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身体を預ける覚悟




=====

 ◆国からの緊急要請 巨大海竜の討伐

 巨大な海竜が沖に現れ船が出せないので至急討伐を願う。

 特級脅威魔獣

 賞金額:金貨四百枚

 ※討伐確認の為に海竜の真珠を取得してください。

 ※レベル四十以上の方で海上での戦闘経験豊富な方推奨。

=====


 海か……パスだな。

 だって俺カナヅチだし、海上での戦闘経験もないから。

 でもこの賞金額はうまいな。


 そんな事を考えている俺のすぐ側で、男が何やら唸っている。

 どうしたんだこのおっちゃん。


「う〜ん、レベル四十っていったら城主直属の近衛侍くらいの強さじゃねえか。そんな強いやつなんてそうそういねえよな。船の操舵なら自信あるんだが……」


「ん? おっちゃん漁師か何か?」


「おう。こう見えてこの道三十年の筋金入りの漁師でいっ!」


「どうして漁師がここにいるんだ?」


「あんちゃん、さては新顔だな? 口入屋には魚を獲る依頼も多く集まるんだぜ。ここの西町は東町にある港から一番離れてる町だからな、魚関連の依頼が多いのよ。おれは普通の魚だけじゃなく魔獣魚も仕留めるんだぜ!」


「魔獣魚?」


「そうだ。普通の魚と違って人を襲う海の生き物を総称して魔獣魚って言うんだ」


「へぇ、そうなのか。ということはおっちゃん戦えるんだな」


「あったりめえよ。海の男が魔獣魚の一匹や二匹と戦えねえでどうするってんだ? あ、でもよ、この海竜は別物だ。命が幾つあっても足りねえ」


「そんなに強いのか?」


「ああ強い。数年に一度この時期に現れるんだが、勇んで向かって行った仲間を何人も殺された。ほっといても港に上がってくることはねーが、危険な魔獣だ」


「なら国も緊急依頼なんか出さなくてもいいのにな」


「そうもいかねえんだろうよ。なんせ一ヶ月は船の通り道を塞ぐようにして動かないからな。都にとってみれば莫大な損失になるだろ」


「一ヶ月か。そりゃ黙ってられないわ。漁業や貿易なんてものに大打撃だな。あれ、でもさこの国って移動する浮き島じゃないの? 海竜が島にくっついて移動する理由は?」


「この季節は大漁期といって、一年で一番漁獲量が多い季節なんだ。たぶんだが海竜もこの島にくっついて豪勢な食事でもしてるんじゃねーかな」


「そんな時期なのか。だとしたら大漁期なのに海竜が魚を喰うせいで、漁獲量が減る。国としてはますます放っておけないな」


「見たところ、あんちゃんなかなか強そうだな。俺と組んで海竜ぶっとばしに行かねえか?」


「あ〜、無理だな。俺泳げないんだ。それに、空も飛べないから海上での戦闘はできないぞ」


「ん? もしその問題が解決できれば海竜を討伐できるような言い草だな?」


「まあ、やってみないとわからないけど。たぶんできる」


「そ、そりゃ本当かっ!!」


 近い近い!

 このおっちゃん急に顔を寄せて来て近いから!

 そんなに興奮してどうした?


「あ、ああ。俺は今わけあって金が必要だから、できれば討伐したかったんだけど、海だから諦める事にしたよ」


「そうか! その事ならおれに任せろっ!」


 と言うおっちゃんの言葉で俺は明日、協力して海竜を倒す事になった。

 名前をウミスケというらしい。

 まんま海の男キャラだな、まあ、分り易くていいけど。


 俺は今日も忘れずにセルフィナのところに向かう。


=====

 所持金

 金貨:1484枚

 大銀貨:35枚

 大銅貨:43枚

=====


「ユ、ユラリ様、今日もお越しになると思いお待ちしておりました……」


 ん? 今日のセルフィナは何故か緊張しているようだな。


「今日もお前の顔を見に来ただけだからすぐに帰るよ」


「え!? あ、あのっ!!」


「どうした? そんなに慌てて」


「あ、あの、今日でユラリ様がわたくしに会いにきて下さった回数が五回になりました」


「そうだな」


「そ、それで、ここの宿の方に、ユラリ様の、お、お相手をするように言われまして」


「ああ、こうして話し相手になってらってるな」


「いえ、お相手というのは、と、床に入ってからのお相手という意味なのです」


ああ、そう言えばセルフィナと床に入るなら五回は通わなければならないって、この遊郭の使用人の男が言っていたな。

今回がその五回目というわけか。


「ですから、わたくしは身だしなみを整えてお待ちしておりました」


セルフィナは俺の隣に寄り添い、俺の頬に手を添え桃色の唇を俺の口に押し当てた。


「んっ……んちゅっ……」


そして彼女は積極的に俺の口の中に舌を入れてきた。

柔らかなセルフィナの舌の感触に胸が高鳴り本能君が顔を出したが、俺はセルフィナの肩を掴み優しく遠ざけた。


「ユ、ユラリ様? ……やはり遊女にまで落ちぶれたわたくしなど、お嫌でしょうか?」


「そうじゃないよ。セルフィナは綺麗でとても魅力的だ」


「では、どうして?」


「俺に命を捧げる覚悟はあるようだけど、自分の身体を預ける覚悟はできてないみたいだからな」


「い、いえ、決してそのような、事は……」


「ずっと震えっぱなしじゃないか。そんなお前を抱いても無理矢理に犯してるみたいで悪いからな」


「わ、わたくしの全てをユラリ様に捧げると誓いました。ですから、この身体はもうユラリ様のものです。お好きなようになさっても良いのですよ?」


俺はセルフィナを抱き寄せ彼女の耳元でささやく。


「そんなに俺を信用できないのか? お前が自分の身体を使ってまで必死に俺を引き止めようとしなくても、俺はお前を見捨てない。必ず身請け金を用意して戻ってくるから」


「わたくしは、ユラリ様に……」


俺はセルフィナから離れて立ち上がる。


「というわけだからもうひと仕事してくるよ」


俺は項垂れるセルフィナを残して一階に下りる階段に向かった。




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