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嬉しいおせっかい

 



== 22時44分 ==


「ここがユラリ様の旅館なのですね! 情緒のある日乃光様式の建物が素敵ですね!」


 俺はセルフィナを伴って旅館の中を案内していた。

 セルフィナの背中にあった天使の翼は、大名屋敷を出る頃には消えていた。

 守護者契約の時だけの一時的な天使化だったようだ。

 彼女は日乃光旅館に到着してからは子供のようにはしゃいでいる。

  

 一部洋風の建築様式を取り入れているとはいえ、この旅館の大部分が日乃光様式なのが珍しいんだろう。

 気に入ってくれたようで良かったよ。


「こんな素敵な場所でユラリ様と働けるなんて夢のよう!」


 俺はそんな無邪気に笑うセルフィナに見とれていると、着物の袖を少し引っ張られた。


「ん? ペティか。どうした?」


「えっと、あの綺麗な方はどなたですか?」


「ああ、彼女はこれからうちで副支配人として働く事になったセルフィナだ。大陸の出身でこの国にはまだ慣れていないから、ペティも気にかけてやってくれ」


「は、はいっ! 任せてくださいっ!」


 おお、ペティが張り切ってる。

 元々面倒見のいい娘だからな


「ちなみにペティと同じ俺の守護者の一人だから仲良くな?」


「という事はご主人様の妻の一人になったんですね?」


「へ? 妻?」


「え? だって全てを捧げる契約をされたんですよね?」


「ああ、そうだけど……」


「じゃあご主人様の妻同士早く仲良くならないとですね!」


 ペティがセルフィナに駆け寄って自己紹介をしている。


 正確には妻というよりパートナーという意味合いの方が近いから、ペティは少し勘違いをしているみたいだ。

 なんだか嬉しそうにしているから放っておくか。


 ペティとセルフィナを妻として迎えられたらどれだけ幸せだろう。

 でも、俺とは死ぬまで共に生きるという契約を結んだとはいえ、彼女達とは最近知り合ったばかりだし、二人の気持ちを無視して強引に男女の関係になる事はできない。

 こういうのは時間をかけて仲良くなっていけばいいんだよ。


 もし俺の【守護者任命】が、この国で夫婦になる儀式に近くて彼女達に勘違いをさせていたら悪いから、守護者を任命する時にもっと慎重にならないとな。


 オウカは一夫多妻は男の甲斐性次第だと言っていた気がする。

 まあ今そんな事を心配しても仕方が無いか。

 と思っているとセルフィナが俺を睨みながら近づいてきた。

 や、やっぱり、何人も女性を囲うようなことは、この世界でもまずかったか?


「ユラリ様……」


「は、はい。何か御用でしょうか、セルフィナさん?」


「ユラリ様、ペティさんも守護者契約をしていると聞いたのですけれど、それは本当なのですか?」


「あ、ああ。それはだな。いろいろ事情があって」


 あ、睨まれてる。

 怒られたら素直に謝ろう。


「どうしてまだ彼女にキスをしてあげてないんですか?」


「は?」


「一生を共に過ごす関係ではないのですか? キスは最も簡単な愛情を示す手段なのですよ。すぐにキスをしてあげるげです。ペティさんもそう思いますよね?」


「あわわっ、いえ、あの、私は別に、よ、夜のお務めさえさせて頂ければ満足ですから……」


 ペ、ペティさん!? 今さらっと爆弾発言したよ!


「夜伽の相手は妻としての当然の勤めですけれど、まずはキスからです」


 ええっ!? 当然なのか?

 女性の出生率が七割を越える世界だからだろうか。

 性に対する女性の積極性が俺の想像を越えている。


 ペティがセルフィナに背中を押され、俺の目の前にやってきた。


「あ、あの、ご主人様、お嫌でしたら無理にしなくても」


「嫌なわけないよ、正直に言うと今まで何回か襲いかかりそうになったくらいに、ペティは可愛いからな」


「え!? そ、そんな……」


 顔も耳も真っ赤になるペティ。

 その背後でその調子だと頷いているセルフィナ。

 仕方が無い、セルフィナに見られてると少し恥ずかしいが、今ペティとキスしないとセルフィナが許してくれなさそうだ。

 俺の本能君もペティとキスできるから大変お喜びだし。


 俺は背の低いペティに屈んで唇を重ねた。

 ペティがゆっくりと俺の口の中に舌を入れてくる。

 ペティの積極性に少し驚いたが俺も彼女の舌を優しく受け入れた。


「んっ……ちゅ……んんっ……っちゅっ……んふぁ」


 ペティの小さな唇が名残惜しそうに離れていき、彼女は恥ずかしそうに俺を上目使いで見つめている。


「……ご主人様の舌って、暖かいんですね」


 頬を高揚させ幸せそうな笑顔を見せるペティ。

 い、今すぐ俺の個室にお持ち帰りしたいっ!

 しかし理性君が一時の仮眠から目覚めたようだ。


「ペティの舌も少しひんやりしていて気持ちよかったよ」


 セルフィナが大きく頷いている。

 お許しがでたようだ。


「これでわたくしとペティさんは同じユラリ様の妻となりました。良かったですねペティさん?」


「はい……キスは初めてでしたけど、すごく気持ち、良かったです……」


 ペティ、そっちの良かったを聞いたんではないと思うぞ。




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