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ペティの選択




「なんだとっ!? ふざけるな! おいっお前達! こいつを殺せ! 後で誰かに聞かれても、誰もここには来なかったとシラを切れば問題はない。金さえあれば何でももみ消せる!!」


 もう奴隷契約が解除されたってのに荒事専門の男達は俺に殺気を向けて来たな。

 こいつらも館内の調度品をくすねるくらいだから心根が腐ってるんだろうけど。


 副支配人も懐から短銃を取り出した。

 都合の悪い奴は殺すっていう悪党の見本だなこりゃ。

 態度から察するにこいつら人殺しに躊躇が見えない。

 もう何人も手にかけてきたんろう。


 主にその対象は奴隷になった人達だろうけど。

 欲に目がくらんで人格が歪むやつもいるしな。


 五人の屈強な男達がそれぞれ短刀を抜いて俺に襲いかかる。

 悪いがテリトリー内では俺が常に先手だ。


「支配者スキル発動。【加重】レベル四でこいつら五人を鎮圧」


 五人の男達は俺に武器を振るうことなく重い重力に押しつぶされ床に張り付けられた。

 男達の手足の骨がバキバキと折れる音がする。

 そいつらは激痛のあまり白目をむき意識を失ったようだ。


「【加重】解除っと」


 副支配人はその光景を見て驚き目を見開いている。


「なっ、何をした!?」


「テリトリー内で俺に逆らうやつはこうなるという見本だ」


「そ、そんなバカな! あの一瞬で五人を!?」


「何を驚いてる? 従わなければ力ずくで大人しくさせるのは、お前の方が得意なんじゃないのか? 今までペティ達奴隷に散々してきたことじゃないか」


「こ、殺してやるっ!!」


「相手を殺そうとするなら、自分も殺される覚悟をしろよな!」


「ご主人様っ!! やめてください!」


 ペティが俺を庇うように服支配人と俺の間に割り込んで叫んだ。

 俺が奴隷契約を強制解除したから、もうそいつはご主人様でもなんでもないんだけどな。


「そこをどけペティ。奴隷の分際で私に指図するな!」


「いいえ! どきませんっ。 ユラリさんは何も悪くはありません。どうか見逃してあげて下さい!」


「ええい! どけっ!」


 副支配人はペティを銃で殴り飛ばしたが、ペティはすぐに起き上がり副支配人を止めようと脚に縋り付く。

 ペティの鼻から血が垂れている。

 可愛いペティを殴るとは死刑決定だ。


「やめて下さいっ!」


「邪魔だっ! 放せっ!!」


 火薬が爆発する音が響く。

 副支配人は迷わず短銃で彼女の胸を打ち抜いていた。


「ペティっ!!?」


「うっ!? あ……」


 ペティは胸から大量の血を流しながら床に倒れた。

 心臓をやられたのか!


「言う事を聞かない奴隷はいらん! 買い足せばいくらでも代わりはいるからな! 小僧、お前のステータスは鑑定済みなんだ。さっきのは何かの術具でも使ったんだろうが、ただの庶民ほどの能力でこの最新式の短銃に勝てると思うなよ!」


 服支配人は短銃に玉を込め、再び引き金を引いた。

 銃から発射された弾丸は俺の額に命中し、俺はその衝撃にのけぞる。

 副支配人がにやりと笑みを浮かべる。


「はーはっはっはっ! さすがに銃の弾丸は躱せまい!?」


 のけぞっていた俺は姿勢を戻す。


「なにっ!? 命中したはずなのに、ど、どうして生きている!!」


「悪いがテリトリー内では俺に対する攻撃は無効化されるんだよ」


「う、嘘だ。そ、そんな事が!? あ、ありえないぞ!!」


「支配者スキル発動。【加重】レベル六でこいつを処刑」


 その直後ドシャリと音を立てて副支配人の体は床にぶち当たり、全身の骨が粉砕される鈍い音と共に、目や鼻や耳から血を吹き出し息絶えた。

 大人しく俺の命令に従っていれば死なずにすんだのに。


 俺はすぐに床に倒れているペティの側にしゃがみ込み抱きかかえる。

 ペティは虚ろな瞳で小刻みに痙攣している。


「ペティ聞こえるか!?」


 ペティは視線だけで俺を見つめ、俺の声が聞こえている事を示す。


「お前は俺を命がけで護ろうとしてくれた。だから二つの道を選ばせてやる」


 ペティの顔は蒼白となっていて唇も紫色だ。

 大量の血液が体外に流れ出たことを示している。


「一つはこのまま死んで今までの辛い人生に終止符を打つ道。この道の先にはもう何も苦しみは無い。だが楽しい事も喜びも何もない」


 ペティの唇が震えている。

 何かを言おうとしているが声は出せないようだ。

 あまり時間がないな。


「もう一つの道は俺に身も心も捧げ死ぬまで俺の傍らで生きる道。だが俺はお前を護ると誓おう。そして生きる喜びを与えてやると保証する。そういう道だ」


 ペティの瞳から命の光が徐々に失われていく。


「お前はこのまま死にたいか? それとも生きたいか!? さあ選べ! ペティ・アスティオっ!!」


 ペティの命の灯が燃え尽きる寸前、彼女の小さな唇が『生きたい』とかすかに動いた。




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