はお前を助ける。これは俺をバカにしたお前への仕返しだ。惨めな気持ちになってろバーカ」



 俺は憎たらしい言い方でそう言った。



「相手はCランクのモンスターだ。お前みたいな不遇職なんかに勝てる訳ねえ」



 そうだな。そうかもしれない。

 今の俺にステータスはトレントに届いていない。

 劣っているさ。

 正直、シャルだけがトレントとまともに戦えるだろう。

 だけど、俺には勝算がある。



「――じゃあ、トレント5体を俺たちが倒したら、もう俺のことを不遇職なんか言うんじゃねえぞ」



 それで会話を終わらせる。

 サンタは俺に向かって何か言っているが、無視する。

 トレントに全集中を向ける。





 シャルは斬撃を弾かれた後、何度も攻撃を仕掛けていた。

 攻撃を仕掛けるたびにシャルの剣は、トレントのウッドシールドによって弾かれてしまう。



「シャル!一旦仕切り直しだ!真っ正面からまともに戦っていたら今の実力じゃ攻撃は通らない」



「分かった」



 シャルは素直に俺の言うことを聞き、バックステップをして距離を取る。



 トレントのウッドシールドを破るには、ウッドシールドを使えない状況を作り出すしかない。



 しかし、それも中々難しそうだ。



 シャルが下がり、距離を取ったところに2体のトレントが詰め寄る。

 トレントの敏捷は4000と決して低くない。

 すぐに距離を詰めて、シャルに攻撃を仕掛ける。



 ――ウッドランス



 2体のトレントの木の枝の先端が細く鋭利に変形し、それをシャルに向かって突き刺す。

 それをシャルは直前に避ける。

 トレントの木の枝は地面に突き刺さり、その上にシャルが乗った。



 そのまま木の枝を走っていき、トレントの顔目掛けて斬撃を与える。



 ――ウッドシールド



 だが、その斬撃は隣にいたトレントによって防がれてしまう。


 待て待て、今の一撃を防がれるのは相当やばいな。

 1体の隙をついても、他のトレントに防がれる。

 ……こりゃキツイな





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