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人と魔物は相容れない関係




 空が明るくなりはじめた夜明け前。

 ようやく俺とツクモは旅館に着いた。

 寮の自分の部屋に入ると何故かペティが俺の布団で寝ていた。


 たぶん俺の帰りを待っていてそのまま寝てしまったのだろう。

 可愛い女の子に献身的に尽くされるのはすんごく嬉しいけど、ペティにはいつも申し訳ないな。


 ツクモの本体を俺の私室にある座卓に乗せた。

 するとツクモはおやすみでふと言って貯金箱の中に入っていった。

 家のようなものか。


 俺はペティを起こさないように静かに布団に入る。

 ペティの体温で布団があったかくなっていた。

 そのときペティが寝言を呟いた。


「ご主人様……ありがとう、ござい、ます……」


 ペティはどんな夢を見てるんだろう。


「お汁粉……ありがとう……ます……」


 お、お汁粉の夢だった。

 今度連れて行ってあげよう。

 俺は幸せそうに微笑むペティの寝顔に癒されながら眠りについた。

 

 おやすみペティ。




***




 地上生活十一日目。


 俺はツクモと守護者契約をするために旅館の中庭にいる。


「この者の名はツクモ・ガミ。汝、我が敵を刺し貫く剣となり、我を護り支える盾となれ! 我の元に集いし二十四守護者の一人として、ここに守護者契約を結ぶ! スキル【守護者任命】発動!」


 俺の支配者スキルの発動でツクモの霊体はまばゆい光を発した。

 俺の中の力がツクモに流れ込むのが感じられる。


 そしてツクモの背中の上に光が集束し、一枚のカードを形成した。

 そのカードに描かれているのは、暗闇の中で輝く豚の貯金箱を高く掲げている老人だ。


 ん? カードの絵柄にも豚の貯金箱か……。

 つっこんだら負けな気がするのでスルーしよう。


「模索や熟虜を意味し、悟りを開き人を導く者を意味するアルカナ。隠者のカード」


 あまりピンと来ないな。

 この子豚が悟りとか熟慮ができるとは思えないけど。


「むむ、何か失礼な事考えてないでふか?」


「い、いやあ、そんなことはないでふよ」


「真似するなでふ! それより契約したんだから金貨をくれる約束でふ」


「ああ、わかってるよ。そらよっ」


 ツクモは俺の手から金貨を食べて飲み込んだ。


「ぶふーでふ。久しぶりの金貨の味は格別でふなー!」


 守護者契約の後どうなるのか鑑定してみたけど。

 何も変化しなかった。

 金貨を食べて他の能力も上昇するかと思ったんだが、それもないみたいだ。


 期待が外れたな。

 元々が物だからなのか潜在能力の覚醒はなかったようだ。

 ま、こいつは修理担当だからそれさえやってくれたらいい。


 よし、気を取り直して九兵衛の集めた美術品を売りに行くか。


=====

 所持金

 金貨:1933枚

 大銀貨:35枚

 大銅貨:43枚

=====


 俺とツクモは西町にある骨董品や美術品を取り扱う美術商に来ていた。

 俺達は旅館をでてから先に口入屋に行き、美術品を買い取ってくれる場所を聞いていたのだ。

 この店は東江の都で一番大きな美術商だとコウメから教えてもらった店だ。


 俺はツクモに指示して収納していた美術品を全て出させた。

 前にキバツメ山賊団の天幕から持ってきた装飾品もある。

 当然だが。百を越える高価な美術品の査定には時間がかかる。

 査定が終わるのは明日になるらしいので、俺たちは一旦旅館に戻ることにした。

 その道中のことだ。


「ユラリはどうしてぶーと話せるんでふか?」


「え、普通は話せないのか?」


「そうでふ。今まで蔵に入ってきた人でぶーと会話ができた人はいなかったでふ」


「今更だな。それについては、たぶん蟻の女王のスフィアのおかげかな」


「じょおう?」


「そうだ。俺は人族のスフィアじゃなく。魔物のスフィアを使って自分を鍛えてきたんだ」


「なるほどでふ。人族のスフィアは陽の流れを、魔物のスフィアは陰の流れを司ってるから納得でふ」


「陽と陰? それって属性のようなものか?」


「まあそう考えてもいいでふ。でもこの陰陽は生物の性質の根幹に関わるものでふ。性質や習性、道徳観なんかも全然ちがうでふ」


「そう言われてみればそうだな。人と魔物は相容れない関係だし」


「ユラリは人族だから本来だったら陽に属するんでふ。でも陰のスフィアを使っていたから陰にも属しているでふ」


「それで俺は陰に属する奴らと会話ができるということか。陰陽それぞれに属しているといわれるとそうかもしれないな」


「たぶんそうでふ」


「あれ、でもさ、俺が九兵衛の屋敷に入る時、俺の事を知らない九兵衛が俺に話かけてきていたのはどうしてだ?」


「九兵衛さんは元々人族だったから言葉を話せるでふ。それに人の姿に化けることで話せるようになる魔物もいるでふ」


「なるほどな、人に化ける事ができるなら会話も可能ということか」


「陰陽を宿す人族なんて今まで聞いたことないでふ。あ、でも魔物の中で人の言葉を話せるのは高位の魔物だけでふ。大事な事なのでもう一度言うでふ、高位の魔物だけでふよ」


「ツクモも高位の魔物だって言いたいんだろ? 陰陽の話を知ってるくらいだからなお前も高位の魔物だよ」


「そうでふ。跪くでふよ。沢山の金貨を貢ぐでふよ!」


「あーはいはい。また今度な」


 俺はツクモを適当にあしらいながら旅館に戻った。




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