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俺は時代劇さながらに襲われる




 ここで一旦俺が地上に出た時に話しを戻そう。

 ちょっと思い出話に花を咲かせている場合じゃなくなったんだ。

 何せ俺を暗殺者か何かと勘違いした奴らが、刀を構えて今にも襲いかかってきそうだからな。


 全部で七人か。

 俺が地面から顔を出した時に試合をしていたおっさん二人は、姫ちゃんを護る護衛達の側で待機してる。

 数人は旧式の長い銃を構えているけど、連射はできないし味方が多い場所では不向きな武器だから撃ってはこないだろう。


 やっぱり「はろ〜」じゃ通じなかったか。

 気を取り直してやり直しだ。


「俺は妖しい者じゃない。あんた達を害する意志はない」


 俺を取り囲んだ七人のうちの一人が怖い顔で睨みつけてくる。


「姫様の命を狙う狼藉者めが! 城内に地中から忍び込んだ時点で許されぬ罪! この命に代えても姫様には指一本触れさせぬぞ!」


 こりゃあ何言っても聞いてくれなさそうだな。

 目が血走ってて完全にやる気満々だ。

 俺だってこの場所に出るとは思ってなかったから不可抗力よ?

 皆さん殺気まき散らしてるし。

 大人なんだからさ冷静に。


「成敗っ!!」


 一人の男が突然袈裟切りに斬り掛かってきた。

 俺は余裕で躱す。

 その後何度も繰り出される刀の斬撃を躱しながら、アウレナを介して俺に斬り掛かっている男を鑑定した。


=====

 ◆コウゾウ・シゲサト  

 種族:人族  性別:男  年齢:38  職業:侍

 LV:20  HP:850  MP:300  SP:700

 物理攻撃力:250  物理防御力:250  敏捷力:240  

 術効力:140  術抵抗力:140  幸運:50

 アクティブスキル:袈裟切り3、俊足3、受け流し3、鞘打ち3、峰打ち3

 パッシブスキル:気配感知3、学識3、武士道の心得3

 称号:正義漢、盆栽を愛する者、お人好し、愛妻家

=====


 おお、予想通り職業が侍だ。

 実は俺、人間のステータス見るの自分の以外ではこれが始めてだ。

 今までずっと魔物のステータスばかり見てきたから少し感動したよ。


 確かスキルの後ろの数字はスキルレベルを示しているはず。

 特に脅威になるスキルは無いようで安心した。

 お? 【武士道の心得】とか侍っぽいな。

 詳細は?


=====

 ◆武士道の心得3

 正義3、勇気4、憐れみ3、礼儀作法4、正直3、名誉3、忠義4

=====


 なるほどな。

 つまり【武士道の心得】っていうスキルはこの七つのスキルで構成されているわけか。

 この七つのレスキルベルをを平均的に上げていかないと、【武士道の心得】のレベルは上がらないんだろう。


 称号の内容を見るとプライベートな内容が分ってしまうんだな。

 下手な行動はできないという事だ。

 自分の私生活を見られているようでちょっと恥ずかしい。

 たぶん人を殺したら称号に殺人者とか残るんだろう。


 それにしてもこの侍、さっきから俺に何度も斬り掛かってくるけど、そんな鈍い動きじゃ俺に当たらないよ。

 お、今度は三人掛かりか。

 人が増えても変わらんって。

 だって他の侍の能力値も似たり寄ったりなんだもの。


 俺は三人の攻撃を躱し続ける。


 あれま、この侍達もう息切れしてる。

 ばてるの早いな!

 姫を護る立場だろうに体力ない奴らだ。


「くっ! 【俊足】レベル三を使用して擦りもしないのかっ!? なんという素早い身のこなし!」


 え? いままでの動きってスキルを使ってたの? それでこの速度って、ちゃんと毎日身体を鍛えてるのかよ。

 スキルを所持してても身体が鈍っているとスキルの効果が低くなるんだよな。


 おうおう、今度は七人全員で斬り掛かる作戦か。

 いよいよ時代劇っぽくなってきたな。


 七人が全員で息を合わせて連続で斬りつけてきた。


 俺は話し合いがしたいんだけどな。

 でも、この人達に怪我させちゃったら俺への印象最悪になる。

 そんなことをしたら俺の話を聞いてくれないだろう。

 でもさ、俺の言い分を何も聞かずに一方的に斬り掛かってくるんだから、俺がこの人達を殺しても正当防衛だよな?

 おっし、面倒だから全員殺しちゃおう!


 おお〜っと、いかん、いかん。


 地下生活が長かったせいで、人としての道徳観念が希薄になってる。

 考え方が魔物寄りになってきてるから気をつけないと。

 人間社会って魔物社会ほど単純な弱肉強食の世界ではなかったはずだ。

 力でねじ伏せても良くないよな。

 とはいえ、このまま躱し続けていても俺の話しを聞いてくれない。

 ならば、これならどうだ。


 俺は次から次へと斬り掛かってくる侍達の刀を躱しながら、親指と人差し指で真剣白刃取りをして刀をへし折った。


 こういう事には慣れている。

 地下の戦場ではこの刀より早くて鋭利な刃を頻繁に向けられていたし、鋼鉄並みの強度の刃なんかもよく折っていたし。

 というか刀ってこんなに脆かったんだな。

 簡単に折れたよ。


 よしっ、これで最後っと。

 俺は七人全ての刀をへし折った。

 刀を折られた侍は目を見開き後ずさりして、信じられないという顔をしている。


 ん? 姫ちゃんが何やら叫んでる。




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