◉番外編 ペティの手紙
*ペティ視点
私の名前はペティ・アスティオ。
日乃光旅館で仲居として働いてます。
私は大陸の北に位置するレヴィドット皇国の孤児院で育ちました。
レヴィドット皇国は国土の大半が山岳地帯で年中雪が降っているという事もあり、人が生きるには難しい国と言われてます。
そんな厳しい環境にある私の育った孤児院では、十三歳で成人した孤児は年に一度訪れる奴隷商人に売られる事になっていて、私もその例に漏れず十三歳になると日乃光の国に奴隷として売られました。
私は私を売った孤児院の院長先生を恨んでません。
それはなぜかというと、孤児院を維持する資金を得る為には苦渋の選択なのだと、院長先生が泣きながら謝っていたからなんです。
奴隷になるといろいろ大変になるけれど、少なくとも生きてはいけます。
私たち孤児達が生きていく為には仕方の無い事だったんだと思います。
だから私は前向きに考える事にしました。
奴隷として売られれば知らない国に行けて、いろんな人と出逢える。
生きている限り幸せな人生を送れる可能性があるって考えるようにしたんです。
そのうちおとぎ話のように勇者様が現れて、私を助けてくれるかもなんて思ってました。
分ってはいたけど、そんなに現実は甘くなかった。
私を買ってくれた最初のご主人様はとても悪い人だったんです。
私は叩かれたり蹴飛ばされたりしたけど、奴隷には逃げる事も自害する事も許されていなかったので、痛くても辛くても我慢して耐え続けました。
四年もの長い間ずっと耐えながら働き続けました。
本当に辛い毎日だったけど、あるとき転機が訪れたんです。
私の夢見ていた勇者様が私を助けてくれたんです。
その人は悪いご主人様を退治して、私の新しいご主人様になってくれました。
その人は強くて優しくて物知りで頼りになる素敵な人です。
その人は孤児の私なんかをお嫁さんにしてくれたばかりか、ちゃんと昼も夜も愛してくれるんです。
夢でも見てるんじゃないかって思うくらい幸せになっちゃいました。
奴隷として売られて良かったと思う程なんです。
だから、もう少ししたら私の育った孤児院の院長先生に手紙を書こうかと思っています。
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院長先生お元気ですか?
ペティ・アスティオです。
私は今、愛するご主人様と幸せに暮らしています。
夢のような幸せに満ちた生活を送っています。
驚かないでくださいね。
なんと仕事をしてお給料も頂いています。
この手紙と一緒に、お給料の半分を仕送りとして送ります。
孤児のみんなに美味しいものを食べさせてあげてください。
辛くても希望を抱き続けられるように助けてあげてください。
最後に。
経済的に厳しい状況だったのに私を拾ってくれてありがとう。
十三歳になるまで愛情深く育ててくれてありがとう。
私が奴隷として売られていく時、たくさん涙を流してくれてありがとう。
私のお母さんになってくれて、本当にありがとう。
全ての感謝の気持ちを込めて。
あなたの娘、ペティより。
追伸
私の今のご主人様はすごいんです。
ご主人様のすごいところは次の手紙で書きますね。
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