西町奉行所へ
== 11時57分 ==
俺は西町の丁度真ん中にある西町奉行所に来ていた。
奉行所って言うのは行政、司法、警察、消防の機能を有している。
つまり公務員が働く役所だな。
手配人を捕らえたら奉行所につれてくるのはこの都の常識だ。
地図を見ながらなので迷う事もない。
俺は奉行所の門衛に声をかけた。
「お仕事お疲れさまっす。指名手配人討伐の証明部位を持ってきたんすけど、担当の人っているっすか?」
「ん? 指名手配人の? それならカンザキ様が担当している。この門を通って庭沿いに右に行き突き当たったら左、そのまままっすぐ行った先にある遺体置き場にいるはずだ」
「了解っす」
ちょっとガキっぽく振る舞ってみた。
そのほうが誰かの使いを装うことができて警戒心を抱かれないと思ったからだ。
なんせ俺の見た目は十七歳の小僧だからな。
そんなやつが指名手配人を何人も仕留めたなんて、常識的に考えて変だから絶対に怪しまれる。
面倒なことに巻き込まれない為には演技も必要ってことだな。
俺は言われた通りに奉行所の庭を進み遺体置き場の前につく。
そこは二十畳くらいの広さで数体の遺体が置いてあり、遺体を検分している男がいた。
「すんません! カンザキさんっています? 指名手配人の首の引き取りはここでしてくれるんすか?」
中にいた男は俺に気付いたようだ。
「ああ、カンザキは私だ。空いている場所に置いてくれ」
「じゃあ遠慮なく」
俺は【食料庫】から合計四十四個の生首を取り出し、山のように積み上げた。
「き、君っ! これは!?」
「だから、手配人の首っす」
「こんなに大勢を? 君一人で仕留めたのか!?」
「そんな、まさか」
「そ、そうだな。これを君一人でというのは無理があるか」
「そうっすよ」
「もしや君は最近噂になっている義族、八岐大蛇の使いの者か?」
なんだ? 義族の八岐大蛇って。
確か八岐大蛇って日本の神話に出てくる頭と尾が八つに分かれている大蛇だったかな。
素戔嗚尊がこいつを退治して奇稲田姫を救い、その尾から三種の神器と呼ばれる天叢雲剣が出てきたという話だったはず。
噂になってるらしいけどそんなの初めて聞いたな。
よし、丁度良いから話しを合わせとこう。
「まあ、そんなとこっす。でもこれは秘密っすよ」
「ああ、わかっているよ。悪党達を始末する謎の集団と聞いているからね。表沙汰にしないほうが世のためだろう。少し待っていていくれ。急いで鑑定してしまうから」
「ういっす」
悪党を討伐する一団か。
この世界にも正義感に溢れた人達がいたんだな。
でも関わると面倒そうなやつらだ。
一緒にこの世界から悪を滅ぼさないかって熱苦しく誘われそう。
関わらないで済むように元天使のセルフィナ様に祈っておこう。
== 12時39分 ==
「確認が終わったよ。間違いなくこの首全てが手配中の者達だった。この証書を口入屋にもっていくといい。換金できるはずだ」
「毎度ありっす」
「それにしてもこの者達の居場所をどうやって見つけたんだ? 我らが血眼になって探しても見つからなかったというのに」
「それも内緒っす」
「そうか、とにかく協力に感謝する。これでいくらか東江の都の治安も良くなっただろう」
「それじゃ」
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◆パッシブスキル【演技】を獲得しました。
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おっと、思わぬところでスキル獲得だ。
今回のようにどんなスキルも始めはレベルゼロを習得する。
それからレベルをあげたいスキルにスキルポイントを振り分け強化していく。
これがスフィアを使ったスキル習得システムだ。
俺はその足で口入屋に向かった。
受付のコウメにカンザキから渡された証書を渡す。
するとコウメが奥の部屋に入り口入屋の主人を連れてきた。
「ユラリ様、当口入屋をご利用いただきまして誠にありがとうございます。今回もスフィアカードへの入金でよろしいですか?」
「ああ、頼む」
「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」
なんだよ、挨拶に出てきただけか。
そんなんはいいから早く換金してくれ。
すぐにスフィアカードへの入金も終わり、現在の所持金を確認した。
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◆ジュウロウタ アサガキ
賞金額:金貨六十枚
◆通称 キツネコゾウ
賞金額:金貨二百二十枚
◆グレン イチノサト
賞金額:金貨四十五枚
◆山賊団キバツメの頭目
賞金額:金貨二百五十枚
賞金合計:金貨五百七十五枚
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所持金
金貨:1534枚
大銀貨:35枚
大銅貨:43枚
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まだ金貨三千三百枚には届かないな。
手持ちの手配書は東町の亡霊退治だけだから、掲示板に新しいのがないか見ておこう。
俺は掲示板を眺め高額の賞金首を探した。
「お、一つだけ新しいのが追加されてるな」




