必要な人材とは
実際ペティの事は心配していない。
俺の守護者になって守護属性を受けた以上は、ペティの潜在能力が開花するし、さらにその守護属性に関係するスキルを得たはずだからな。
せっかくだしペティのステータスを確認しておくか。
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◆ペティ・アスティオ
種族:ダークエルフ族 性別:女 年齢:17才 職業:旅館の仲居
LV:3 HP:540 MP:430 SP:600
物理攻撃力:280 物理防御力:300 敏捷力:200
術効力:350 術抵抗力:270 幸運:80
アクティブスキル:念話5、俊足5、輝く笑顔8
パッシブスキル:慈悲7、献身8、忍耐7、機転5、器用5、指導8、洞察力5、豪腕3、消音歩行3、痛み耐性6、平衡感覚5、気配感知5、感情察知5、礼儀作法5、底力5、不屈5
称号:健気な頑張り屋、忍耐する者、シャンバレアへの鍵、甘い物好き
※ユラリの二十四守護者の一人:吊るされ人
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おお、ペティの潜在能力が開花したおかげで、仕事に役立ちそうなスキルも追加されてるな。
アクティブスキルに【輝く笑顔】ってある。
レベル八ってすごいな。
確かにレベル八ならお客なんて一撃で粉砕だろう。
攻撃スキルじゃないけどな。
どれどれ詳細も見てみよう。
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輝く笑顔:相手に好印象を与える必殺の技。
慈悲:慈しみ憐れむ心。または情け深いこと。
献身:ある物事や人のために自分の身をささげて尽くすこと。
忍耐:苦しみや辛さや怒りなどを耐え忍ぶこと。
機転:状況に応じて適切に判断できる機敏な心の働き。
器用:細かい仕事を巧みにやり遂げること。
指導:ある意図された方向に教え導く能力。
洞察:物事を深く鋭く観察する能力。
豪腕:重い物を軽々と持ち上げる強い腕力。
底力:瀕死状態になると全能力値が大幅に上昇する。
不屈:致死量のダメージを受けても一度だけ死なずに持ちこたえる。
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まさに旅館の仲居に相応しいスキルが揃ってるな。
指導力も8レベルと高いから、他の仲居達の教育を任せても大丈夫だろう。
俺がペティの能力値を見ていると従業員を代表してカエデが話しかけてきた。
「それで、あたいらはこれから何をすればいい?」
「そうだな、毎日朝七時に事務室で各部門の代表者を集めて挨拶をかわしたり、連絡や報告をしたりする朝礼をしたいと思ってる」
「はい、分りました総支配人」
「俺はお前達を奴隷としてではなく従業員として扱うからしっかり働いてくれよ。当然月々の給料も出すから心配はするな」
従業員達が笑顔になって喜んでいる。
今までが酷い待遇だったから当然だな。
俺は従業員達にいつもの仕事に戻るように伝えてから露天風呂に向かった。
「おい! 精霊エウロピス、出てこいよ!」
俺が呼びかけると湯気が一点に集まり人の姿に変わる。
「お前の望みを叶えてやったぞ。これからは温泉のお湯は元通り源泉掛け流しになるだろう」
『ありがとうございます。何とお礼を言ったら良いか』
「役に立ててよかったよ。これで世界樹は枯れずに済むんだな」
『はい。回復にはもうしばらく時間はかかりますが、温泉が元に戻ったなら世界樹が枯れることはないでしょう。このお礼は後ほどさせていただきます』
「気にすんなよ。俺もちゃんと効能のある温泉に入りたいしな」
『私はしばらくの間この世界樹を元通りの健康な状態にするのに専念するため、しばらく姿を現すことができなくなります。しばしのお別れです』
「わかった。世界樹の世話は任せるよ」
『お任せ下さい。陰と陽の未来を託されし者よ、あなたに大精霊の加護がありますように……』
精霊エウロピスはゆっくりと霧散して消えた。
陰と陽の未来を託されし者? なんだそれ、詩的な表現で意味がわからないな。
まあ精霊の言う事だから人間の感性とは少し違うのかもしれない。
それに大精霊という存在もいるんだろうか。
いよいよファンタジーになってきて楽しい異世界生活になりそうだ。
俺はロビーに戻って受付の奥にある事務室に入った。
ロビーの雰囲気もそうだけど事務室も洋風の造りだ。
木製の事務机と椅子が並んでいる。
その事務室の隣の部屋は総支配人室になっていて、俺が執務を行う為の執務机と、来客をもてなす為の上品な応接机やソファなども置かれていた。
俺の個室は従業員達と同じ寮の中にあるはずだ。
この旅館は規模は違うけど雰囲気は母さんの実家の旅館と似ている。
子供の頃から知っている懐かしい感じがする。
俺は総支配人室の執務椅子に座り、今後この旅館をどのように再建させるか考えをまとめるために思考する。
まず旅館を再建するにあたり、どういう人材が必要なんだろう。
当面は料理人と仲居と数人の清掃係がいるから問題ない。
俺の右腕となる新しい副支配人が必要かな。
仲居や清掃係の増員と広い庭や草木の管理をする庭師も欲しいし、館内設備や道具の維持管理に大工や鍛冶師の技能をもっている人材、それに洗濯を専門にする人もいればいいか。
あとは防衛面だ。
中にはマナーの悪い客もいるだろうし俺がここの総支配人になったことを良く思わない奴もいて、そのうちちょっかいを出して来るはずだ。
前の副支配人と繋がっていた奉行所の偉い人とかな。
そいつがいろんな妨害工作をしてくる恐れもあるから、館内の治安維持や警備の人材も確保しなきゃな。
あとは欲を言えば医者だな。
ここは病院じゃないが、突然の急病人や怪我人なんかにも対処できたら旅館の評価が上がるに違いない。
ここから東江の都まではかなりの距離があるからな。
あ、そうだ、備品や食材の調達係も欲しいな。
宣伝や営業をしてくれる人も必要だ。
あとは経理の仕事もあるから計算のできる人が欲しい。
あと足りないのは……芸?
そうだ、芸人は必要だ。
酒の席には音楽や歌なんかもあると盛り上がるし、余裕が出てきたら宴会の席などで客を接待する女給、いわばコンパニオン的な女性も雇おう。
そうすれば男性客の評価も得られる。
まてよ、この国は女性のほうが多いんだっけ?
すると女性向けにホスト的な男も必要か?
だいたいこんなところかな。
必要な人材をまとめるとこうだ。
副支配人、仲居、料理人補助、掃除係、庭師、大工、鍛冶師、洗濯、宣伝や営業、警備員、医者、調達係、経理、芸人、宴会での接待役。
思いつく限りだとこんなもんか。
もしかしたらまだ旅館運営に必要な部署があるかもしねない。
そういえば口入屋で仕事を紹介してもらえるんだったよな。
ということはその逆もあるということだ。
従業員の募集もそこでできるだろう。
よし、さっそく行ってみるか。
アウレナで時刻を確認した。
== 8時55分 ==
俺はそのまま西町の口入屋に向かった。




