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手配書と青の晶洞




 時刻をアウレナで確認。


== 17時33分 ==


 確か口入屋くちいれやが閉まるのは午後七時だから、まだ間に合うな。

 俺は西町の口入屋くちいれやに戻り、賞金首の人相書きが張られている掲示板の前に立つ。

 手数料を払えば手配書の写しをもらえるんだったよな。

 沢山似顔絵の描かれた手配書が張ってあるが、今は賞金額の多い奴にしか用は無い。


=====

 ◆ジュウロウタ アサガキ

 連続婦女強姦、暴行、殺害の下手人。

 第二級賞金首

 賞金額:金貨六十枚

 ※レベル二十以上の方推奨

=====

 ◆通称 キツネコゾウ

 不法侵入、殺人、強盗、火付けの常習犯。

 第一級賞金首

 賞金額:金貨二百二十枚

 ※レベル三十以上の方推奨

=====

 ◆グレン イチノサト

 要人殺害、家屋破壊

 第二級賞金首

 賞金額:金貨四十五枚

 ※レベル二十以上の方推奨

=====

 ◆山賊団キバツメの頭目

 街道や山間部での盗賊行為、誘拐、強盗

 第一級賞金首

 討伐条件:山賊団と頭目の殺害又は拘束

 賞金額:金貨二百五十枚

 ※レベル三十以上の方推奨

=====


 結構あるな。

 確か本人を捕まえて奉行所に連れて行くか、首だけを持って行けばいいんだったか。

 首を持ち歩くってなんかいやだな。

 討伐の証明には仕方が無い事だけど。


 ん? 掲示板の右側は手配人で、左側は魔獣討伐依頼と収集依頼か。


=====

 ◆東町の亡霊

 東町で深夜に現れる亡霊の退治。

 第三級脅威魔獣

 賞金額:金貨二十枚

 ※討伐確認の為に奉行所から人員が派遣されます。

 ※レベル十以上の方で術士の方推奨。

=====

 ◆デカベロンの討伐

 南町郊外の田んぼを荒らす害獣

 第二級脅威魔獣

 賞金額:金貨五十五枚

 ※討伐確認の為に魔獣の水かきを持参必須。

 ※レベル二十以上の方推奨。

=====

 ◆青色金剛石の収集

 青の晶洞に生息する第三級脅威魔獣である石喰いという魔獣から稀に取得可能。

 例:小指の爪程の大きさで、一粒金貨三十枚

 ※質や量により報酬変動

 ※レベル三十以上の方推奨。

=====


 えーと、討伐対象の居場所が分っているのは、デカベロンという魔物と、青の晶洞に生息する石喰いだけか。

 他の奴らは居場所を見つけるのにセルフィナの助けが必要だな。

 よし、決めた。

 デカベロンと石喰いを先に討伐しにいくか。


 あ、でも注意書きにレベル制限があるな。

 スフィアカードに記された俺のレベルは一だった。


 地上に出てきて分った事だが、人族の使うスフィアと魔物の使うスフィアは別物で、魔物のスフィアを使って得た能力は、人族のスフィアで得た鑑定スキルでは確認できないらしい。 


 コウメにも確認したが動物は鑑定できても、魔物は鑑定できないというのがこの世界の常識のようだ。


 魔物のスフィアで能力を得た俺を鑑定した人々が、俺を弱いと判断するのはその為だ。


 鑑定で俺の本当のレベルが他の人間に分らないなら、レベル制限のある手配書の依頼は受けられないかもしれない、と思ってコウメに確認してみると意外な答えが返ってきた。


「可能ですよ」


「え、そうなの?」


「はい。よく見て頂くと分るんですが、条件の最後に推奨と書かれていますよね?」


「ああ、確かに」


「推奨というのは、そのレベルくらいの強さが無いと難しいという意味でして、この推奨レベル以下の方でも、複数人で討伐することも可能ですし、レベルに達しない分を強力な武器防具を装備して補っても構わないというわけです」


「なるほど、そういうことか。要はやり方はどうあれ討伐した事を証明できればいいという事か」


「はい、その通りです」


 俺はコウメに手数料を支払ってから手配書の写しをもらった。

 手配書一枚の写しは大銅貨一枚。

 日本円換算で一枚百円程度。

 手配書二枚の写しをもらったから、俺の今の手持ちはこうなった。


=====

 所持金

 金貨:2枚

 大銀貨:8枚

 銀貨:1枚

 大銅貨:3枚

=====


 おっと、外はもう暗い。

 一度旅館に戻って明日から本格的に動きますか。


 俺は旅館に帰り、各部門の従業員達にあれこれとアドバイスを与えた。

 特に俺と守護者契約をしたペティには愛を込めて優しく接客の心得などを指導した。

 俺にとって家族のような存在になったので当然だ。

 それから寮にある自分の部屋に戻り眠りについた。




***




 地上生活三日目の早朝


 俺はカエデが作った朝食を食べて旅館を出た。


 手抜き無しのカエデが作る料理はものすごくうまかった。

 考えてみればカエデを俺の守護者にしてもいいんじゃないかと思ったが、それはできないんだと思い返した。

 俺の守護者任命のスキルは、自分の全てを俺に差し出す覚悟を持っていないと発動しないからだ。


 まあ、今後もっと俺の事を信用してくれたなら、受け入れてくれる可能性はあるので、今は目先の事に集中しよう。

 まずは旅館から南に位置する青の晶洞だ。

 元々観光名所なので道案内の看板が残っており、三時間程歩いて迷わず到着した。




== 11時18分 ==


 地面にポッカリと空いた大穴。

 徐々に下り坂になっている洞窟の奥は真っ暗だ。

 思い出すよ。

 蟻の巣もこんな感じなんだよな。

 地下生活脱出三日目にして、また地下に入る事になるなんて……。


 つくづく俺は地下に縁があるな。

 本当はもう暗い場所には入りたくないんだけど、地下では俺の今まで培ってきた能力を最大限活かせるのは間違いない。

 なんせ俺って蟻と暮らしてたからな。


 さてと、行きますか。

 パッシブスキルに【暗視】と【気配感知】があるから、先に魔物を見つけて先制攻撃を加えれば楽に進めるだろう。




 …………約十二時間後。




「ぷはぁ〜! やっぱり外の空気はうまいな!」


 俺は十二時間を費やし洞窟の中の魔獣を残らず討伐して帰還した。

 ペティに聞いていた通り、洞窟の内部は青い水晶で埋め尽くされていて、光を入れて照らせばものすごく美しい場所だ。

 幻想的な青い世界を求めて観光客が増えるのは間違いないだろう。


 以下は洞窟内の魔物を倒して得られたアイテムだ。


=====

 青色金剛石×13

 石喰いの単眼×55

 人食い蝙蝠の翼×139

 強酸性スライムの心臓核×100

 土蜘蛛の糸×24

 土蜘蛛の体×20

 岩石竜の体×1

=====


 適当に売れそうな物だけ集めてたらこんな数になった。

 俺がこれだけ大量の素材を持てるのは、【食料庫】という蟻スキルのおかげだ。

 この【食料庫】は有機物であれば無尽蔵に収納できるスキル。

 しかし無機物と生き物は収納できないという欠点がある。

 青色金剛石は無機物で【食料庫】には収納できないから、オウカにもらった皮袋に入れてある。


 もう夜も遅い。

 素材を売るのは明日にしよう。

 ああ、何もしないで毎日を過ごせる日々はいつになるのだろう。


 旅館に帰った時は深夜だったので、食事を食べずに直ぐに寝た。




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