表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/184

遊女が欲しい




 張見世を実際に目にするのは初めてだ。

 おお、中にいる遊女は皆綺麗な女達ばかり。

 それに異世界ならではの様々な種族の女性がいる。


 人族の女性が一番多いようだが、ペティのような肌の浅黒いダークエルフもいる。

 肌が雪のように白く耳が尖っているのはハイエルフの娘か。

 けもみみの獣人や背中に羽が生えている小柄な女性までいる。

 みんな綺麗な着物で着飾っていて美しい。


 ここって確か男と女がアレする売春宿だよな。

 俺も男である以上は様々なタイプの女性と仲良くしてみたい。

 けれど今は人材集めが優先だ。


 俺は張見世を何軒か見物しながら歩いていると、一際立派な売春宿の前で男達が集まっていた。

 看板には『一葉いちよう』と書いてある。

 ただでさえ男が少ないご時世に、あんなに一カ所に男が大勢集まって何事だ?


 俺は気になって集団に近づき、男達が皆同じ方向を見ている事に気付く。

 彼らの見つめる先は立派な売春宿の建物の二階。

 俺も彼らの視線の先を見ると、この国の出身じゃないのか金髪のものすごく美しい娘が、二階の部屋から外の景色を眺めていた。


 その娘には俺も目を奪われた。

 日本では外国の女性といえば烏兎くらいしか関わる事なんてなかったし、そもそもこれほどの美人は見た事が無い。

 あんな綺麗な人でも遊女として仕事をしなきゃならないのか。

 この世界も俺の暮らしていた世界と同じで世知辛いもんだな。


 俺が口を半開きで二階を見ていると、その建物から男の使用人が出てきて俺に声をかけてきた。


「そこの若旦那っ!」


「俺か?」


「どうです? 可愛い娘が揃ってますよ!」


 客引きの男か。


「なあ、あの二階の綺麗な娘は何者なんだ?」


「え!? 若旦那はここに来たのは初めてですね?」


「ああ、さっき来たばかりだが?」


「あそこの二階にいる方がセルフィナ嬢ですよ。知らないんですか?」


「遊郭にいるんだから遊女なんだろ?」


「ただの遊女じゃないんですよ。大陸での戦争で敗れた亡国のお姫様なんだそうで。なんでも戦勝国の意向でこの遊郭に売られたって話しです。要は敗者への見せしめってやつでさ」


「へぇ、見せしめで遊女にね。その戦勝国の奴らはえげつない事するんだな。男達の性欲のはけ口にされて最後は使い潰されて捨てられるのか」


「戦争で負けた国の王族や貴族が奴隷にされたり、遊郭に売られるなんてのはよくある事ですよ。そんな事より、どうですか若旦那、セルフィナ嬢に会っていきませんか?」


「一度会うとしたらいくらなんだ?」


「金貨五十枚ですぜ」


 日本円換算で百万かよ。


「た、高いな」


「まあそうですがね。出自が元お姫様で育ちもいいし、肌も綺麗で健康状態も問題ねえ。ここには最近来たばかりで、未だに処女ってんだからそれぐらいの値は当然ですよ若旦那」


「そんなに値が張るのに買うやつがいるのか?」


「商家の大旦那とか、大名のお偉いさんとかは一度来てますかね」


「まあそうなるよな。なら、どうして俺に声をかけたんだ? 俺は金を持っているように見えないだろ?」


「あっしはね【金銭感知】っていうスキルを持ってるんですよ。長年この仕事してるんでね、銭を持っている人は一目で分るんでさ」


 そんなスキルもあるのかよ。


「持ってるんでしょ? 隠しても無駄ですよ。どうですか? 一回だけでも会ってみては?」


 そういえば江戸時代にも吉原という場所があったな。

 確か、お客は目当ての遊女と男女の仲になるために最低三度は通わねばならなかったはず。


 しかも一度指名したら別の遊女に鞍替えは御法度。

 面会の一度目と二度目は本当に遊女の顔を見るだけで、遊女はほとんどしゃべりもしないというのが常識なんだ。

 それでも正規の代金を遊郭に支払わねばならない。


「確かこういう店では何回も通わないと男女の関係になれないと聞いたけど?」


「へい、そうですね。通常は三回か四回会ってからですね。でもセルフィナ嬢は最上級の遊女ですんで、最低五回は通わないとそういう関係になれませんね。それだけ遊郭も彼女を大事にしてるってことです」


「それだと床に入るまでにかなり金が必要になるな」


「金持ちでないと続かないでしょうね」


「ここに集まっている男達はセルフィナに会う為の順番待ちか?」


「いいえ、この男衆は金がないのでせめて姿だけでも見ようとして集まっている、せこいやつらですよ」


「なるほどな。見るだけならただか」


 俺はこれから旅館の従業員を増やさなきゃいけないから、金貨五十枚も払って遊んでいる余裕はない。

 たしかにあんな天使のような美人と男女の仲になれるんなら払いたくもなるが、ここはパスだろう。


 せめて彼女のスキルだけでも見ておくか。

 ただの興味本位だけどな。

 どれどれ。


=====

 ◆セルフィナ・フィリオ・フォルテ

 種族:人族  性別:女  年齢:18才  職業:遊女

 LV:15  HP:555  MP:970  SP:860

 物理攻撃力:150  物理防御力:160  敏捷力:140  

 術効力:240  術抵抗力:210  幸運:30

 アクティブスキル:隼突き3、フェイント3

【天占術8】

 パッシブスキル:淑女の心得5、王女の心得5、フォルテ流細剣術5

【預言5、未来視5、能力隠蔽10】

 称号:亡国の姫、復讐を誓う者、運命の人を待つ者

【天使の転生者、元託宣の戦天使ヴァルキリー

 ※【 】内は隠蔽された内容です。

=====


 ほ、本当に天使だった!

 というか前世が天使の転生者だったよ。

 それに預言とか未来視ってかなりチートスキルじゃないか。


 心得のスキルも二つある。

 一見しただけじゃどういうスキルかわからない。

 よし、スキルの詳細も見て見よう


=====

 ◆天占術

 秘められた天使の力で高確率で当たる占いができる。

 ◆預言

 自分に関わる未来を示す言葉が脳裏に浮かぶ。

 ◆未来視

 自分に関わる近い未来の映像が脳裏に浮かぶ。

 ◆淑女の心得5

 自制5、気遣い5、寛容5、包容力5、常識5、礼儀作法5

 ◆王女の心得5

 気品5、高潔5、学識5、言語5、舞踏5、交渉5、礼儀作法5、夜伽作法5

=====


 うわ、心得の内容もハイスペックですごい。

 元王女だからかそれに関連したスキルが多いな。

 でもさ、なんでスキルが隠蔽されてんだろ、暗殺者じゃあるまいし。


 あ、そうか。

 預言を悪用しようとする奴らにチートスキルを持っているのを知られると、厄介な事に巻き込まれるから隠蔽したのかもな。


 それにしたって能力隠蔽の十レベルはすごい。

 レベルマックスじゃないか。

 本人のレベルが十五なのにどうやったんだ?

 レベル十にするにはスキルポイントが五十五も必要になるんだぞ。

 ひたすら熟練度を上げる為に訓練したんだろうか。

 いや、十八歳という若さでスキルレベルを十にするまで訓練するのは、王女の彼女には現実的に不可能だろう。


 あ、そうか。

 転生者だから生まれた時には既にスキルを所持していたか、もしくはスキルポイントのボーナスでもあったんじゃないだろうか。

 そうに違いない。


 能力隠蔽の十レベルなんて俺以外に鑑定できる奴はいないな。

 実は俺のアウレナを介して情報を見ようとすると、隠蔽されていても全ての情報を観覧できるんだ。

 だから能力隠蔽レベルが最高の十でも鑑定できた。


 あー、なんてことだ。

 欲しい。

 この娘うちの旅館に欲しい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ