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悪いな、言うのが遅かった




 地上生活七日目。


=====

 ◆グレン・イチノサト

 要人殺害、家屋破壊

 第二級賞金首

 賞金額:金貨四十五枚

 ※レベル二十以上の方推奨

=====


 俺は東町の郊外にある廃屋の中で、身長二メートル程の大男と向かい合っていた。


「とうとう見つかってしまったか。若造、まずは拙者の話を聞いてくれぬか」


「話って?」


「拙者はある武家の男の依頼で暗殺をしたのだ。しかし、それは妻と娘を人質にされ仕方が無かったのだ! それから拙者が暗殺を終え妻と娘を返してもらいに行く途中、その武家の男の部下達に襲われ逃亡生活を余儀なくされたのだ。その者達の話しではすでにわたしの妻と娘は殺された後だという」


「そうだったのか。おっさんもいろいろ事情があったんだな」


「頼む、妻子の復讐は諦め明日にはこの都から出て行くから、拙者を見逃してはもらえぬだろうか?」


「いいぜ、見逃してやる。ただ、今すぐ都を出て行け。それが条件だ」


「おおっ! かたじけない。本当に感謝するぞ若造」


 大男は背後においてあった大きな風呂敷包みを背に担ぎ、足早に廃屋を出て行った。


「うまく逃げれるといいな。おっさん」


 その直後廃屋の古びた床下が轟音とともに大爆発を起こし、廃屋が跡形も無く吹き飛んだ。

 その廃屋の様子を離れた位置で見ていたグレンの顔に笑みが浮かぶ。


「はははははっ! まだ青いのう若造。情にほだされて人を信じるから命を落としたのだ! 拙者は復讐をするまで都を離れるわけにはいかんのだ!」


 その言葉を最後にグレンの首の無い胴体が地面に転がった。

 俺はグレンの遺体を見下ろす。


「鑑定結果を見たら、おっさんの言ってたことは本当だったんだけどな。でも、俺を殺そうとした時点でアウトだ。あの世で家族と仲良くやってくれ」


 復讐か、セルフィナもそんなこと言ってたな。

 そんな事して死んだ人が生き返るわけでもないのにな。

 俺に家族を殺された経験が無いからそう思うのかもしれないけど。

 例えば……もしペティが殺されたら俺はどうするかな。

 

 ……相手が国でも滅ぼしてやる。

 

 なんとなく気持ちがわかったよ。

 爆発の音に人が集まって来たので、俺は人通りのない裏通りを通って都の中心部へ戻った。


=====

 ◆グレン イチノサト

 種族:人族  性別:男  年齢:42  職業:浪人

 LV:33  HP:1410  MP:450  SP:1100

 物理攻撃力:360  物理防御力:460  敏捷力:310  

 術効力:310  術抵抗力:290  幸運:90

 アクティブスキル:一閃3、兜割り3

 パッシブスキル:精密作業5、集中5、学識3、器用5、爆発物知識5、爆発物作成5、気配感知3、殺気感知3

 称号:指名手配人、爆弾魔、殺人者、妻子を殺された者、復讐を誓う者

======


 今日も旅館に帰る前に『一葉』に寄ってセルフィナの様子を見てから帰った。


======

 所持金

 金貨:792枚

 大銀貨:8枚

 大銅貨:3枚

=====




***




 地上生活八日目。


 俺は今、東江の都から五時間以上かけて街道を南西方向に走っていた。

 踏み固められた硬い土の街道を、夜空に浮かぶ三つの月が優しく照らしている。


 暗い街道には俺以外いない。

 俺の背中にはグレンのおっさんが持っていた大きな風呂敷包みがある。

 なぜそんな物を背負っているのかって?

 そりゃ山賊に襲われたいからさ。


 案の定、俺の進路を塞ぐように左右の茂みから合計四人の男女、背後にも同じく四人の男女が現れた。

 男六人に女二人か。

 前方の一人の男が俺に話しかけてきた。


「おいおい、あんちゃんよ、こんな夜更けにどこ行くんだい?」


「ちょっと金を稼ぐ旅さ」


「悪いがその旅もここで終わりだ」


「そうか、それは良かった。何時間も走りっぱなしで疲れたから、もうそろそろ都に帰りたいと思っていたところだったんだよ」


「は? 何言ってやがる。お前らやっちまえ!」


 八人が刀を抜き一斉に襲いかかってきた。

 姿を現した瞬間にアウレナで称号を確認したけど、強盗、殺人、誘拐なんてある。

 こいつら山賊決定だな。


 俺は背負っていた風呂敷を前方に放り投げる。

 前方の四人は風呂敷を躱そうとして足が止まった。


 その隙に俺は背後の山賊達に振り返り【縮地】を使う。

 瞬時に距離を詰め連続で山賊の首を四つ跳ねてから【食料庫】に収納。

 その様子を見ていた残り四人は俺の強さを悟ったのか逃げようとする。


 なかなか状況判断が早いな。

 だがもう遅い。

 俺は逃げようとしていた三人の首と胴体を斬り離した後だ。

 俺はさらに三つの首を【食料庫】に収納し、腰を抜かして地面に座る男に近づいた。


「苦しんで死にたくなければアジトの場所を言え」


 俺は残った山賊の男からアジトの場所を聞き、苦しまないようにすっぱりと首だけ頂いた。


 山賊のアジトは街道から外れた森の奥だった。

 開けた場所に小さな集落を作って隠れ住んでいるらしい。


「結構な数だな」


 俺は山賊の集落まで辿り着き、近くの茂みに隠れて様子を伺っていた。

 その山賊の集落には天幕が三十五。

 外に出ている人数だけで十四人はいるから恐らく天幕のなかに数十人いるだろう。


 一つだけ大きな天幕があった。

 その天幕の入り口には二人の男が立っていて護衛している。

 間違いなく山賊団の頭目の住処だろう。

 自分の力を誇示したい大人げない人って分り易い。

 まずは頭を殺るのが対集団で勝つための常套手段だ。


 俺は山賊達に気付かれないようにするため、音も無く頭目の天幕に忍び寄る。

 俺には【気配遮断】と【無音行動】スキルがあるから簡単だ。

 よし、ここで蟻スキルの出番だ。

 俺は無言で【集合フェロモン】というスキルを発動した。


 天幕に少し切れ目を入れ中を覗くと、悪党顔の男が嫌がる女を強姦していた。

 攫ってきた女とお楽しみの最中だったらしい。


 天幕内を観察すると、今まで強奪した物が積み重なっていた。

 衣服や食料、それにに調度品や武器弾薬まである。

 手足を縄で縛られて泣いている数人の女もいるな。


 そろそろ【集合フェロモン】の効果が現れる頃だ。

 行くか。


 頭目はすでに二人目の女にまたがっていた。

 お盛んな事で。


 俺は堂々と天幕をビリビリと破り中に入る。

 俺の侵入に頭目はすぐに気づき、下半身裸のまま近くに用意してあった刀を手に持った。


 さすが山賊団のヘッドだけはあるな。

 気持ちの切り替えが早いわ、それに刀も常に側に用意してある。

 俺に殺される直前迄、よろしくやっててくれても構わなかったのに。


「何者だ!!」


「総支配人だ」


「はあっ!? ふざけてんのか!!」


「俺は本気だけど?」


「外の奴らは何やってる! 無能共がっ! 見張りをさぼりやがったな」


「なあ、取引しないか?」


「あ? いきなり表れて取引をしろだ!? 頭いかれてんのか!」


「ちょっとばかしいかれてるかもな。取引内容はこうだ。お前を生かしてやる代わりに、盗賊の組織に関しての情報を知る限り全部教えろ」


「自分が何いってんのか分ってるのか? ここは俺たちキバツメ山賊団のアジトのど真ん中だぜ。命が危ういのは坊主の方じゃねーか!」


「お前らくらい大勢の山賊になると、横の繋がりってものができることは知ってる。確か盗賊連合だったか?」


「なんでそれを知ってる!?」


「お前の部下から大方のことは聞き出した」


「てめー!! それを聞いてここを生きて帰れると思うなよ! おい! 誰かっ!! 誰かいねーのかっ!!」


 頭目は俺に剣を向けたまま警戒しつつ、天幕の出口へ大声を張り上げながら向かい外に飛び出した。


「な、なんだ、こりゃ……」


 俺も頭目の後について天幕を出て目に入ってきたのは、先ほど使った蟻スキルが問題なく成功した光景だった。


 頭目の天幕以外全ての天幕が倒れており、その代わりにあったのは無数の赤く光る目と巨大な昆虫の群像。

 それは俺が呼び寄せた数百匹にも及ぶヘヴンズアントの兵隊蟻達だった。


 俺がさっき使った【集合フェロモン】というスキルは、付近の地下にいるヘヴンズアントの兵隊蟻を呼び寄せ、単純な命令に従わせるというものだ。

 呼び寄せる数は指定できないので、人の往来が多い街道や都の付近では使えないけどな。


「こ、この魔物は、確かヘヴンズアント! どうしてこんな場所に!? それに他の奴らは何処に行った!?」


「山賊の頭目ともあろう奴が狼狽えてんじゃねーよ。落ち着いて地面に転がる物を見てみなよ」


「じ、地面!? 地面がどうしたって……!?」


 頭目はようやく地面に転がる三十二個の頭に気付いたようだ。


「ひっ! ひぃぃぃ!!」


「へぇ、さっき泣き叫んでた女よりも、悲鳴らしい悲鳴をあげるんだなあんた」


 俺が集合フェロモンに乗せた単純な命令とは『頭は喰うな』だ。


「た、たす、助けてくれ!!」


「取引はどうする?」


「分った! 教える、全て教える!! 盗賊連合の本部の位置が記された覚え書きがあるんだ。お、おれの天幕の下に埋めてある! た、たた、頼むっ、命だけは助けてくれ!」


「ああ、分った。じゃあちょっと掘り出してくるわ。あ〜、言い忘れてた。俺はあんたを殺さないが、その蟻達はあんたをどうするかわからないから、自分の身は自分で守ってくれ」


「えっ!?」


 俺が頭目に背を向けた直後、頭目の首が宙を飛びその体を無数の蟻達が一瞬にして貪り喰った。


「悪いな、言うのが遅かった」


 俺は【蟻使役】のスキルを使いヘヴンズアントの兵隊蟻の一匹を使役する。

 そして大きな天幕の下の地面を掘ってもらった。

 蟻さんありがとう。

 今回の仕事は楽だったよ。


 地中からは小さな木箱が姿を見せる。

 俺はその木箱をこじ開けて中に入っていた折り畳まれた紙を開いた。


「えーと、この場所が盗賊連合の本部の位置か」


 どうして俺が盗賊連合の場所を知りたかったのかというと、こういう裏組織は使いようによっては何かと役に立ってくれると思ったからだ。


 それから俺は地面に転がる全ての首を回収し、攫われて来た女達を解放して頭目の天幕から持てるだけの装飾品や硬貨を持ち帰った。


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 所持金

 金貨:959枚

 大銀貨:35枚

 大銅貨:43枚

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