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カクカクシカジカじゃわからん

 



「カクカクシカジカじゃわからん。正直に言え。でないとその頼みは聞けないな。まあ、話を聞いたとしても断るかもしれないけどな」


「そ、それがのう、恐らくじゃがこの国に滞在中にその特使は命を狙われると思われるのじゃ」


「じゃあな、また来るよ」


「ちょーっと待てい! というか待ってくれ頼む! 頼むからもう少し妾の話を聞いておくれっ! お願いじゃ!」


「え〜、本当に面倒事は勘弁して欲しいんだけどな」


「もしも、その特使に何かあったらアイゼナーグ騎士王国との戦争に発展するかもしれないのじゃ。今回の特使の訪問目的は我が国と和平条約並びに通商条約の締結なのじゃよ。万一にでも特使が命を落とそうものなら国際問題に発展するやもしれぬ」


「それなら旅館より城の中で匿ったほうがいいだろうに」


「この城の者達はすでに大陸の国々の手先になっている者も少なくない。日乃光の国とアイゼナーグ騎士王国を戦わせ漁父の利を狙う国もあるということじゃ」


 身内も信用できない状況なのかよ。

 姫ちゃんも大変だな。


京華きょうかの都から来るはずじゃった特使の護衛隊も、先日の嵐で街道が土砂崩れになり塞がれ足止めを余儀なくされておる。妾に伝がある者でお主が最も強い武人なのじゃ。恐らくこの城の侍の中にお主に勝てる者はいないじゃろうしのう」


「それで俺の旅館に?」


「東江の都で最も安全と判断したのじゃ。妾に高く評価されておるのだから光栄に思うが良いぞ!」


「帰るかな」


「あーすまん! すまんかった! 妾が調子に乗り過ぎた!」


「せっかく旅館の経営も軌道に乗り始めたっていうのに、今度は他国の特使の護衛イベント発生かよ。俺のゆるゆる人任せ異世界生活はいつになったら実現するんだよ」


「当然成功した暁には相応の報賞を与えるのじゃ」


「面倒なもんはいらないぞ」


「ゔっ。だ、大名としての身分などは……?」


「興味ないな」


「何じゃと!? 大名になれるのじゃぞ! これは普通の庶民にはなし得ない大出世なのじゃぞ!?」


「領地をもらったとしても、この国って参勤交代の制度があるだろ?」


「そうじゃ。一年に一度各地を納める大名は東江に参勤せねばならないという決まりがあるの」


「面倒、疲れる、無理。旅館の総支配人でいいよ」


「な、なな、何たる無礼な奴じゃ本来なら打ち首もんじゃぞ!」


「俺とやり合うってんなら相手になるぞ」


「ま、また調子に乗っておった。すまぬのじゃ」


「じゃあさ、もしうまくいったら空船を俺にくれないか?」


「空船じゃと?」


「ああ、俺は移動するときはもっぱら歩きなんだ。この都ってすんごく広いだろ? 何時間も歩くの面倒なんだよな」


「あ、歩くことも面倒とは。何処まで楽をしたいのじゃ……」


「その条件なら受けてもいいぜ」


「うむ。仕方が無い。中型の空船なら一つ余裕があったはずじゃ」


「一番でかいのを頼む」


「そうじゃな。中型の空船だけでもかなり貴重なのじゃ。それで満足するのは当然じゃな……って、大型空船じゃとっ!?」


「当たり前だろ? 大きい方が沢山人も荷物も積めるからな」


「いや、しかしじゃな、大型の空船は戦艦として使用するものなのじゃ。国営といえども旅館が自由にできる代物では……」


「そうか、そうだよな。それなら諦めるよ」


「お? 分ってくれたか! 聞き分けの良い者も妾は好きじゃぞ」


「アイゼナーグ騎士王国との戦争にならないように祈ってるよ」


 俺は立ち上がりきびすを返して座敷を出ようと歩き始める。

 するとオウカが俺の足に縋り付いてきた。


「ちょーーーーーっと待てーーーい!! 分った! どうにかしてみるのじゃ。だから妾を見捨てないでおくれユラリ!! お願いじゃ!」


「あー、わ、わかったよ。そんな涙目で見るなよ、一国の姫だろ?」


「う〜、じ、じゃあ特使の件受けてくれるのか!?」


「ああ、女が泣いてるのに放っておけるかよ」


「そうか! それでこそ妾の見込んだ男じゃ!」


「どれくらいの期間特使を護衛しなきゃならないんだ?」


「約一ヶ月じゃ」


「長いな」


「国同士の取り決めには時間がかかるものなのじゃよ」


「それでその特使はいつ港に到着するんだ?」


「今日じゃ」


「は? 近々って言ってなかったか?」


「じゃから、今日じゃ」


「お前、やけに焦ってると思ったらそういう事か」


「わ、妾は悪くないのじゃ! 護衛隊の足止めの件に加えて、特使の乗る空船が追い風続きで五日も早く到着してしまうし、ユラリ以外に頼むしかなかったのじゃ」


「それは焦るよな」


「今日の昼頃に港にある空船専用の発着場に到着する予定じゃから、出迎えを頼むのじゃ」


「ああ分ったよ。しっかしほんとに面倒だな。仕方が無いから行って来るか」


「頼んだのじゃ! この国の未来はお主にかかっておるのじゃ!」




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